音楽への憎しみ

  • 青土社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791755646

作品紹介・あらすじ

先史時代の洞窟に谺する狩猟民の秘儀、聖書の強迫的な音の響き、ナチスによるユダヤ人絶滅キャンプの楽団、そして高度消費社会で猛威をふるう音楽に、魂を威嚇する根源的な暴力と殺戮の伴奏を聴きとる危機の批評。音楽の闇の物語。

感想・レビュー・書評

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  • <blockquote>『音楽への憎しみ』、それは「耳と精神」と言い換えられてもいい。
    「哲学」が知のヒエラルキーの頂点に立っているのだとすれば、おそらく視覚は感覚のヒエラルキーの頂点に立っている。視覚はもっとも認識に近い感覚だ。だから哲学と視覚は相性がいい。視覚は対象と距離を置く。あるいは距離を置かなければ視覚は成立しない。そこに主観と客観が生まれる。だが、聴覚には「主観も客観もない」。語るものと聞くものは互いに干渉しあう。視覚のように見下ろすことはできない。(P.318)</blockquote>



    <blockquote>聴覚には主観も客観もない、音は殺到する。聴覚は、その個人の歴史を通じて、嗅覚よりも、もちろん視覚などより遥かに先立つ、もっともアルカイックな近くであり、そして、よると連携している。(第二考 耳にはまぶたがない)

    音楽はこれとは逆に、あまりに世界や指示しうるものの手前にいるから、存在の粗描以外のもの、すなわちその満ち手、その増大、その破枠、その運動以外のものは描くことが出来ない。(P.317)</blockquote>

  • 音楽は暴力にも残虐にもなりうるもの。好きだからこそ、忘れてはいけないことが書かれている本。

  • キニャールさんのなかでは最も難解かも…。ラテンの古典から清少納言までを網羅する彼の知識に驚かされる

  •  なんていうか、音楽を廻る散文詩?って感じだけど、その一方で評論のようでもあるという、不思議な本。実は1年以上読んでました(苦笑)
     非常に詩的な言葉で、音楽への絶望感をうたっている。それに共感を覚えない訳ではないが、いかんせん、難しすぎます。でもって、引用が多い。駄目だね、私って。教養が足りないや。

  • 未読

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著者プロフィール

1948年、ノルマンディー地方ユール県に生まれる。父方は代々オルガン奏者の家系で、母方は文法学者の家系。レヴィナスのもとで哲学を学び、ガリマール社に勤務したのち、作家業に専心。古代と現代を縦横無尽に往来し、時空を超えたエクリチュールへ読者を誘う作品を精力的に発表しつづけている。

「2022年 『楽園のおもかげ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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