生命40億年全史

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794211897

作品紹介・あらすじ

いかなる進化劇が展開されてきたのか-。尽きせぬ謎を解く鍵を探し、古生物学者たちは世界中を奔走する!大英自然史博物館の古生物学者が、化石資料を縦横無尽に駆使し、自身の発掘調査の興奮を織り交ぜながら、広大無辺な40億年を一つの物語にまとめ上げた、決定版・生命史。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章があまりに厳しくて、身につまされて、ここで一回読むのが止まった
    そのあとはすんなり読めてる
    わかりやすくて面白い

  •  なるほど、帝国主義時代の列強は世界を席巻しながら博物学を発展・充実させ、地質学や古生物学でも今だに世界をリードしているということだ。
     著者は名門大英自然史博物館の研究員を務め、大英古生物学会会長という超一流の研究者だ。本著はそんな一流の研究者とエディアカラ紀からカンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀…と時代を下る長い旅を共にする。一度は読んでおきたい一冊だ。
     オーストラリアのエディアカラ丘陵(エディアカラ紀)、ローマ帝国支配下の英国ブリテン島ウェールズの種族の名(オルドビス紀)、同じくウェールズのケルト系のシルレス族(シルル紀)など英国の強さが垣間見える。

     「哺乳類とは、汗腺が変化した分泌腺で雌が子どもに授乳する動物である。」ふ〜ん、えっ!?そうなの?!
     「ホモ・サイエンスとは、文字通り「知恵を持つ人」という意味なのである。」へっー!

  • 生命の歴史をその創生から説き進める試みは壮大であり興味深いものではあったがやはり一つ一つの区切りでのインパクトに欠けるものであった。上下2巻位の厚みのほうが良かったのかもしれない。また、もう少し説明のポイントとなる図、写真も増やしてほしかった。しかしながら、進化論関係の本を読むといつも自然が生み出した壮大にして厳粛な試みとそのダイナミズムに圧倒される。

  • 太古の海に生まれた藍藻(シアノバクテリア)からホモ属まで、悠久40億年に亘る生命の歴史を、古生物学者の生態を交えて語るユニークな一冊。古生物学というと、どうしても恐竜とかカンブリア大爆発とか特定の時代に偏りがちで、ここまでの「通史」というのは前代未聞ではないだろうか。通史に混ざって記述される古生物学の様々なエピソードも興味深く、中でも白亜紀末(K-Pg境界)の大量絶滅の原因が隕石とほぼ断定されるに至った経緯は興味深かった。

  • この分厚い書籍は、著者の目線での生命史です。

  • 買ったのは、10年くらい前だろう。久しぶりに読み直した。生物の進化は不思議だと改めて思う。著名な天文学者にしてSF作家のフレッド・ホイルが進化論の本に登場するのは、もはやお約束か。第8章「大陸塊」の「どんな世界でもそうだが、科学にも直線的な順位がある。この順位はもちろん公式のものではないが、科学者ならば誰もが自分がはめこまれている位置を自覚している。階級の最上位に位置しているもっとも頭の切れる選り抜きの科学者とは、理論物理学者たる数学者である。…/そのちょっと下に位置するのが物理学や化学の実験科学者である(当節は生化学者もここに入る)。…/「大陸移動派」対「反大陸移動派」をめぐる物語は、野外研究者が理論物理学者に勝利をおさめた数少ない例の一つである…。有力な物理学者たちは、氷河が残した石や特徴的な化石といった証拠の数々を何十年にもわたって無視しつづけた。」(286~287ページ)という下りからは、古生物学者である著者の心情がうかがえる。「選り抜きの科学者」である「理論物理学者たる数学者」として名前が挙がっているのは、アイザック・ニュートン、アルバート・アインシュタイン、リチャード・ファインマン、スティーヴン・ホーキング。

  •  生命40億年の記録をたどる、化石からの手がかりで時代を遡るのだが、遠い過去ほどその全貌は薄ぼんやりしてくるのだった。憶測で断定しないところに好感がもてる。結局、地球生命の全容は紆余曲折を経て現在にいたるようだ。そうすると人類の未来も危なげで不確かなものだということが分かる。

  • この宇宙に地球が誕生し、どのように生命が生まれ、そして現在へと続いているのか。
    古生物学の書物といえば、特定の種やグループの進化について、あるいは地質年代を軸に書かれているものが大半だが、この本はそうではなく、地球上に生命が誕生してから現在に至る40億年について語られている。しかしその内容はただ単に時系列に並べられているだけでなく、著者の古生物学者としての経験、同じ学者の見解、また学会で起こった問題なども織り交ぜながら、目の前にいる人に話しているかのような口調でつづられている。
    本書の直接的内容とは関係ないが、私が興味をひいた部分をひとつ紹介すると、
    炭素とケイ素の話。生体の源は炭素であり、この炭素と同じくらい用途の広い元素としてケイ素がある。この時、他の本みかけた“人類は炭素の知性からケイ素の知性への変化を引き起こす酵素である”という言葉を思い出した。これについては、我々の未来を示唆した感じがした。
    この本の締めくくりにモーリス・ラヴァエル作曲の「ボレロ」の話が登場する。生命の進化はまさしくこのボレロと同じである。はじめはゆったりとはじまり、そのうち若干の変奏を交えそして徐々にテンポアップしていく。奏でる楽器の数は次々と増えていき、その度にテンポははやまり最高潮に達する。
    この本を読み終えたら、ぜひこのボレロを聞いて振り返るといい。生命40億年という悠久の歴史に思いをはせながら、これから人類が迎える運命を考えるだろう。そこには人類には如何ともしがたい運命が待っているかもしれない。しかし、生命はそれに立ち向かい対処していくだろう。そう考えると明日への勇気さえも湧いてくるのである。

  • 第1章 悠久の海
    第2章 塵から生命へ
    第3章 細胞、組織、体
    第4章 私のお気に入りと仲間たち
    第5章 豊饒の海
    第6章 陸上へ
    第7章 森の静謐、海の賑わい
    第8章 大陸塊
    第9章 壮大なものと控えめなもの
    第10章 終末理論
    第11章 乳飲み子の成功
    第12章 人類
    第13章 偶然の力

  • 全体的にきれいです。3£。

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著者プロフィール

1946年生まれ。古生物学者。2004年に長年勤めた大英自然史博物館古無脊椎動物部門主席研究員を退任。2005年よりロンドン地質学会会長に就任。英国古生物学会会長(1994―96)、ブリストル大学科学技術公衆理解担当客員教授などを歴任。数々の学術賞を受賞。専門はオルドビス紀の三葉虫と筆石類の進化・生態・体系学。著書に『三葉虫の謎』(垂水雄二訳、早川書房)、『生命40億年全史』、『地球46億年全史』(ともに草思社)ほか。

「2013年 『文庫 生命40億年全史 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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