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図書館の展示会のため、江戸の切絵図に関する本を探していたところ、大学の地理の先生に紹介していただき、厚かましくも先生の私物の本なのに貸していただいて読みました。地図を紐解くと、こんなに色んな情報が得られるのか、と大変面白く読んだ。江戸時代って、歴史で習う遠い世界のことかと思っていたけど、知れば知るほど現代と地続きなんだよね。地図の製作者が著作権を侵害されて訴訟を起こす話や、出版事項をちゃんと記述するようにとのお触書の話など、ちょっとした挿話が、知的財産への意識の芽生えを感じて興味深かった。それにしても昔の人の字の美しさや作図能力は見事です。今の私たちも、鍛えればここまでできるようになるんだろうなあ。同じ人間だもんね(能力の差は当然あるけど)。


2012年06月01日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年06月01日)

黄砂―その謎を追う

岩坂 泰信

/ 紀伊國屋書店 / 2006年03月 発売



ネタバレ  黄砂は春の風物詩。でも何で春?秋に来たり、来る時期が早くなるのって、地球の温暖化と関係があるの?と疑問に思ったので読んでみた。ご存知のとおり、黄砂は偏西風にのってやってくるので春と秋に来るんだけど、春の砂は乾いているのでより飛びやすいんだって。夏の雪解け水で湿った秋の砂は遠くまで飛ばない、ということらしい。という話はこの本の一部で、他にもたくさん、黄砂についての研究が載っていて面白い。研究テーマの立て方や、具体的な実験方法など、一般の人が読んでもわかりやすいと思います。何より研究が楽しそうなのが伝わってきて、いいです。本来、研究ってこういう「わくわくするもの」だよなあ、と思いました。


2012年05月21日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年05月21日)

碧空の果てに (カドカワ銀のさじシリーズ)

濱野 京子 丹地 陽子

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2009年05月29日 発売



ネタバレ  最初、設定があまりにもステレオタイプかな、と思ったのですが、終盤は面白くなってきた。でもやっぱり、ちょっと物足りないかも。昔みたいにファンタジーを楽しめなくなってきたのかな。


2012年05月12日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年05月11日)

街場の大学論 ウチダ式教育再生 (角川文庫)

内田 樹

/ 角川書店(角川グループパブリッシング) / 2010年12月25日 発売



ネタバレ  ほんと、「そうなんだよ!」と納得するばかり、感心するばかりの本だった。ダンナが大学院で大学について勉強したり、自分も仕事で図書館のラーニング・コモンズに携わったりする中で、以前から漠然とあった大学教育への疑問や不満の正体が少しずつ見えてきていたのだけれど、この本を読んで一気に目の前が開けたような気がする。明解な論理とわかりやすい比喩、そして軽快な語り口。ここで「軽快な」というのは大変重要。論理が正しくても、人を不快にしたり不安にしたりして自分の論理を通そうとするのはもってのほかです。そのあたりの行き届き方が読んでて大変気持ちよかった。さて、内容は、というと、FDやリベラル・アーツ、自己点検・評価など、現在の大学を取り巻く「改革」について。なんだけど、大学で学ぶことの意義や、論文とは何か、などについても書かれている。学術論文に必要なもの、それは「読む人への愛」だそうですよ。これは第7章に書かれているんだけど、図書館でレポート作成についての授業をすることができたら、この部分をテキストにしたい。おしなべて今の教育はスキルばかり教えて精神を教えないから、一つ一つを覚えていくだけで他のことに汎化できなくなってると思いますが、この第7章を読めば、どうしてそうなのか、という根幹の部分がしっかり伝わると思います。他にも教育効果は数値化できない、という話や、大学の評価活動で教育活動が疲弊している話、あれこれと工夫をすることも大事だが、結局目の前の学生と楽しく過ごすほうが長いスパンでは有効ではないのか、という話などが興味深かった。大学で働く人に薦めてまわりたい本です。


2012年05月07日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年05月07日)

ブレイブ・ストーリー(下)

宮部 みゆき

/ 角川書店 / 2003年03月05日 発売




2012年04月25日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年04月25日)

ブレイブ・ストーリー(上)

宮部 みゆき

/ 角川書店 / 2003年03月05日 発売



ネタバレ  図書館員なのにあまり小説を読まない私の初「宮部みゆき」作品。以前新聞で連載されていたときにちょこちょこ読んでて、これは絶対全部読んでみたい!と思ってから、何と早10年。さすがに面白かった。ファンタジーの王道、成長譚の王道。先にこの本を読み終わった娘が「こんな5年生おらんやろ~」と言っていた。まあ、若干強引な感じもしたけど、すっかり世界に入り込んでしまいました。ミツル、あのままなのかなあ。それだけが心配。


2012年04月25日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年04月24日)

かたち誕生―図像のコスモロジー (万物照応劇場)

