中銀カプセルスタイル: 20人の物語で見る誰も知らないカプセルタワー(Nakagin Capsule Style)
- 草思社 (2020年12月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794224880
作品紹介・あらすじ
解体が迫る!?それでも時代はカプセルを求めている。
いまこそその真価を発揮する、中銀カプセルタワーの普段は非公開の内部を
撮りおろし写真で大公開!
銀座に立つ黒川紀章の傑作にして、日本近代建築の金字塔、中銀カプセルタワービル。
その奇抜な外観が目を引きますが、このデザインは、「移動し続ける人類=ホモ・モーベンス」が
生きる未来を想定した姿であり、それはまさに情報化時代である現代そのものです。
さらに、設計当時には想定されていなかった円窓の「動画映え」や
コロナ下でのセカンドオフィス、DIYなど、最新潮流にこそカプセルの思想が生かされています。
カプセルタワーのコンセプトの驚異の先見性が、新時代の生活で開花したさまを、
美麗写真で20部屋一挙公開!
■目次
スタイル01:日常から切り離された秘密の場所
スタイル02:時間だけが生み出せるカタチ
スタイル03:銀座の「すみっこ」という特等席
スタイル04:映画がつないだ人とカプセル
スタイル05:人を惹きつける漆黒の舞台装置
スタイル06:ホワイトキューブに満載の工夫と情熱
スタイル07:銀座に浮かぶ和室の別荘
スタイル08:カプセルのポテンシャルを引き出す名人
スタイル09:ウクライナよりカプセル愛とともに
スタイル10:円窓「そのもの」に寝られる夢の部屋
スタイル11:同好の士が集う開かれたカプセル
スタイル12:ツアーが継承してゆく建築文化
スタイル13:円窓がカッチョいいから住む
スタイル14:ここに住めれば、他は何もいらない
スタイル15:紆余曲折の歴史も含めて面白がること
スタイル16:未来を担う建築家の創造性を加速する
スタイル17:DJコスプレイヤーのカルチャー発信基地
スタイル18:国際派弁護士のリモート拠点
スタイル19:カプセルタワーの伝説的応援人
スタイル20:カプセルの思想を受け継ぎ、伝えていく場所
感想・レビュー・書評
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すっごく興味がある建物。
雑誌に載ってたり、テレビで紹介されてたりすると見てしまう。
こんな空間は世界中探しても無いんじゃないかって思ってしまう。
とにかく凄くいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
外観だけではなく、カプセル内部で暮らす人たちの生活をこの本で垣間見ることでこの建築の面白さがわかった気がする。
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銀座にあるメタボリズムの代表的な建築である例のカプセルタワーを利用している人々の、プロフィールや利用方法が写真で見られる。
住居としている人よりも、事務所などで利用している人が多いようだ。そして建築関係が多い。それだけでも実用的な価値よりも資料的な価値の方が高いのだろうことが伺い知れる。
さらに、カプセルは一面だけで壁面と接合されていてその他の六面は中に浮いた状態にあること、雨漏りをするカプセルが多いことなど初めて知った。
あと「中銀」は「ちゅうぎん」と読んで「中国銀行」とか「中部銀行」とかそんなものだろうと思いつつ意味がわからないままだったが、「なかぎん」と読んでビル管理会社の名前らしい。
2つのタワーを結ぶ屋外渡り廊下など外部の老朽化具合が、荒廃した近未来感があってなかなかよかった。
写真を眺めているだけで結構面白いですよ。 -
中銀カプセルタワーの20のカプセルとその住人を紹介した写真集。
多くのカプセルは作られた時のままではなくて、さまざまにリノベーションされている。宇宙船や潜水艦を思わせる丸い窓とコンパクトな空間を生かしてみなさんいろんな遊び方をしていて楽しい。
しかしやっぱりここは普段の生活の場としては無理のあるなと思った。ここに住むにはミニマリストでなきゃ無理だと思うけど、これだけ災害の多い日本で、風呂も食事も都市空間に依存して何も備蓄せずに暮らすというのはちょっと…というわけで私はミニマリストにあまり共感できないし、この家に暮らせる気はしない。
でも、都心のセカンドハウスとして、とか、リモートオフィスとして、とかならすごくすごく楽しそう!余計なものを置けない分、作業部屋やヲタ活部屋にしたらとても捗りそうだし、茶室みたいな感じで人をもてなしたり、趣味に浸るだけの秘密基地にしたらワクワクできそうだ。
この本を出したのはカプセルタワーの保存に向けて動いていた人たちだけど、残念ながらついに取り壊しが決まっちゃったらしい。まぁこの本にも老朽化についての話は山ほど出てくるから、それ読むと仕方ないなと思ったけど、1回ぐらいは泊まってみたかったな。 -
図書館で借りて。
建築いろいろ見に行きたいなぁ。 -
図書館でふと目に止まって借りてみた。
自分だけの小さな空間。
なんだか哲学的?なものを感じる。
自分で作り出したり、もとの良さをいかしたり、元のままだったり、前の住人の歴史?を残したり。
とにかく何も無いような場所と、リサイクル的な考えと、持ち物の最小化みたいな、自分の純度をあげるみたいな事を自分が思い始めているということを確認させてくれた。
持ち物を減らしている、けど、なかなか減らない。あと、コミックが増えちゃってる -
名(迷?)建築として知られる「中銀カプセルタワービル」の現在を伝える一冊。
老朽化していることなどを理由に、取り壊しや建て替えの話がときどき出てくるが、今なお独特の存在感を発揮している。
黒川紀章氏の設計だが、築50年になろうかという建物は、あちこちの故障・不具合で不便極まりない。“闘って住みこなす”という点では、安藤忠雄氏の建築の上を行っているのかも。
もともとカプセルを交換して、メタボリズム(新陳代謝)する設計思想なのだが、交換されないまま今に至るとか。
黒川氏が生きていたらどう思うのだろう?
銀座という抜群の立地もあって、住民・所有者も個性的(そういう人を選んだのかもしれないが…)。活用法もさまざまだ。
建築はハードであると同時に、建築家や施主の手を離れて育っていく「社会的な生き物」だと感じさせられた。 -
銀座の中銀カプセルタワーに住むこだわりの住人たち。斬新なデザインだけど、メンテナンスが悪かったため狭い、古い、換気が悪い、雨漏りするなど住むには?でも熱烈なファンが多い。個性的なオーナーたちの思い入れたっぷりのカプセルライフ。
このビルはどうなって行くのだろう。