放浪の天才数学者エルデシュ

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794209504

作品紹介・あらすじ

どこにも所属せず、定住地を持たず、古びたブリーフケースには替えの下着とノートのみ。世界中を放浪しながら、一日十九時間、数学の問題を解きつづけたという伝説の数学者、ポール・エルデシュ。四大陸を飛びまわり、ある日突然、戸口に現れて言う。「君の頭は営業中かね?」八十三歳で死ぬまでに、発表した論文は1500、有史以来どんな数学者よりもたくさんの問題を解き、しかもそのどれもが重要なものであったという。悩める奇才ゲーデルを励まし、アインシュタインを感服させたエルデシュ唯一のライバルは、美しい証明を独り占めしている「神さま」だけだった。子供のコーヒーと、何よりも数学をひたすら愛し、史上最高の数学者にして宇宙一の奇人。数学の世界をかくも面白くした天才のたぐいまれなる人生。

感想・レビュー・書評

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  • 彼の天才ぶり、故の変人ぶりがわかる。自分は数学が苦手なので専門的なことは良くわからなかったが、それでも面白かった。数学が少し好きになった。色々な欠点や長所があるなかで愛されていたのだなと思った。人生金じゃない。何かに没頭できて幸せな家庭があれば良いと思う。

  • 16年前に読んだ本を再読。数学者は変人であることの代表例であるポール・エルデシュの伝記です。アンフェタミンという薬を常用してまでも数学をやり続けたひとです。彼独自の単語で会話をしたり、生涯独身だったり、子供好きだったり、かなりのマザコンだったり。当時共産圏であったハンガリー市民なので米国への入国を拒否されていたり。ちなみに、私のエルデシュ数は5であることが最近分かりました。我ながらびっくり。

  • エルデシュは1913年にハンガリーで生まれた数学者だが、ユダヤ人であったために国を出ることになったのだが、本書のタイトルの放浪というのは、そのためではなく、彼自身の生き方に由来するものだ。(ちなみに原題は"The Man Who Loved Only Numbers"で放浪という意味は含まれていない。)数学を愛して、数学の問題について他の数学者と検討することを愛して世界中を飛び回っていた彼の生活から来ている。1996年に83歳で死ぬまでの生涯を扱うこの本は、20世紀の欧米の歴史であり、数学史である。そのため、多くの数学の問題と数学者の名前と業績が書いてあって、読んでいると混乱してくる。数学者の自殺率が高いような気がして、数学って危険な学問だともおもった。エルデシュ自身は、長生きして、数学を楽しみ続け、ユーモラスな逸話もたくさんあって、多くの数学者に愛されて、幸せに生きたことがわかる。

  • 再読

    0章の二十五億歳の男と1章のザ'・ブックからそのまま出てきたような
    のグッと引き込まれる面白さよ!

    薬物を使用し日常生活は壊滅的で1日19時間も数学に費やしながらも
    「自分が」定理を解くことよりも「誰か」が証明するのを見届ければいい。
    相手の持つ実力のほんの少しだけ高度な、解ければもっとよく数学がわかり、
    更に大きく扉を開く問題を出すことが出来る。
    数学者達の電話番号は覚えているがファストネームは覚えていない。
    金銭に興味がなくすぐに他人にあげてしまう。
    子供が大好き。

    凡人が想像する「いかにも」変わり者の天才数学者。
    の枠に収まりきらない、創作を超える人物像。

    他の数学者達のエピソードも物凄く興味深いのだけど
    構成がやや散漫でその調子でラストまで行くのが少ししんどいかな。
    とはいえ、自分を怪物のように醜いと鏡を見る事すら苦痛だったハーディ。
    そのハーディに手紙を書き見出された、義務教育しか受けていないインドの港湾地区の経理で働くラマヌジャン。
    ガウスと手紙のやり取りをしていた18世紀パリの銀行家の娘ソフィー・ジェルマン。

    あまりにも劇的な天才達の饗宴。それぞれで舞台が作れそう。
    老いがそのまま能力の低下であったり、精神に変調をきたしたり。
    自殺も多い。エルデシュも明らかに今で言う発達障害だし、
    なにか、語弊のありそうな表現だけど、新しい人種ーというか変種なのではないのかと思ったり。

    そして「素数とは?」の時点で投げ出してしまいそうな私は数学の表記部分は読み飛ばし…
    エルデシュがまったく興味を示さなかったのが芝居と小説、というのに
    (やっぱり?な…)と思いながら、でも来世は数学者が物理学者になってこの世の秘密を見るのだと願いながら。
    この二択というのも如何にもわかってない人という感じだ。
    数学者と物理学者の違いにも言及されていて、わからないながらも物理学はより実学に近い…?
    数学者は意図的に世界を無視していても、世界に役立つ道具を作り続ける、とか。
    しかし、そんな私でもショーペンハウエルの
    「人を芸術や科学に惹きつける最も強い動機の一つは
    その人自身の移ろいやすい欲望の足枷から逃避出来る、
    個人的な生活から客観的認識と思考の世界へ逃避したいと思っている」
    という言葉はわかるんだコレが!
    そうなんだよーあまりにも強い己の卑小なエゴにうんざりして
    個から逃げてえ…とか思うのよw

    もっとグッと面白い構成に出来たのではないかな、
    と思いながらのラストはニクイ!!ウルっときちゃう。

  • 【展示用コメント】
     靴下があれば論文は書ける

    【北大蔵書目録へのリンク】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2000840411&key=B151608090821530&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • 感想:
    一人の人間をこれ程までに熱中させる数学のすばらしさが伝わってきた。
    自分もこういった寝食を忘れるモノに出会いたいと思った。

  • いったい、この本の中で何回「素数」という文字を見ただろう。

    証明の部分はかなり読み飛ばしたけど、数学を愛した人たちの描写がなんとも温かいです。

    読書タグにSFを付けた理由は、この本の中にあります。

  •  一風変わった天才数学者エルデシュの伝記。
    1日19時間は数学の証明のことを考えているエリデシュ。
    独自の世界観で生きているようだ。

     内容は、エリデシュの人生の様々なストーリなどが書かれている。
    数学の式も所々に書かれている。
    しかし、個人的に数学は得意ではないので理解することはほぼできなかった。

     数学や歴史上の人物に興味がある人には、面白い1冊だろう。
    特に素数に興味がある人には、発見がたくさんあるかもしれない。

  • 2013年度【請求記号】289.3/E【資料ID】10002810【配置場所】工大君に薦める

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著者プロフィール

ポール・ホフマン
作家、脚本家。
1953年生れ。イギリスのニューカレッジにて英文学を学ぶ。
デビュー作のThe Wisdom of Crocodilesが部分的に映画化される。2作目のThe Golden Age of Censorshipは、英国映画倫理委員会での、検閲委員の実体験に基づく。
3作目のダーク・ファンタジー3部作の第1作目『神の左手』が世界的ベストセラーとなる。第2作目『最後の4人』を2011年4月に刊行予定。

「2012年 『悪魔の右手』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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