杉浦 康平

/ 日本放送出版協会 / 1997年03月 発売



人間は何を思って「かたち」をつくるか、人間は「かたち」から何を感じ取るのか。そんなことを考えていたときに出会った本。最近気になっていた、大極図、唐草模様、木、曼荼羅など、よくもここまで私の知りたいことが集まったなあ、と驚愕した。著者は杉浦康平さん。何かこの感じはとても好きだと思ったら、私が大好きだった雑誌「季刊銀花」の装丁を手がけた人だったんだな。好きなものは知らないうちにアンテナに引っかかる、集まってくる。この本は、私の好きなものの集大成だった。


2012年04月03日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年03月25日)

生物は体のかたちを自分で決める (進化論の現在)

ジョン・メイナード=スミス 竹内 久美子

/ 新潮社 / 2002年10月17日 発売



生物のかたちは、なぜ今の”かたち”なんだろう?という素朴な疑問があって、読んでみた。とっても小さい本であっという間に読めてしまうけど、大事なエッセンスがギュっとつまってる、入門書にぴったりな本。いや、けっこう専門的なのでちょっと難しいかな。生物のかたちは遺伝子がデジタルな情報の形式で体をつくる指令を伝えている、という考えと物理・化学的な作用に基づいて自己組織化してつくられる、という対立的な考えがあるが、それをうまいこと融合させるとよいらしい。これらは遺伝学と発生学の研究成果をお互いに取り入れることで飛躍的に解明されてきたということだ。生物の形成が物理で説明されうる、というのが大変面白い。最近読んだ本には、複雑系、カオス、フラクタルという言葉がよくでてくる。これまでは人力では計算できなかった世界がコンピュータによって計算可能になったことで、偶然と思われてきたことも物理的な作用の範囲内だったとわかるとかそういうこと・・・かな。ちょっとわくわくする。


2012年03月16日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年03月16日)

心理学化する社会 (河出文庫)

斎藤 環

/ 河出書房新社 / 2009年01月26日 発売



私が心理学を学んでいた学生時代、「どんなことをするの?」とよく聞かれた。今なら絶対に聞かれない。それほど周知の事実になってしまった感のある心理学に、違和感を感じていたのだが、この本を読んでなるほど、と思った。私が何かヘン、と思い始めたは、「自分探し」がはやった頃から。そして癒しブーム。そのあたりがきっちり説明されています。何でそんなに癒されたいの?という疑問。苦しいことは即解決しないと気がすまない、人を傷つけてはならないという、一種脅迫的な観念。生きてりゃ苦しいし、それを抱えながら生きていくもんだし、人を傷つけたり傷ついたりしながら自分というものが固まってしっかり根を張って生きていくことができるんじゃないの?というのはもう通用しないんだね・・・。と考えると、何だかどこを向いて生きたらいいのか、途方にくれるなあ。古き良き時代(?)に帰ることはできなくて、どんなことも時代をさかのぼることはできなくて、今ある現実をどう受け止めて、これからどうするか。この本はその答えらしきものに向かって進むんだけど、どんどん理念的になっていくので、現実にどのようにおろすのかが難しい。著者にはビジョンが見えてるんだろうけど(見えてるからこそ理念として提示できるんだろうけど)、具体化されないとよくわからない。それにしても、私の最初の疑問ってほんとにこれだったっけ?この本を読む前に、私が何に違和感を持っていたのか、はっきり言語化してたらもっとよく理解できたかもな。


2012年03月06日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年03月06日)



最近、仕事で考えに考えているテーマにどんぴしゃのタイトルだったので思わず手に取ってみた。この本で「なるほど」と思ったのは、理系は「かくある」、文系は「かくあるべし」の学問である、とあったこと。私はそれを「真・善・美」のうち理系=真、文系=善 だと思っていたので、あ、なんか近いなと思いました。今、たとえば原発の問題など、科学技術の発展に人間のコントロールがついていっていないのは、科学技術を考える人たちの間に「かくあるべし」の発想がないからだとすれば、文理の融合は急務だと思う。文理シナジー学会はおもしろそう。ただ、ここでは現実世界の課題をどうやって解決するかという具体的な対応について考えられていて、それはとても重要なことだけど、今仕事で考えているのはどちらかというと思考法など基礎的な部分なので、若干目的が異なる。この本で紹介されている古典が、とても役に立ちそうだ。パスカルの「パンセ」は必読かも。


2012年02月22日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年02月22日)

