- Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791768363
感想・レビュー・書評
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『守り人』シリーズの上橋菜穂子さん、『勾玉』三部作、『RDG レッドデータガール』シリーズの荻原規子さん、『一瞬の風になれ』の佐藤多佳子さんの三人による三回の対談集。面白くて一気読みしてしまった。
一回目は、『守り人』シリーズの文庫化に際して組まれた対談で、内容も『守り人』シリーズの話が中心である。当初この対談は2011年3月12日に予定されていたが、東日本大震災の影響で急遽延期になった。三週間後に改めて開催された対談では、本当につらい時期を過ぎ、少しでも気力が生まれてきたときに、「ほかの世界を想像し、そこに生きてしまえる力」を持つファンタジーが助けになる、と、ファンタジーや物語の役割について言及されているのが印象的だった。
二回目は、『RDG レッドデータガール』完成記念の対談。一回目の対談から2年後ということもあってか、最初は「です、ます」調で交わされていた会話が、すっかり女子会のノリになっている。とはいえ、さすがに第一線で活躍する作家たちの対談で、『RDG レッドデータガール』が、一歩間違えると収拾がつかなくなるような深い世界観であるところを、すばらしいバランス感覚でまとめきっている、と指摘するなど、書き手ならではの視点が面白い。
三回目は、佐藤多佳子さんの最新ファンタジー『シロガラス』を、他の二人にゲラの段階で第三巻分くらいまでを読んでもらったうえで開催された対談。これまで、少年少女の日常生活をリアルに描いてきた佐藤多佳子さんが、どのようにファンタジーを描いたのか、ということについて、他の二人が作家ならではの視点で分析しているのがやはり面白い。
この対談では三人それぞれのキャラクターや、物語の組み立て方の違いが出ているのも興味深かった。
上橋さんは、ぽっと浮かんだ情景を物語として紡いでいくやり方で、どちらかというと感覚的な方なのかな、という印象だ。ただし、世界全体のつながりを俯瞰に見る視点も持っており、物語が、個と全体、という二重構造になっているのが特徴である。
荻原さんは、上橋さん同様に壮大な世界観を描くが、あくまでも個人の視点の範囲で物語を描き切ることに徹しているところが上橋さんとの違いであるといえる。
佐藤さんは、どちらかというと、丹念な人物描写によりストーリーを紡ぎ出す、リアリストのようだ。
それぞれタイプは違うけれど、お互いをリスペクトし、影響を受け合っている関係がとてもすてきだな、と感じる。
私は上橋菜穂子さんの本はほぼすべて読んでいるが、荻原規子さんの本は『勾玉』三部作のみ、佐藤多佳子さんは『しゃべれどもしゃべれども』1作しか読んでいない。
上橋さん以外のお二人の作品ももっともっと読んでみたくなった。 -
好きな作家さん三人の鼎談集。
佐藤多佳子さんの新シリーズは気になっていたけれど、この本を読んでぜひ読んでみたくなりました。
猫のエピソードがすごく気になる……。
上橋さん、荻原さんのシリーズにも友人と作家の視点でいろいろ語られているのでまた新鮮でした。お互いの作品で好きなシーンを語っているところでは、自分が印象深いシーンをプロの作家さんも同じように思っていたりすることが単純に嬉しかったりします。 -
大好きな作家さんの対談集。
この3人が仲良しとかムネアツすぎる、、!!
物語の生み出し方、キャラの作り方、裏話など盛りだくさんで、ファン垂涎の一冊かと。
ただ、守り人シリーズとRDGシリーズ、シロガラスシリーズを読んでいないとわからないかも?
シリーズ読み直ししたくなったし、シロガラスは読んでないので読みたい。 -
とても仲のよい三人のたのいしお茶会を隣の席で聞かせていただいてるようなそんな雰囲気の鼎談集でした。
リスペクトと仲良しさが、伝わってきて、こちらまで楽しい気持ちになり、にこにこしてしまう不思議な魅力の本でした。 -
もうちょっと早く読めば良かったかな。
どうにも上橋さんと荻原さんの作品に違和感を覚え始めた今読んだらなんとなくしっくり来ないというか…
仲良しな三人はかわいらしいですね。 -
3人の鼎談。
さらーっと読み流しちゃったけど、本は読みたくなる。
とりあえず守り人シリーズを読み終えたので、「獣の奏者」を読もうと思ってる。
でもなんだかんだいっても、RDGのとこが一番楽しい。
やっぱり大好きだなぁとにやにや。
勾玉シリーズや西の善き魔女も読みたくなるよね。
佐藤さんの「シロガラス」も読もう。 -
(15-20) 上橋さんと荻原さんの本は全部読んでいるのだが、佐藤さんの本は一冊も読んでない。面白そうだと思ったこともあるのだが、何となくきっかけが無かった。これはそのきっかけになりそうな本だった。
一般読者である私と同じようなことを語っていることもあるが、これはやはり「書く人」だから思うことなんだろうという会話もたくさんあって興味深く読んだ。
「レッドデータガール」は荻原作品の中では、私はそれほど好きじゃない。そのシリーズに対してのプロの見かたに、そうなのか!と思えた。
佐藤さんの「シロガラス」を読みたくなった。 -
鼎談本。
微笑ましい、というのだろうか、共通の好きなものについての女性のおしゃべりというのがわたしのツボなのだろう。
1回目の鼎談は東日本大震災の直後、ということでちょっと堅苦しさ、ぎこちなさがあって、だんだんこなれていく感じもよい。
わたしがいちばん膝を打ったのは、『モモ』が説教くさくてあまり好きではないという話。
わたしもあの話にはなんとなく違和感があり、そんなにおもしろいか?と思っていたのであった。 -
SL 2023.12.25-2023.12.26
この対談集が刊行された頃にはまだどの作品も未読だったな、わたし。
今も三人の作家さんたちは交流があるのかしら。
上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ、荻原規子さんの「RDG レッドデータガール」シリーズ、佐藤多佳子さんの「シロガラス」シリーズを題材に三回の鼎談。
小説を書く姿勢、作品に込めた想い、作品ができる過程、裏話等々とても興味深く楽しく読めました。
ただ、それぞれの作品を読んでいないと分かりにくいところが多々。「RDG」「シロガラス」を読まなくては。