- Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794222480
作品紹介・あらすじ
山東京伝や恋川春町らの黄表紙で江戸を沸かせ、天才・歌麿の才能を磨き上げ、怪物・写楽を産み出した江戸後期の稀代のベストセラー仕掛け人・蔦屋重三郎を主人公に、時代を見事に活写した傑作評伝小説。現在の出版界に通じる先鋭な発想、創造に賭ける情熱が全篇に溢れる。
感想・レビュー・書評
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話が一本調子で、せっかく面白い題材なのに残念。
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伊達に分厚くない。吉原の貸本屋から身を起こした蔦屋重三郎の人生を描く。
彼と関わった多くの戯作者・狂歌師・画工が登場するが、一際印象的だったのは、温厚で優面で大酒呑みの恋川春町。小禄ながら武士の端くれだった彼は、松平忠信の治世下で追い詰められ、自死を選ばざるを得なかった。 -
東2法経図・開架 913.6A/Ma66k//K
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内容は詳細。でもどうもほかの小説群に比べて、蔦重の人物像が気に入らない。山東京伝も歌麿も。いいのは喜三次くらいか。
それゆえに読み進まない。本当はどういう人かわからないが、蔦重の人物造形だけでいえば、例えば「蔦重の教え」の蔦重のほうが好み。 -
痛快でせつないピカレスク・ロマンだった。
江戸の出版界の大立者、蔦屋重三郎の評伝小説。
でも、これは群像小説かな。
彼の見出した才能。
恋川春町
山東京伝
喜多川歌麿
東洲斎写楽
そして狂歌の四方赤良
まるで綺羅星。
役者と吉原と、様々な浮世絵と、流行の本。
それらは今になっても人々に愛されている。
どんなふうに彼らが絢爛たる江戸文化を
花咲かせたか。
その刹那の輝きと、時代が爛熟して砕け散る
直前の怖さ、寂しさを存分に書いている本。
ベタベタとした時代小説の感じじゃなく、
まるでビジネス小説で、人物は活写してるけど
蔦屋重三郎という男が駆け上がっていくさまを
一気呵成に読ませる。
上昇気流に乗る、野心ある男たちの勢いを
読むのが、すごくよかった。
皆激しい野心と才能を烈火と燃やして。
ある時は肩を寄せ、ある時は孤高に。
ある時は激突して離反して…。
ただの人には出来ないことを演ったものたちが
時代を渡ってゆく。
上記の人物たちも、日本史や国語の文化史で
覚えたら、暗記にすごく苦労したのに
この本で読んだら、どの人物もいきいきして
すんなり頭に入ってくる。
あまつさえ、彼らの作品に触れたくなるのだから
不思議。やっぱり興味が先にたつと理解が早い。
流行りのものは儚く淡い。
夢と砕けた時の寂寥はひとしおだけど
重三郎が選んだ才能は一流だった。
見よ。作中で山東京伝がそれについて慨嘆を
きかせるが、本物が熱狂された故に、私達の
時代でも、きらきら輝いて残っている。
重三郎のすごさ。
それは、一流のものを、市民に気軽な懐銭で
享受できるようにしたこと。
手の届かない物でさえ、憧れさえ支払えば
気軽に万華鏡でも見るよううに覗かせてしまうこと。
本物は感動させる。
流行りは若々しい風が運んでくる。
それを惜しげなく開陳するから、
ひとはお金を落として熱狂する。
流行するものが粗悪だったら、あとまで残らない。
本物を手渡す眼力の、鋭さ格好良さ。
悪辣なことは何も書かれてないのに
爽快な一代記だった。
まだ、誰も見ていないものを見せてやる。
ここでは終わらない。
その気概が格好良かったのだ。
ピカレスク・ロマンと私が評したのは
このような所以なのだ。 -
わたしの中の蔦屋重三郎は、写楽の映画のフランキー堺。
写楽から始まって写楽で終わるこの小説、そのあいまにあったできごと
キラ星のごとく並ぶなまえ、北斎、十返舎一九、