ジャズ・エイジは終わらない: 『夜はやさし』の世界

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  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791771448

作品紹介・あらすじ

フィッツジェラルドのマイノリティへのまなざし
『夜はやさし』に鳴り響く〈ジャズ〉の豊饒な小説世界
村上春樹『ノルウェイの森』やヘミングウェイ『エデンの園』との比較をとおして浮かびあがってくるものとは? そして、最高傑作『グレート・ギャツビー』に通底する世界とは? 哀しみと至福の文学体験へといざなう。

感想・レビュー・書評

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  • フィッツジェラルド「夜はやさし」を読んだ直後だったので、気になって手に取る。村上春樹「ノルウェイの森」への「夜はやさし」の影響を著者なりに読み解いたところがなかなかに興味深かった。「夜はやさし」のニコルを二人に分けて、心を病んだニコルが直子、健康な時のニコルが緑だったのではないか、と。◆時代に取り残されていくディック・ダイヴァーとワタナベ・トオルの置かれた状況は酷似している。純粋で傷つきやすいことがまるで罪悪であるかのように扱われる時代。その中で生き延びるとはどういうことなのか。(p.67)◆また、「ジャズ・エイジ」の頃のアメリカの繁栄とそれゆえの傍若無人、思い上がりが、現代にも連綿とつづいているのでは、という示唆も語られ。個人的には、「ディックはなぜこのように下降線をたどることになってしまったのだろうか。それは彼の視点が常に過去を向いていたからだ。」(p.92)の一節がささってきた。未来より過去を見がちと自戒しつ。

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著者プロフィール

1953 年神戸生まれ。上智大学大学院修士課程修了。成蹊大学教授(アメリカ文学)。2007 年秋、ミネソタ大学客員教授。著書に『村上春樹を読む。―全小説と作品キーワード』(イーストプレス)、『アメリカの消失―ハイウェイよ、再び』(水曜社)、『グレート・ギャツビーの世界―ダークブルーの夢』(青土社)、共編著書に『レイ、ぼくらと話そう―レイモンド・カーヴァー論集』(南雲堂)、『ニュー・ジャズ・スタディーズ―ジャズ研究の新たな領域へ』 ( アルテスパブリッシング) など。

「2017年 『映画は文学をあきらめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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