アイデンティティに先行する理性

アマルティア セン Amartya Sen 細見 和志

/ 関西学院大学出版会 / 2003年03月 発売



ネタバレ  タイトルに惹かれるものがあり、読んでみた。社会学の講演録+解説。ここでいうアイデンティティとは、「社会的アイデンティティ」のこと。つまり、自分が何に帰属しているか、帰属していると思うか、ということ。講演の要旨は、人は社会的アイデンティティに影響を受け、拘束もされるが、社会的アイデンティティがあることで、帰属する社会を維持することもできる。ただし社会的アイデンティティが何よりも優先するのではなく、かつ、いくつかある社会的アイデンティティ(たとえば、日本国民であること、女性であること、母親であること、政治的信条のこと、など)のうちどれを選ぶかは個人の選択の余地がある。この選択を行う合理的な判断(理性)が大事である、ということ。・・・だと思う。去年はやったサンデルの正義の話もでてくる。そっちを読んでないので比較できないけど、この本の主張は大変よくわかる。しかし、社会学は難しいな。研究対象が多すぎて、「~論」というモデルを使って世の中を読み解こうとしても、あっちを立てればこっちが立たず、って感じになってる気がする。この本は、望ましい社会の姿に向かって論旨を展開しているので、ちょっとわかった気がする。うーん、やっぱあやしいかな。解説が大変丁寧で、とてもよかったので、もう一回本文を読んでみよう。


2012年02月02日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年02月02日)

能―中世からの響き (角川叢書)

松岡 心平

/ 角川書店 / 1998年12月 発売



ネタバレ  やっと読み終わった。能は総合芸術、と書いてありますが、本当に内容を理解するにはあらゆる知識が必要で、読み進めるのに苦労しました。中世の文化などはまだわかるんだけど、古典文学の知識が全然足りなくて・・・。本を読めば読むほど、まだまだ知らないことだらけだと自覚します。能がつくられた時代の人にとっては当たり前の約束事だったり、本歌取りだったり、そういう知識があるのとないのとでは、面白さが全然違うんだろうなあ。といっても、本物の舞台を見たことがないので、実際にその場でみると圧倒されるのかも知れない。やっぱり本物に触れてみないとね。わかりやすくてドラマチックな、「道成寺」をまず見てみたい。


2012年01月11日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年01月11日)

素数ゼミの謎

吉村 仁

/ 文藝春秋 / 2005年07月12日 発売



ネタバレ  科学への興味をわきたてる本。セミといえば身近な昆虫ですが、その中には13年に一度、あるいは17年に一度大発生するという不思議な性質をもつ「素数ゼミ」がいます。この謎を解くために多くの科学者がさまざまな説をとなえてきたけれど、納得のいく説明をするためには、色んな方面の知識が必要でした・・・。絵本のようなつくりなのですぐに読めるけど、気づけば数学や進化論の入り口に入ってしまってる感じです。「数理生態学」なんて分野があるのをはじめて知りました。数って不思議。昆虫の精巧なシステムに感心。


2012年01月06日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2012年01月06日)

橋はかかる

村崎 太郎 栗原 美和子

/ ポプラ社 / 2010年06月 発売



ネタバレ  自ら被差別部落の出身者であることをカミングアウトした”猿回しの太郎・次郎”の太郎さんの本。被差別部落については、小学校以来学校でならったりしていたけれど、実際に身近に見聞きしたことがなかったので、当事者の苦しみを初めて知ることができた。壮絶・・・。虐待された子どもが虐待に立ち向かう力をそがれてしまうように、多くの部落出身者も自分の境遇に立ち向かうことができなくなってしまう哀しさ。自分たちの境遇を改善しようとして立ち上がっても、急進的・先鋭的な手段を選んだためにかえって社会から敬遠されてしまう悪循環。システムとしての部落を解放しても人の感情にのこる差別の感情。実はこの本の前に2冊、本が出ているのだけれど、それはマスコミに取り上げられなかったのだそう。部落問題はタブーだということで・・・。でも、私はこの本を新聞の書評で知った。ということは、少しずつ、状況が好転している、ということなんだろうか。
この本の中で心に残った言葉に「同苦の悟り」という言葉がある。同じ苦しみを知っている人の手助けをしたい、そう願うこと。今の日本には、きっとこんな気持ちがあふれている。福島から転校してきた子どもがいじめにあっている、という哀しい事例もあるけど、そういう感情を一切消し去ることはできないのだろうけれど、それでも一人ずつでも心を開いて、相手の気持ちを慮っていくことができれば、世の中はもっと幸せになる。太郎さんはそう信じているし、私も信じたい。


2012年01月04日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2011年12月31日)



ついこの間読んだ、「よろずのことに気をつけよ」の学術的裏づけのような本。そして、最近徳島大学附属図書館でやっていた平治物語の崇徳天皇の話も出てきます。呪いというと怖いけど、人々が”呪い”を信じ、恐れることで現実社会での暴走を防ぎ、”呪い”を鎮める”祓い”というシステムが有効だと皆が信じるとき、精神的な浄化がなされる、という、重要なアイテムだったのだと思う。ま、この本の中には壮絶な呪い合戦も出てきますが・・・。日本の裏の文化史、とも言えます。


2011年12月22日 | コメント(0) | 読書記録 | 読み終わった (2011年12月16日)


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