「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる
- 新評論 (2017年11月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794810809
作品紹介・あらすじ
最初の10年ぐらい、私も講義形式で教えていました。次の10年はワークショップ形式でした。その最後の頃、講義形式に抱いた疑問と同じような感覚を、ワークショップ形式で行う研修のあり方にも持ちはじめました。
学ぶ側はもちろん、教える側も学び続けられるという、みんなが自立した学び手になる教え方・学び方はないのかと模索しはじめたのは1995年以降でした。5年以上かけて探しだしたものの一つが、本書で紹介している「責任の移行モデル」です。
本書の柱になっている、教師から学習者への責任の移行は、①教師が焦点を絞った講義をしたり、見本を示したりする(焦点を絞った指導)、②教師がサポートしながら生徒たちが練習する(教師がガイドする指導)、③生徒たちが協力しながら問題解決や話し合いをする(協働学習)、④生徒は個別に自分が分かっていることやできることを示す(個別学習)、といった四つの段階で表すことができます。
注意していただきたいのは、これらは①から④へと順番に行うものでも、常にクラス全員を対象に、同じ段階の活動をさせるのでもないということです。たとえば、②番目の「教師がガイドする指導」をするためには、「①焦点を絞った指導」が終わっていることが前提となりますが、同時にまた、クラスの大半の生徒が「③協働学習」か「④個別学習」に取り組んでいることも前提となります。そうでないと、教師は少人数(2~6人)の生徒たちを集めて、10~15分の「教師がガイドする指導」を行うことはできませんから。
本書ではこれら四つの要素を、異なる教科の例をふんだんに挙げながら分かりやすく解説しています。教師を含めた大人たちが、この四つの要素を身につけることができれば、授業や研修のあり方が変わるので、生徒や受講者の学びの「質」と「量」が飛躍的に伸びることは間違いありません。(よしだ・しんいちろう)
感想・レビュー・書評
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371.5||F28
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申し訳ありません。あまり新しさを感じませんでした。ヴィゴツキーの発達の最近接領域、ブルーナーの足場かけがわかっていれば読む必要はないかもしれません。また、なぜ「責任の移行モデル」なのかもう少し議論が欲しかったです。個別最適化が必要とされる現在において、なぜ「責任の移行モデル」を教室のみんなに強制せねばならないのか。このモデルはやや息苦しいように感じてしまいました。
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今でいう、習得、活用、探究の道筋にかさなる部分が多くてとても参考になりました。海外の実践、それもどちらかといえば低学年を相手にした話で、全て当てはめるわけにはいかないにしても、一斉授業だけ!アクティブラーニングだけ!なバランスになるのではなく、教員が教える部分と、生徒が取り組む部分を、非常に明快に書いている印象です。本の作り的に冒頭で大まかな授業の流れはわかりますが、それぞれの活動の狙いや理由についても詳しく書いてあります。日本型の教科書が決まった授業でどの程度応用ができるのかは、検討してみないとわかりませんが、理論的な話も多いので、講義とアクティブラーニングの往復をどう組み立てていくかのヒントが詰まっています。先生が教え、生徒たちがグループで学び、最後に個々の生徒にかえる。この流れをいかに作るか?学べることは沢山あります。
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誤字や文章がこなれていない部分はあるものの、大筋でいうと非常に納得感がある一冊。
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学校の先生が自らの授業とカリキュラムを考える際に参考にすべき文献。何かをすべきというときは、研究による支持があり、明示されている。とても信用できる。
概要としては、教師が教える教室から、教師がガイドして子どもが学ぶ、子ども同士で学び合う、子どもが一人で学ぶ教室へと、徐々に変えていこうという、4段階のモデルを提案する。自律した学び手を育てることを目標に据えている。
良書。 -
授業の「今」と「これから」が繋がる一冊。
「今」と「これから」をゆるりと変えていける。
学校の先生にはぜひ!