- Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794210234
作品紹介・あらすじ
1990年5月、栃木県足利市で4歳の幼女が誘拐され殺害された。1年半後、市内に住む45歳で独身の幼稚園バス運転手が容疑者として浮上、DNA鑑定と本人の自供によって事件は一気に解決したかに見えた。ところが一審裁判の途中で被告人は自供を全面否認し、自らの無実を訴える。判決は無期懲役であったが、被告はただちに控訴、以後、冤罪事件として争われることになった。目撃者はなかった。物証もなかった。証拠は唯一DNA鑑定の結果だけだった。だが、当時導入されたばかりの鑑定法には疑問をもつ者も多かった。さらに、辻褄の合わない供述、犯人であることを前提とした精神鑑定等、この事件にはあまりにも多くの疑問が解かれぬままに浮遊していた。DNAが捕らえた男は、ほんとうに真犯人だったのか。6年以上にわたった精緻な取材をもとに、事件の驚くべき真相に肉薄する。
感想・レビュー・書評
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無実の罪をそんなに簡単に認める事が有り得るだろうか?と言うのが最初の疑問。被告とされてしまった人物の実像を無視した審判。一度判決が下されてしまうと、その判決を覆す事がいかに難しいか。何故DNAの再鑑定要求が通らないのか。
冤罪は意外と簡単に起きるという恐ろしさを感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
市図書館。
石井光太氏おススメで。
圧倒的な資料の量に驚かされる。
正直言ってDNAや精神疾患の専門的見解などは素人(ワタシ)が容易に理解できる範疇を超えた記述が多いが、それだけ「専門家でも納得せざるをえない論理」を本書で構築して裏付け、著者は菅家さんの無罪を確信しているのではないか。
本書は2001年発行であるが、その後菅家さんは無罪が確定し釈放されている。が、連続幼女殺人事件の真犯人は依然逮捕されていない。先月、それに関する清水潔氏のノンフィクション本が刊行されたので(石井氏もおススメしている)、そちらも合わせて読んでみたい。