アインシュタインの旅行日記: 日本・パレスチナ・スペイン

制作 : Z・ローゼンクランツ 
  • 草思社
3.24
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本棚登録 : 138
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224002

作品紹介・あらすじ

「日本人は欧米文明を受け入れるのが好きです。
しかし自国の心のほうが、外見は輝いて見えるそうした文明より価値があることを知るべきなのです」

「自然と人間が、ここ以外のどこにもないほど一体化しているように思えます。
この国から生まれるものはすべて愛くるしくて陽気で、
決して抽象的・形而上学的ではなく、常に現実と結びついています」

「今まで知り合ったどの民族よりも気に入っています。
物静かで、謙虚で、知的で、芸術的センスがあって、思いやりがあって、
外見にとらわれず、責任感があるのです」  
           
[アインシュタインの日本評――本書より]

ノーベル賞を受賞する前後、アインシュタインは日本・中東・スペインを講演旅行で訪れていた(1922~1923)。
本書はその旅のあいだ、本人が書き記した日記・手紙に解説を付した一冊。
公開を考えずに記された日記には異文化への辛辣な批評も目につく一方、日本人については好意的記述が目につく。
20世紀を代表する科学者が見出した日本人の美点とは何だったのか?
100年前の日本および日本人についての貴重な証言!

解説:ゼエブ・ローゼンクランツ(カリフォルニア工科大学アインシュタイン・ペーパー・プロジェクトのアシスタントディレクター)

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/735811

  • ふむ

  • アインシュタインが日本、パレスチナ、スペイン、
    (途中上海などにも立ち寄る)を旅行したときに
    書かれた日記をまとめたもの。

    約1/3がアインシュタインの各国に対する印象
    約1/3が日記、30ページほどが補遺(手紙や
    スピーチ)、最後1/3が参考文献など。

    正直、日記は体言止めばかりで読みづらく
    途中から流し読み。補遺の「日本の印象に
    ついてのおしゃべり」はこの短い滞在で
    日本をとても掘り下げたもので興味深かった。

    …もっと日記が多いのかと思っていたので
    少し期待外れ。

  •  1922年~1923年、アインシュタインが日本・パレスチナ・スペインを訪れているのですが、その期間に記した日記や書簡等を再録したものです。
     一次情報に近いものなので、一貫したメッセージやストーリーがあるわけではありませんが、その分、アインシュタインのストレートな感想や思想を垣間見ることができます。

  •  斜め読みした。天才として知られるアインシュタインという人の人間臭さ(というと偉そうかもしれないが……)が見えて面白かった。人種に分けて特徴をとらえたり、文化の水準を推しはかる考え方、ともすれば人種主義やヨーロッパ中心主義的な価値観として見る人もいるかもしれない。そんななかで、辺境も辺境であったはずの日本に関心を寄せ、日本や日本人を礼賛しているというのが面白い。

     他方で、アインシュタインが褒めたたえた日本人が持つ美しい心というものを、当時とはまったく違う時代に生きている現代の日本人がどれだけ持っているのか、と思って、読んでいて悲しい気持ちになったのは、私が老化して厭世的になっているからなのかもしれない、と思った。また読みたい。

  • アインシュタインが日本の改造社からの招待に応じて、日本へ行った時の日記。日記というよりもメモという感じのものだが、道中の様々な出来事にコメントを付けていて、なかなか面白かった。アインシュタインと言えば、高貴な精神の持ち主のようなイメージがあったが、この日記を読むと普通の人達と変わらない印象だった。とは言え、時代が進んだ現代の視点から見ているのでそう感じるのであって、当時は違っていたのかも。
    行く時はネガティブだった日本の印象も、帰りはかなりポジティブな印象に変わったようで、日本の事を大絶賛している。何より謙虚で物静かな印象、知的な雰囲気など、彼が会った日本人達の印象が、そのまま日本の印象になっていたようだ。外国人にとって居心地が良いのは、昔も今も変わらないようだ。

  • この日記はアインシュタインが書いた六冊の日記のうちの1冊である。アインシュタインは1921年に初の海外旅行としてアメリカに行ったが、その時の力は存在していない
    アインシュタインの中国人観が矛盾に満ちている事は明白だ。中国人の窮状に共感を感じてはいるが、他方、中国人の人間性を疑っている事は一連の気がかりな言葉に明瞭だ
    訪日前のアインシュタインは、日本のことをおとぎ話のような小さな家と小人たちの国だと思っていたと語っている
    その後、日本と日本人に対して純粋な心は、他のどこの人々にも見られない。みんながこの国を愛して尊敬すべきだと書くまでになる
    我国の人間と比べると、日本人は人付き合いが陽気で気楽です。日本人は将来に生きるのではなく、今を生きているのです

  • 東洋経済掲載2019914

  • 日本への旅行前には、日本に対して決して良い印象の無かったアインシュタインであるが、旅行後にはそれは一変し、息子たちへの手紙で以下のように伝えている。

    「ところで、日本人のことをお父さんは、今まで知り合ったどの民族よりも気に入っています。物静かで、謙虚で、知的で、芸術的センスがあって、思いやりがあって、外見にとらわれず、責任感があるのです。」

    正にベタ褒めと言っていいだろう。
    極東のちっぽけな島国に、このような国民が居ることに驚嘆したに違いない。

    しかし第二次世界大戦期に彼は、ナチスに対抗するため米国大統領に原爆開発を進言。しかし完成を待たずしてナチスは降伏。結果として日本に投下された事は皮肉としか言いようが無い。

  • 1922年アインシュタインは船で日本へ向かいます。インド、シンガポール、香港、上海を経て神戸に入港します。それから1ヶ月半、日本各地で講演をし、その後エルサレム、スペインを経て半年かけてドイツへ帰国しました。その時のアインシュタインの旅行日記。
    大きく3つに分けられ、最初は編者ローゼンクランツの解説。アインシュタインの日記。そして膨大な注記。
    写真も多く、充実の一冊といえるが、注記の種類と量が多くて、自分が知りたい注記を探すのが大変だった。
    初めての日本訪問は、とても興味深く好意に満ちたものだったようだ。

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著者プロフィール

アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)
ドイツ生まれの理論物理学者。1879年3月14日生まれ。チューリッヒ工科大学を卒業後、ベルンで特許局技師として働きながら研究を続け、1905年に特殊相対性理論など画期的な3論文を発表。1916年には一般相対性理論を発表。1921年度のノーベル物理学賞を受賞。この時期から世界各国を訪問するようになり、1922年~1923年に訪日。ナチス政権の成立にともないアメリカに逃れ、以後はプリンストン高等研究所を拠点に研究を続ける。1955年4月18日死去。「20世紀最高の物理学者」「現代物理学の父」等と評される。

「2019年 『アインシュタインの旅行日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アルバート・アインシュタインの作品

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