小泉の勝利 メディアの敗北

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794215376

作品紹介・あらすじ

小泉政権の誕生から終焉まで五年半の間、著者は多くのルポルタージュを書いてきた。この間、大方のメディアは著者もふくめて小泉前首相の政治手法や能力を見誤り過少評価してきたのではないか。しかし、結果として彼は予想を裏切り、いくつかの大きな仕事をなしとげ、最期まで高い支持率を維持しながら去っていった。自らをふくめてなぜメディアは小泉前首相を正当に評価できなかったのか。著者自身のルポルタージュ21本をもとに検証と反省をこころみ、小泉政治の本質を考える。

感想・レビュー・書評

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  • 小泉純一郎という類まれなる首相にマスコミがどう翻弄されたのかという観点で、ジャーナリストの上杉さん自身の過去の記事を反省しながら解説する。
    小泉政権の是非は別として、ある意味、非常に爽快な気分にさせてくれます。(笑)
    逆にいえば、いかに日本のマスコミの知的水準のたかが知れているということであろう。井の中の蛙の「常識」なんですね。
    余談だがこの頃の上杉さんの著作はとても面白かったのだが、最近は記者クラブへの遺恨話?(失礼!)が多いためか、話が単調になってきているのと、政治予測もよく誤っている。再びこうした反省本を出してほしいと思う。

  • 権力を監視する役割を果たすべきメディアが、小泉政権にはことごとく惨敗した状況を、当時の記事で検証する。

    背景、当時の記事、検証の構成、21組。
    背景も知らず、初めて記事を読み、検証と比較しようと思うと結構読むのが大変です。
    結局、最も率直正直な政治家だった、ジャーナリズムも見習うべし、と。

  • 現代日本が生んだ稀有な政治家、小泉純一郎の在籍時の記事を、後から検証するという面白い本。筆者は最近ではトンデモ度が増している上杉隆さん。でも、この本では上杉隆さんの在野感覚や俗っぽさが良い塩梅になっていると思う。

    21世紀になって異例の長期政権を築いた小泉純一郎と、メディアとの関わりを軸に、外交、拉致問題、郵政、小泉後についての記事を検証していく。ただ、この検証というところが、ちょっと文章的にこなれていないところも多々あって、混乱する場面があった。もっと面白くできたはずなのに。

    小泉はメディアに勝利したかもしれないけれども、メディアもその対処法を学んで、麻生政権辺りになると大逆襲をするようになる。で、その後に政権交代があって今の体たらくがあるとすると、メディアの徒労感も相当なものだろうな、と慮れる。

    あの時代を知るための客観的な資料として使えるし、読み物として読んでも独特の面白さがある。

  • 記者クラブ批判で有名な著者。
    5年の小泉政権を俯瞰し、小泉の本質を捉えきれず、翻弄されたジャーナリズムを敗北したと喝破し、当時の自分の原稿を自己採点。
    原稿自体は週刊朝日やら新潮やらの週刊誌に掲載されたものが多く、今までこのようなゴシップ誌は読んだことがなかったので、非常に新鮮だった。真面目な内容を面白おかしいテイストで書くって感じなのね。
    小泉政権の基本的な動きをざっと確認したかっただけなので、気楽に読めてよかった。
    特に田中真紀子や飯島勲、竹中平蔵など小泉の周辺人物にかなり頁が割かれており、今後の研究の参考になった。

  • 新鋭のジャーナリスト上杉隆が、過去の小泉政権の取材時に発表した文章をもとに現在からその適切さを自己検証をした本。海外では、マスコミが自己検証を行うことは当たり前のようだが、日本ではそのような文化はない。そのアンチテーゼに挑んだという感じの本である。

  • 小泉政権5年間で、メディアやジャーナリズムはどのように彼に翻弄され、その評価を誤り続けたかを、自らが当時発表したルポ等を素材にその事後検証を試みるというものです。という固い内容ですが、読み易く、面白い。小泉という人を浮き彫りにすると同時に、ジャーナリズムがどうなっているのかということがよくわかる。
    例えば、有名な「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」の名台詞を、なぜスポーツ紙各紙はあれほど大きく報じたのか、という裏幕とかね。面白いけど、怖いです。

  • 小泉が総理大臣を務めた5年間に筆者が書いた記事を1つ1つ検証して反省するという内容。思い切り間違っていた記事も掲載しているところに好感。普通はこういうことは誰もやらないだろうなぁ。
    記事の背景を丁寧に解説しているので当時何気なく見ていたニュースが「こういうことだったのか!」とフムフム分かり、小泉が良くも悪くもずば抜けた政治家だったということを再確認。こういう本がおもしろくてしょうがないのは自分が年取ったからだろうか。

  • ほぼ衆目の一致することだと思うが、記者クラブで情報を独占するのをやめること、記事をすべて署名入りにすること、それからメディア自身の過去の過ちを検証すること、がメディアが最低限やらなくてはいけないことだが、著者はここで自らの過去の小泉絡みの記事を振り返って、どこを見誤ったか、という今のメディアでは珍しい検証作業をしている。
    メディアが「予想」ばかりに走るのは何より権力に対するチェック機能を放棄して自らを政治におけるプレイヤーになって利用されにいくようなものであり、当たろうが外れようが、たまたまに過ぎない、いう意見に全面的に賛成する。

  • 敗北とのタイトルがしっくりこないところはあるかが、
    当時の雰囲気を思い出すにはとてもよかった。

  • 面白いんですが、やはりこの本にも間違いはありました。

  • 竹中平蔵大臣日誌を以前に読んだので、その時期を別の観点から見ている本を読んでみたくて選んだ一冊。元来政治に興味のない私には無理があったか、、と読み始めて早々に思いました。確かにパワーゲームの側面はあるのでしょうが、そこだけ取り出されても「だから?」としか思わない。パワーゲームは政策を通す目的あってこそなんじゃないのかなー。外野から見た裏話に固執されても、ふーんとしか思えないかな。

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著者プロフィール

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「2018年 『人生から失敗はゼロになる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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