- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794225504
作品紹介・あらすじ
すべては「命のバトン」をつなぐために──
ゾウ、サケ、セミ、カマキリ、タコ……
生命の[最後の輝き]を描く
哀切と感動のベストセラー、待望の文庫化!
生き物たちはみな、最期のその時まで命を燃やして生きている──
数カ月も絶食して卵を守り続け孵化(ふか)を見届け死んでゆくタコの母、
地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、
成虫としては一時間しか生きられないカゲロウ、
老体に鞭打ち決死の覚悟で花の蜜を集めるミツバチ……。
生き物たちの奮闘と哀切を描き感動を呼んだベストセラーの文庫化。
いきも生き物イラスト30点以上収載。
1 空が見えない最期──セミ
2 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
3 母なる川で循環していく命──サケ
4 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
5 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
6 メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
7 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
8 メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
9 生涯一度きりの交接と子への愛 タコ
10 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
11 生きていることが生きがい──クラゲ
12 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
13 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
14 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
15 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり アリ
16 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
17 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
18 冬を前に現れ、冬とともに死す“雪虫”──ワタアブラムシ
19 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
20 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
21 なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
22 巣を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
23 クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
24 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
25 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
26 実験室で閉じる生涯──ネズミ
27 ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
28 かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
29 死を悼む動物なのか──ゾウ
感想・レビュー・書評
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結構面白かった…。
今更なになに、知ってるよーテレビで良くやってるよね?みたいなのもあるし、そうだったんだ、と思うものもあるのだけど、通して全て、切なくなる。人間ってなんだ…とかいい歳して感じたりする。
少し、ストーリー性を脚色してる感じはあるのだけれども、だけど生態は事実として伝えられているし図鑑を読んだのではないから、これもその生物の、一つの個体の命、として受け止めるのもありかな、と思う。
余談だが、わたしは若鶏が好きである。
この本の「ニワトリ」の項目を読んで、食べにくくなる…なんてことはもちろんないのだが、いただきますを今までよりも感謝して、ありがたくいただくことにしようと誓った。
ありがとう。半身揚げ大好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
様々な生き物の死にざま。
身近な生き物からあまり知らなかった生き物のことまで、子孫を残すための壮大な一生のストーリーが分かりやすく紹介されていた。
一番印象に残ったのは鮭の一生。
鮭の遡上は知っていたが、どうしてわざわざ傷だらけになってでも生まれた川に戻ってくるのか、そして鮭が卵を生んだ場所はプランクトンが豊富な理由が、全て命を繋ぐための命のバトンで胸を打たれた。
生き物を慈しむ気持ちが芽生えてくる本。
この気持ちを忘れないように繰り返し読みたい。 -
生き物の死骸。
こんなに生命がうごめく世界なのに、私たちは普段の生活の中でそれらを見ることなく過ごしているし、運悪く見つけてしまうととっても動揺してしまう。
生き物がどのように死に至るのかが記されているこの本。
端々に哀愁の言葉が綴られていて、少なからず人間の利己的生活の為に死が訪れる生き物たちの死に心がいたむ。
生き物には「生きて、死ぬ」というプログラムが設定されており、抗うことなくプログラムに沿って命を燃やしている。
生命としてはきっと当たり前のことなんだろう。
それでも、そうやって命を繋いでいる生き物たちに畏敬の念を感じてしまう。 -
この本では、生き物の命について学ぶことができました!
動物には様々な死に方があることがわかりました!
