剣の思想

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791759255

作品紹介・あらすじ

戦国時代に突如として結晶した太刀筋という無限の体系-。我と敵との"身の自然"を超えて実在する晴れやかな世界を開示する。

感想・レビュー・書評

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  • 明治時代の流れに乗った嘉納治五郎によって作られた
    「道」を好まずあくまでも「術」にこだわった中での思想だという
    殺すか殺されるかという緊張の関係から湧き出す思想のようだけれど
    自律を志すところの倫理観にはとても到達できず
    神への依存から始まる縦社会の道徳感を引きずった矛盾を孕む
    思想のように思える

    反作用を消すためには作用を起こさずに
    相手の懐に入り切り込む必要がある
    そのためには中心軸に身を置いたままの動きでなければ
    ならないという考えに至り
    底から生まれたのが新陰流であり神泉伊勢守が達した
    普遍的な姿なのだと前田英樹さんは言う

    これは一種の忍者的な戦法なのか
    対立を乗り越えた調和への移行なのか
    よくわからないが私には前田さんの生き方に共感を覚えた
    河野さんの神を数はいいながらも何にも頼らず
    歴史を踏み台にして一匹狼的な
    すべてを自分なりに体験することで見つけ出すというのも
    私の人生に通じる所もあるように思えるけれども
    少し意固地になりすぎて矛盾しているいるように感じた

    結局生産なく破壊である相手の隙を突いて
    殺すことを目的にした修行の中で
    調和という思想を云々することに最初から無理があるのかもしれない

    二人の意見や生き様が似ているようであって真逆であるので
    一つ置きに一人ひとり別々にまとめて読むほうが
    それぞれの思いを理解しやすいかもしれない

  • 上泉伊勢守信綱の新陰流兵法と千葉周作の北辰一刀流.後者を有名にした司馬遼太郎の「北斗の人」.司馬が従来の古流剣術を批判し,竹刀を使った現代剣道風の防具打合を賞賛している.前田と甲野は司馬を痛烈に批判している.往復書簡による真に迫る議論だ.

  • 「近代武術の競技化」の項で三十三間堂の通し矢が紹介されている

  • 帯表
    往復書簡
    根源的武術論
    帯背
    古武術の奥義

  • 分類=武術・身体論。01年10月。

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著者プロフィール

1949年、東京生まれ。
20代はじめに「人間にとっての自然とは何か」を探究するために武の道へ。
1978年、松聲館道場を設立。
以来、日本古来の武術を伝書と技の両面から独自に研究し、2000年頃から、その成果がスポーツや音楽、介護、ロボット工学などの分野からも関心を持たれるようになり、海外からも指導を依頼されている。
2007年から3年間、神戸女学院大学で客員教授も務めた。
2009年、独立数学者の森田真生氏と「この日の学校」を開講。
現在、夜間飛行からメールマガジン『風の先・風の跡』を発行している。
おもな著書に、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫)、『できない理由は、その頑張りと努力にあった』(聞き手・平尾文氏/PHP研究所)、『ヒモトレ革命』(小関勲氏共著/日貿出版社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから』(前野隆司氏共著/ワニブックス)などがある。

「2020年 『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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