成績をハックする: 評価を学びにいかす10の方法

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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794810953

作品紹介・あらすじ

「ハッキング」というと、「コンピューターやネットワークに不正侵入すること(ハッカー行為)」と捉えられがちですが、hackという語には「切り開く」「うまくやり抜く、やり遂げる」「巧妙に改造する」などの意味もあります。本書では最後の「巧妙に改造する」という意味でこの語を使っています。現状を変えようのないものとして黙って受け入れるのではなく、「不適切なら壊して一からつくりなおす行為」です。さまざまな問題を常に「学びを改善するためのチャンス」と捉え、成績と教育評価の分野でこの「つくりなおし」をやってしまおう、というのが本書の主題です。これは、日本の教育界に欠けている大事な視点であると同時に、いま最も必要とされる考え方・行動ではないでしょうか。
 生徒たちはみんな、知りたい、できるようになりたい、成長したいと思っています。そうした思いを支えるのが教師の仕事です。しかし、個々の教師がどれほど懸命にやっても、生徒たちを「自立した学び手」に育てることができていないという現状があります。その原因の一つが評価・成績にあります。成績を付けることを負担に思う教師、苦しんでいる教師が多いにもかかわらず、それが慣習的に繰り返されています。実はこれをやっているかぎり、生徒たちの成長は阻害され続けるのです。
 本書を読むことで、この負のスパイラルを断ち切るためのスタート地点に立てます。そもそも成績を付けるとはどういうことなのか。生徒が自分で自分を正しく評価し、自立的に学習を続けていける力をつけるにはどうすればよいのか。教育評価の捉え方、これまでの成績評価のかわりにやるべきこと、評価をめぐり教師と生徒たちが協力していく必要性などについて、非常に実践的に説かれています。成績をなくすことは、教師の負担を軽減し、無力感を解消するだけでなく、自立した学び手――自ら考え、判断し、実践していく人間――を育てることに確実につながるでしょう。(よしだ・しんいちろう)

感想・レビュー・書評

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  • 自立した学び手を育てるのに、成績は不要!

    通知表がないなんて、信じられない。良い成績をもらうために、生徒はやる気を出す。成績がなくなったら、高校や大学に進学するとき材料がない。そのような恐れを捨てて、成績をなくそうとする取り組みが述べられている。

    間違ってはいけないのは、教えっぱなしにするということではないということ。数字やアルファベットで成果に評価が与えられるのではないということである。到達目標と比べて、自分はどのようなことができるようになったのか。それはどのような活動から言えるのか。そういったことを生徒自身が自分で把握できるようになることが、真の学び手を育てることだと著者は述べている。

    成績をつけないのは、学校のシステム的にいきなりは難しい。しかし自分の学習の評価を生徒に託すのは、挑戦してみたい。難しいハックであることは充分に書かれている。あとはどこからやっていくかということだろう。

  • 通知表で1〜5をつける代案や、つけざるを得ない時の方法がよくわかる。
    How to 本でやや物足りない方もいるかもしれない。

  • 【夏の2冊目】

    評価について学ぶために読了。いろんなアイディアをいただけた良書だった。これからも読み直したい一冊。やっぱり、教員を退職しても吉田新一郎さんの本は読む機会が多い。

  • ようやく読んだ。色んな意味でこのタイミングで読んだ事に感謝。
    Googleドキュメントからドライブ、エバーノートやTwitterハッシュタグなど、具体的なツールが具体的な学びの場面でどう活用されているのかも載っていて非常にわかりやすい。US版は2015年初版でGoogle Classroomが2014年にリリースしたタイミングとちょうどすれ違いの感じ。しかし、今日本が直面している学びの変革はどうあるべきかの道を提示している本として一番わかりやすい著作だと思う。
    すばらしい!の一言。

  • 読み終わったけど、、、とにかく難しいという感想。

  • ちょうどテストの採点を終えたところだったので、こんなんでなにがわかるのか、と思っていた気持ちにはぴったりでした。「教師が頑張るのではなく、生徒たちががんばれるようにする」、まさにそれが今のクラス運営です。ほんの一部しか関わってはいないものの。

  • <目次>
    まえがき~さよなら成績さん、今日は成長さん
    第1章  成績の見方・考え方を変える~成績なしの教室づくりをはじめる 
    第2章  納得してもらえるように努力する~すべての関係者にいつでも連絡をとれるようにする
    第3章  学習課題を記憶に残る学習経験へと再構築する
    ~最善の成長に向けてプロジェクトをデザインする
    第4章  生徒たちが相互に助け合うようにサポートする
    ~教師が頑張るのではなく、生徒たちが頑張れるようにする
    第5章  データをデジタル化する~データ収集を簡素化し、ICTを使ってより多くの情報を学びに活用する
    第6章  時間を最大限確保する~教室の中と外でカンファレンスする
    第7章  成長をガラス張りで見えるようにする~伝統的な成績表を処分する
    第8章  振り返ることを教える~メタ認知能力をもった学習者になれるように生徒をサポートする
    第9章  生徒に、自分で成績を付けられるように教える~成績をつける権限を生徒に譲り渡す
    第10章 クラウドベースのデータを保存する
    ~ポートフォリオに評価へ移行する

    <内容>
    最初は成績をつけないことに懐疑的であった。しかし、読み進めるうちにこの通りできなくても(やらなくても)、いいのではないかと考えるようになった。そして、歴史用語を3段階に分けて、各レベルで8割を取れるようになれば、免許皆伝になるかな?と思った。

  • 教員などの指導者向けの本。

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著者プロフィール

Starr SACKSTEIN 20年にわたり中高生に英語とジャーナリズムを教えたあと、ニューヨーク市郊外で教育委員会指導課長を務めた。現在は教育コンサルタントとして活躍中。邦訳書『成績をハックする』『宿題をハックする』『ピア・フィードバック』『一斉授業をハックする』。

「2023年 『成績だけが評価じゃない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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