生き物の死にざま

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794224064

感想・レビュー・書評

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  • なるほど、と思うのもあるのだけど、みんな同じっちゃ同じなので、だんだん飽きてしまった、、若干情緒的すぎる文章でもあり。

  • 諸行無常というか切なさも感じるというかたくましさも凄絶さも、それでも連綿と続いてきた命を考えさせられた。

    最後のヒトと関係の深い動物たちの命も。

    追記
    蚊の章は、読まなければ良かった…
    叩いたり、蚊取り線香を焚くときに、ほのかに罪悪感に苛まれる…
    知らないほうが良いことも、世の中にはあるのだ。
    ゴメンやで…
    ちょっとだけ、ブッダ気分…

  • 生き物に優しくなれる
    一度に一生き物ずつしか読めない
    胸が熱くなり、悲しいような愛しいような、気持ちでいっぱいに

  • 1番衝撃的な内容は、ハサミムシの子どもたちは自分の母親の体を食べて生きるということです。読んで思うことは生き物は種の保存の法則で進化するということです。人間もその法則から逃れられない。
    この本は「なぜ生きるのか」を考えることの参考になる。
    印象に残った文章
    ⒈ アンテキヌスは「次の世代のために生きる」という生きることのシンプルな意味を教えてくれている。
    ⒉ 生命は尊く、かくのごとく残酷なのである。
    ⒊ 「老いて死ぬ」ことは、生物が望んでいることなのだ。

  • 最初のセミの話を読んで買うことを決めた。
    仰向けで倒れているセミは自分自身の役割をやりきったという感じなのかな。
    セミ自身はどちらでも一緒なのかもしれないけど仰向けのままで車や人に踏まれて一生を終えるのはいたたまれない。
    ヒキガエルも蚊もニワトリもネズミもイヌも人が生きていくために人が不自由なく暮らしていくために、全てではないが自然に一生を終えるのではなく人によって一生を終える結果になっている。
    人は色々な犠牲があってこそ生きていけるということを忘れてはいけないと思った。

  • 知ってるようで知らない 野生動物の死にざまを 著者の優しい眼差しを通して見れたような気がしました。
    彼らの気持ちは 本当はどうなのかわかりませんが こんなふうに って 思える内容でした。
    余力があれば もう一冊も読んでみたいと思いました。

  • 死に方は、生きる意味を教えてくれる。

    それは時に寿命であり、捕食であり、交尾後に力尽き次なる世代の餌になったり。性行為に快楽が伴うように、与えられた本能に従い命を全うする事は、清々しい愉悦だろうか。分からない。分からないが、様々な死に様から生きる意味を学ぶ。

    ポエトリーに語られる生き物の死。知識として会得しながら、その世界観を考えさせられる。生きることに疲れた人も、この世界観に触れてみて欲しい。

    ハサミムシは体をはって卵を守る。そのように親の命を賭けられる種は、強さをもつ。強くない種は、出来るだけ卵の数を増やして放置、後は生存確率に委ねる事になるからだ。そして孵化した子供たちに自らの体を食べさせ、尽きる。命を賭け、生まれた子供の生存確率を上げるために。生は、そして死はなんと合理的な事か。サケも似たように、命を削りながら安全な川に戻り、産卵した後に果てる。その自らの死骸が餌となり、稚魚の食べるプランクトンが発生するのだ。繋がる生と死。

    子供を産む栄養を得るために命をかけて血を吸いに来るメスのアカイエカ。数の生存確率に頼るカゲロウ。交尾中、メスに食べられるカマキリ。手当たり次第交尾して尽きるアンテキヌス。メスに吸収されるチョウチンアンコウのオス。老化しないハダカデバネズミ。ハダカデバネズミや蜜蜂は、子孫を残す役割が特定の個体に限られ、交尾をしない兵隊が存在するという。単細胞生物は寿命では死なない。死とは、種全体を守り、進化する為に生き物が選択した生き方なのだ。死が戦略、生き方ならば、個体に与えられた生とは何か。答えを脳裏に思い描けば、安らかに死ねるかもしれない。