しかし、誰の利益にもならないような死に方を人間が動物にさせていることが分かり、とても辛い気持ちになりました。
命の大切さを知り、これからもその現実に目を向けていきたいなと思いました! -
繰り返し読みたい!人間が生存競争のステージから今は外れているような気がするけど、何十億年という長ーい歴史で考えると、この期間だって短いのかもしれない。
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色々な生き物の死に様が、物語のように語られている本。私たち人間は、死を悲しみ、悼む。人間以外の動物は(本の中では象は別とされているけれども)死を悲しみ、悼むことはない。しかし、虫や動物たちにも不思議な死の物語があることをこの本を読んで知った。後半の鶏や犬などの問題提起的な(?)章より、虫などの死に様に興味深く感じさせられることが多かった。
人もヒトという生物の中で考えれば、早く死ぬようプログラムされている個体があってもおかしくないのかもしれない。そんなことも考えさせられたように思う。 -
タイトルに惹かれて購入しました。死にざまとあり、暗い本かと思いましたが、全くそんなことはありません。懸命に生きる生き物の姿を、ショートショートで、どこか誌のように、時にユーモラスに書かれています。印象的だったのはサケの話です。傷だらけになりながら、川を駆け上がり、命と引き換えに産卵をする。そういった生態は元々知っていましたが、こんなにも困難を乗り越えて命をつないでいると、改めてその神聖さを感じました。神聖さを感じることができたのは、こちらの著者が誌のように書かれているからだと思います。
生き物の生態を知るのが大好きなのですが、その観点からもとても面白かったです。こちらの著者の違う本もこれからたくさん読みたいと思います。 -
ブクログで どなたかの本棚で発見して、図書館で借りた。
思いのほかヒットだった。
1つの項目が短く、相互に関連もほとんどないので、寝る前に少しずつ読むのにちょうど良い。〜先に読んだ内容を忘れても 何の問題もない。
生きものを半擬人化した語り口が上手く、死にざまはみな悲しげで、ときに残酷。
知らなかった生態がけっこうあった。
続編〜ではなく姉妹編というらしい〜があるので、また借りてみるつもりです。
目次を紹介すると
1 ▼ 空が見えない最期──セミ
2 ▼ 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ
3 ▼ 母なる川で循環していく命──サケ
4 ▼ 子を想い命がけの侵入と脱出──アカイエカ
5 ▼ 三億年命をつないできたつわもの──カゲロウ
6 ▼ メスに食われながらも交尾をやめないオス──カマキリ
7 ▼ 交尾に明け暮れ、死す──アンテキヌス
8 ▼ メスに寄生し、放精後はメスに吸収されるオス──チョウチンアンコウ
9 ▼ 生涯一度きりの交接と子への愛──タコ
10 ▼ 無数の卵の死の上に在る生魚──マンボウ
11 ▼ 生きていることが生きがい──クラゲ
12 ▼ 海と陸の危険に満ちた一生──ウミガメ
13 ▼ 深海のメスのカニはなぜ冷たい海に向かったか──イエティクラブ
14 ▼ 太古より海底に降り注ぐプランクトンの遺骸──マリンスノー
15 ▼ 餌にたどりつくまでの長く危険な道のり──アリ
16 ▼ 卵を産めなくなった女王アリの最期──シロアリ
17 ▼ 戦うために生まれてきた永遠の幼虫──兵隊アブラムシ
18 ▼ 冬を前に現れ、冬とともに死す〝雪虫〟──ワタアブラムシ
19 ▼ 老化しない奇妙な生き物──ハダカデバネズミ
20 ▼ 花の蜜集めは晩年に課された危険な任務──ミツバチ
21 ▼ なぜ危険を顧みず道路を横切るのか──ヒキガエル
22 ▼ 蓑を出ることなく生涯を閉じるメス──ミノムシ(オオミノガ)
23 ▼ クモの巣に餌がかかるのをただただ待つ──ジョロウグモ
24 ▼ 草食動物も肉食動物も最後は肉に──シマウマとライオン
25 ▼ 出荷までの四、五〇日間──ニワトリ
26 ▼ 実験室で閉じる生涯──ネズミ
27 ▼ ヒトを必要としたオオカミの子孫の今──イヌ
28 ▼ かつては神とされた獣たちの終焉──ニホンオオカミ
29 ▼ 死を悼む動物なのか──ゾウ
最初に面白いと思ったのは
2 ▼ 子に身を捧ぐ生涯──ハサミムシ の項
…擬人化が非常によく効いている。
Kindle本のサンプルで、目次と 2 ハサミムシの項目まで無料で読めるので、興味のある方はどうぞ。
・アリ、ハチ、シロアリなどの、役割分担が厳格に決められた生物を「真社会性生物」と呼ぶらしい。
・ハダカデバネズミは20世紀後半に発見された動物で、生態には謎が多いが、
ハチやアリと同様に 明確な役割分担がある。
また高等生物(哺乳類)には珍しく、「老化」がない。つまり、老い衰えて死ぬことがなく、死因は全て病気または事故で且つ病気の発生に年齢は無関係らしい。
寿命はハッキリ分かってないが、30歳を超える個体が確認されており、ネズミの仲間では驚異的な長寿だそうな。
余談であるが、余は幼少時 人間は病気をしない限り死なないと思っていたが、「誰でもいつかは死ぬ」と母に聞かされたときのショックは大きく、かなりの長期間ある種のタナトフォビアだった。
・ネズミの項で紹介されているが
デカルトは、
人間は魂を持つが、動物は心を持たない単なる機械に過ぎないという「動物機械論」を唱えた。〜犬を機械を分解するように、麻酔なしで解剖した。
またカントは、
動物には自意識がなく、単に人間のために存在すると唱えた。
らしい。 -
生命はかくも儚く、たくましく、残酷で、美しい。他の生き物目線で世界を捉えることで、人間の当たり前を崩壊させる。詩を読んでいるように読み心地が良い本
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さまざまな生き物がどう生きてどう死ぬのか。
生き物の命の一つ一つが、何かしらの使命を持って仕事を全うして死んでいきたいと願っていると思うと、人間はなんなのだろう、自分はなんなのだろうと、すごく考えてしまいました。
とても考えさせられる本でした。