- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791773039
作品紹介・あらすじ
現代思想の風向計。
生命、健康、安全などを理由として立ち現れ、その相貌を自在に変えてきた近代国家。人びとの生や死に巧みに介入し、私たちの思考を知らぬ間に取り囲む権力の所作を、フーコーはいかに描き出したのか。知と権力、認識と実践、法と規律、リスク、戦争の政治言説、統治性、新自由主義。主要な諸概念を手がかりに、歴史や論理に深く分け入り、時代の逆風に立ち向かった思想家の軌跡を追う。
感想・レビュー・書評
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著者の『ミシェル・フーコー: 近代を裏から読む』は、まるでミシェル・フーコーへのラブレターのような印象があって、著者の熱さが伝わってくるものであった。本書は、過去の著者の論文を一般書向けに若干手を入れて編集をしたもので、より研究者としての我が前に出てきている趣をもったものになっていると感じた。
著者が言うように、かつて一世を風靡したフランス現代思想の中でドゥルーズやデリダがすっかりその現代性を失っていくのに対して、フーコーはその現代的意義を失っていないと言ってもおそらく間違いではないだろう。本書内で言及されているが、コロナ禍における社会の行動規制に関わる動きについては、生の管理を通した生権力-生政治の構造分析の視点はおそらくいまだ有効だ。
取り上げられたテーマは、知と権力、生政治、生権力、正常/異常、ノルム、権力の法モデル、規律権力、セキュリティ、戦争の言説、自由主義・新自由主義、法-規律-統治などが取り上げられる。著者が愛してやまない『監獄の誕生』やそれに続く『知への意志』、さらにコレージュ・ド・フランスのフーコーの講義録などを元に考察を進める。
内容はかなり専門的でどうにか付いていけるかどうかで、学問的価値は判断できるものではない。それでも、社会学的観点でフーコーは今でも有効に使うことができるツールをわれわれに提供し続けていることがわかった。
あとがきの著者の研究歴や、各章の元になった論文の初出時の経緯が書かれていて、著者の重田さんにとっては、ある意味での総決算ともいうべき本ではないだろうか。こういう本を一般書として出版することができるのはおよそ幸せなことであると思う。
一般の人に薦める本ではないが、フーコーについて、『監獄の誕生』、『狂気の歴史』、『言葉と物』は読んでいて、フーコーってすごいなと思っている人は手を出してもいいのではないだろうか。
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『ミシェル・フーコー: 近代を裏から読む』 (重田園江)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4480066276
『監獄の誕生』(ミシェル・フーコー)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4105067036詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「フーコーの風向き」書評 「法・戦争・経済の相克」に説明力|好書好日
https://book.asahi.com/article/13968750
青土社 ||哲学/思想/言語:フーコーの風向き
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3462-
入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS
https://synodos.jp/op...入試国語選択問題の「正解」について――早稲田大学教育学部の説明責任/重田園江 - SYNODOS
https://synodos.jp/opinion/society/27796/2022/03/15
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