文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫 ぺ 1-1)
- 草思社 (2011年8月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794218452
作品紹介・あらすじ
世の中には平気で人を欺いて陥れる"邪悪な人間"がいる。そして、彼らには罪悪感というものがない-精神科医でカウンセラーを務める著者が診察室で出会った、虚偽に満ちた邪悪な心をもつ人たちとの会話を再現し、その巧妙な自己正当化のための嘘の手口と強烈なナルシシズムを浮き彫りにしていく。人間の悪を初めて科学的に究明した本書は、人の心の闇に迫り、人間心理の固定概念をくつがえした大ベストセラー作品である。
感想・レビュー・書評
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著者の息子、とんでもないことに気づいた。
悪(evil)という字の綴りは、生きる(live)という字の綴りの逆だということに。悪は生に対置するもの、他者を支配し、その肉体ばかりか精神をも殺すもの。
悪い人間に焦点をあて(悪い人間というのは犯罪者を指すのではなく、どこにでもいる普通の人間)虚偽で取り繕った仮面の下にある「邪悪性」に目を向けさせようというのが本書のねらい。気づきにくいけれどわりと出会う、話していて、なんだか変だぞあなたの感覚、と感じるような人々。精神科医の診断を求めて来る者たちの多くは、この邪悪性の犠牲となっている。
最後の方では、ベトナム戦争時のアメリカ軍によるソンミ村虐殺事件を中心に、集団としてまたは国家としての悪に考察が深まる。理想主義者であることを自認する著者は、世界平和を希求するためには悪と科学的に向き合うことが必要だと考えているようだ。非常に高邁な信念のもとに書かれたのではないかと思われる、読みやすくも示唆に富むベストセラー。
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離婚調停中に、私はこの本に出会いました。妻は、虚偽DVを主張しており、どうやら彼女の記憶ではそれが真実になっているようでした。この本は、彼女を理解する上で、大変役に立ちました。私は、自己愛性パーソナリティ障害の関連としてこの本を読みました。身近に実例があったこともあり、非常に分かりやすかったと思います。
この本で、特に面白いと思ったのは、「病気」と「邪悪性」に定義をつけ、定義をつけることの有用性を説明してくれていたことと、個人から組織に視野を拡大していたところです。考え方として、大変参考になりました。
病気『人間としてのわれわれの潜在的能力を完全に発揮することを妨げる、身体および人格の構造内に存する欠陥である』
邪悪性『自分自身の病める自我の統合性を防衛し保持するために、他人の精神的成長を破壊する力を振るうことである』
この定義に当てはめると、毒親に育てられた子は、「親の邪悪性という病気によって生じる病気」といえるのかもしれません。理解不足で、間違ってたら、申し訳ありません。 -
久しぶりに人文科学系の作品を読んだ。性善説ではなく、性悪説で人間の本質に斬り込んだ作品。自己正当化とナルシシズム…人間の本質は悪なのか…たなか亜希夫の『軍鶏』にも、『人間の本質は悪』という記述があり、ずっと心に引っかかっていた。現代日本で増加している極悪非道の犯罪の多発を見れば、本質が悪という人間が増えているように思う。でも、性善説を信じたい。
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なんだかわからないけれど付き合いにくい人、モヤモヤとした印象が残る人、話しても理解しあえない人、、、。誰にでも、身近にいると思う。嫌な人間関係というものも、あるのだ。腑に落ちる。
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「虚偽と邪悪の心理学」という副題がついているが、あまり心理学という感じがしない。
精神科医として著者が出会った困った連中が大勢出てくる。ただ、彼らが「病気」なのかどうかはぼくにはよくわからない。人並み外れて胸糞悪いのと病気なのはどこが境目なのだろう? 病気は当人の責任ではないが、子どもを虐待するのは病気なんだろうか? そういう連中を「治せる」のだろうか? -
前半部分は面白かったが、事例に出てくる患者のほとんどは救えていないので、尻切れトンボ感がある。ただ、参考になる部分もあった。
終盤の「集団の悪」の部分は、精神科学や心理学というよりも、根拠の明示されない論文をただ読まされているような、そんな印象だった。
全体を通して作者の思想や考えに偏りがあるように見受けられる。
また所々で、作者が人種差別的な意識を持っているように感じた。アジア人や黒人に対して。
総じて、作者の考える邪悪性というものに対して、作者の決めつけ感が拭えず、腑に落ちない部分が多々あった。
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人が持っている邪悪性について話されている。
邪悪の根源には原因があり、子ども時代に愛を受けなかったら邪悪になる確率が高くなったり、環境による。
精神病になって、邪悪性に気づかない人やそれによって苦しんでいる人もいる。
悪「evil」の反対は生「live」である。
新しい発見のある一冊である。 -
善の心とは躍動を生む事。
ある脅迫神経症患者の告白。