文庫 犬たちの明治維新: ポチの誕生 (草思社文庫 に 4-1)

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794222565

作品紹介・あらすじ

松陰の米国密航を阻んだ横浜の村犬、ペリー艦隊に乗船し米国に渡った狆、犬連れ西郷の西南戦争…犬関連の史料を渉猟し全く新しい明治維新像を描く傑作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 昔は 犬は 里犬とか村犬とか町犬とか 沢山いたそうです。
    誰が飼うというのではなく どこにでもいたそうです。
    村や町に 見かけない人が 来たら やたら吠えたそうです。
    だから 吉田松陰さんも 外国の船に乗ろうと 浜辺に行ったら 吠えられて一度は諦めたそうです。
    (そんな逸話って聞いた事なかったので驚きですね)
    さらに、開国して外国の人が来たら まぁこれもかなり 吠えたそうです。
    色々海外の人の手記に残されているようです。
    勿論 海外から 洋犬も持ち込まれました。
    日本の人は 洋犬を 「カメ」と読んだそうです。
    どうやら 「カム・ヒヤ」が そう聞こえた?

    西郷さんの犬好きの話も色々ありました。

    そして、最後に 何故 町犬や村犬がいなくなってしまったか・・・

    というような 内容の本でした。
    ノンフィクションですが  楽しめる本でした。

  • <目次>
    第1章  犬たちの開国
    第2章  横浜開港
    第3章  犬たちの明治維新
    第4章  西郷ドンの犬
    第5章  ポチの誕生
    終章   薩摩の犬のその後

    <内容>
    イヌ好きの元新聞記者が、雑誌「動物文学」に連載した記事をまとめたもの(第1弾は『犬の伊勢参り』)。今回は、明治維新期を中心としたもの。好事家の作品だが、新聞記者らしく、詳細に史料にあたり、丁寧に分析をしている。またイヌの話だが、西南戦争と西郷隆盛とか、歴史家が気づかない話を盛り込んでおり、意外と信憑性が高い気がする(西郷隆盛は、反乱を起こしたわけではなく、政府に自分へのさまざまな発言や行動が「私事」なのか、「国事」なのか、それを「尋問」するために、薩摩を立ったする)。
    また私の好きな銅像についても、西郷隆盛像の完成時の話を分析するが、それも示唆に富む。

  • これはすごい!としか言いようのない本だった。
    今まで日本の犬の歴史について、これほど掘り下げて調べた本はなかったらしいが、目からウロコが何枚も落ちた。
    江戸末期まで犬は基本的に個人が飼うものではなく、集落が飼うものであったが、明治開国に至って犬の飼い方も西洋化したこと。幕末の武士は酔って犬を切ったりすることが珍しくもなかったという恐ろしい事実。西郷どんの愛した薩摩犬が絶滅に至った影に太平洋戦争の犬の供出があったこと。などなど…歴史好き、犬好き、それ以外(私はこの部類)にも分かりやすく、未知の扉を開いてくれる本。
    著者の類い稀なる研究熱にただただ脱帽。

  • 明治維新前後、犬と人間の関わりにどのような変化があったのか、膨大な資料をもとに紐解く本。
    元々里犬として町の中で自由に暮らしていた犬が、西洋の犬のようにキチンと飼い主に管理されるようになったこと、西洋の犬がもてはやされ、従来の日本犬が淘汰されてしまったこと、ポチという名づけの由来、西郷隆盛と犬のエピソード…と盛りだくさんの情報が詰まっている。話しがあちこち飛びすぎたり、史実を独善的に捉えてるようなきらいがあって読みにくいと感じる部分もあったが、こういうテーマの本はなかなかないので、そこそこ面白く読めた。

  •  本書では、黒船襲来によって日本人の生活が大きく変化したように、日本の犬たちの運命も激変したことが述べられています。
     ペリー来航の際、将軍から狆ちんがアメリカ大統領へ贈られたこと、日本では明治維新まで地域ぐるみで飼われていた普通の里さといぬ犬たちが一掃されて洋犬がもてはやされるようになったことなど、犬に関係した話題を来日した各国の公使、通訳、医師たちの日記、また交渉に当たった日本側の役人や通訳の報告書などの史料を駆使して取り上げています。明治天皇の狩猟犬、西郷隆盛の薩摩犬、犬の名前人気ランク第一位の「ポチ」の語源についてなど興味深い内容です。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:596117 請求記号:645.6||Nis

  • 2017-2-22

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著者プロフィール

仁科 邦男(にしな・くにお)
1948年東京生まれ。70年、早稲田大学政治経済学部卒業後、毎日新聞社入社。下関支局、西部本社報道部、『サンデー毎日』編集部、社会部などを経て2001年、出版担当出版局長。05年から11年まで毎日映画社社長を務める。名もない犬たちが日本人の生活とどのように関わり、その生態がどのように変化してきたか、文献史料をもとに研究を続ける。ヤマザキ動物看護大学で「動物とジャーナリズム」を教える(非常勤講師)。著書に『九州動物紀行』(葦書房)、『犬の伊勢参り』(平凡社新書)、『犬たちの明治維新 ポチの誕生』『犬たちの江戸時代』『西郷隆盛はなぜ犬を連れているのか』(いずれも草思社)がある。

「2022年 『文庫 「生類憐みの令」の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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