- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794212375
作品紹介・あらすじ
日本最強の圧力団体、日本医師会は戦後五十余年の歴史をもつ。昭和三十二年より十三期、二十五年間にわたって会長を務めた武見太郎氏が築いた、誰の言うなりにもならないその姿勢は、毀誉褒貶相半ばするところではある。武見太郎氏をはじめ、坪井栄孝現会長ら歴代会長への取材を重ねてきた著者が、初めて明かす彼らの肉声や言動によって日本医師会五十年の知られざる内幕を描き出す。
感想・レビュー・書評
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診療報酬の改定はいつも話題になるが、
それは日本医師会が反対するという図式がほとんど。
ただでさえ、財政問題があるというのに、
高所得の医師たちは何をいうのか、
そんな憤りのもとに読み進めた。
日本医師会の組織論として、とても面白い。
確かに欲張りな医師も多いのだろう・・・
著者自身の長きにわたるキャリアゆえに、
ここまでリアリティをもって書けるのだろう。 -
「喧嘩太郎」たる武見太郎率いる日本医師会の歴史を理解出来る好著。
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【読書その19】医事評論家の水野肇氏の著書。先日読んだ「誰も書かなかった厚生省」に続き、今回のテーマは日本医師会。業務上一緒に仕事をすることの多い日本医師会の歴史等を勉強しようと思って手に取る。特に昭和32年から13期、25年にわたって会長を務めた武見太郎氏についての記述に富む。武見太郎氏をはじめ、歴代の会長への取材を重ねてきた著者だからこそ書ける日本医師会の内幕。
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日本医師会という組織は、相当な政治力でもって政権に圧力をかけ、医師の既得権を守ってきたような印象のみ持っていた。おそらく、多くの国民はその程度の認識しかないであろう。
本書はその日本医師会の歴史そのものとも言うべき武見太郎の歴史を中心に、元は新聞記者であった医事評論家の著者が、ほぼこの組織に密着する形で取材してきた内容を詰め込んだ、「禁断の領域」を明かした書と言っても過言ではないだろう。
本書を通じて今後の日医のあり方が問われる内容となっているようにも感じる。厚労省に対抗した独自のシンクタンクである日医総研を立ち上げた坪井栄孝が診療報酬のマイナス改定を飲んで失脚したことで、著者の言葉を借りれば、日医は「欲張り村の村長」の集まりであることが露見してしまった。
これから先の日医は、あるいは日本の医療はどうなっていくのか。本書を読み進めるにつれ医家にも政治力の必要なことが伝わってくるが、果たして武見や坪井のようなリーダーシップを発揮できる人物が現れるのか。
現在は財務偏重の医療制度改革の流れが進んでおり、すでに各所でそのひずみが生じているが、これを「痛みを伴う改革」などという言葉でごまかしてはいけない。質・コスト・アクセスの3点から論じられるような医療側のリーダーが求められている。