  • セミは羽化してから7日間で死ぬ。
    というのは、昔からよく聞く話。だけど実際今のセミは、羽化してから1ヶ月近くは生きるらしい。
    カマキリのオスは交尾の後メスに食べられる。
    というのは半分本当。たまに交尾の最中にメスに食べられながらも、執念で交尾を終えるオスもいるらしい。(ちなみに、産卵のために栄養が必要だからメスはオスを食べるらしい)

    29種類の、あまり知られていない様々な生き物(昆虫、魚類、哺乳類、鳥類など)の生涯の閉じ方が書かれているこの本は、読んでいてとても切なくなる箇所も多かった。
    とくに「サケ」の項目では少し泣きそうになってしまった。それはとても健気に、子孫を残すことに奮闘する。普段とても気安く鮭やイクラを食べてしまっていたことを、反省してしまうほどに。

    一生に一度の交尾の直後に死んでしまうオスの多いこと。産卵を終えてからすぐに死ぬメスも少なからずいるものの、役割を終えてすぐに生涯を閉じるオスの切なさには敵わない。
    一方のメスは、命がけで産んだ子を守る。守って子が独り立ちしたのを見届けて、死んでゆく生き物が多い。まさしく母の愛だ。
    人間や、私の場合長年身近にいた猫でさえそうだけれども、オスよりもメスの方が生命力から何から強靭であるな…と感じることが多い。

    3億年から地球にいたカゲロウや、5億年前からいたクラゲ。絶えることなく連綿と続いてきたその命たちのことを思うと、普段何気なく見てきた生き物たちに対する見方が変わる。
    ハサミムシとか、ジョロウグモとか、気持ち悪いと思ったりしてごめんよ。みんな必死に生きているんだよね…なんて。

    虫も鳥も魚も、限られた命を懸命に輝かせる姿はとても美しい。殺したり、食べたり、人間が最優位だと無意識に思っていた行動を、顧みるきっかけになった。
    それでもそれらを頂くことは避けられないので、感謝しながら頂こう。
    そして地球の一部の人間である私も、懸命に生きよう。

  • いろんな生き物の最期を見てきましたが人間は唯一「死を選べる生き物」だと思いました。子孫繁栄のため仲間をために生きそして自然のプログラム通りに命が尽きる生き物たちは儚くも最後まで輝き続ける命の重みを感じ取ることができました。
    人間は「死を選べる生き物」。そのことがいいことか悪いことかは別として、もしこの選択が自分の心の中に芽生えた時、ぜひ生き物たちの死にざまを思い出して冷静に自分自身について考えてみて欲しいです。

  • 「天寿を全うする」
    そんな幸せな死は、動物(シマウマ)の世界にはないのだ。

    「老いる」、ということ。
    人間はある程度、前提に、普通に、当り前に、ごく当然のこととして生きている。
    それが我々の生まれ落ちた瞬間に最初に与えられた権利なんだ、とでも言うように。

    今、コロナウイルスが世界を席巻している。
    ロジカルでない圧倒的な恐怖を、日々心に植え続けている。

    こんな時に出逢った本書ですけど、「死の可能性が上がる出来事」に向き合うと、「日常」がどんなに特別なことなのかを更に深く感じる。

    ただ、それでも「輝く瞬間」がどんな生物にもどんな瞬間にも与えられていて、ある意味、生命のプログラムに自然と組み込まれているんだなーと、思わされた。

    外出自粛に、読書の時間にする。

    それも
    「今を生きる」
    という事に。

    百獣の王ライオンでさえも、最後は何かの餌になる。

    本書のテーマ?の「幸せな死」ということに、じっくり向き合いたい。

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著者プロフィール

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わる傍ら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する記述や講演を行っている。著書に、『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『身近な野の草 日本のこころ』(ちくま文庫)、『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『イネという不思議な植物』『はずれ者が進化をつくる』『ナマケモノは、なぜ怠けるのか』(ちくまプリマー新書)、『たたかう植物』(ちくま新書)など多数。

「2023年 『身近な植物の賢い生きかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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