さよなら! ハラスメント

著者 :
  • 晶文社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794970688

作品紹介・あらすじ

財務省官僚トップによるセクハラ問題、医学部不正入試問題、スポーツ界を揺るがす数々のパワハラ、アイドルに対する人権無視……。問題は至るところに噴出し、平成の終わり、私たちはやっと目覚めようとしている。
そもそも、ハラスメントとはどういうことなのか? なぜハラスメントが起きるのか? ハラスメントのない社会にするために何が必要なのか? 自分にできることは何か? ハラスメントと社会について考えるためのヒントを、小島慶子が11人の識者に尋ねる。ハラスメントの在りようは、いまの日本を写し出す鏡でもある。すこしずつ、前に進むために、みんなでいっしょに考えよう!

感想・レビュー・書評

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  • ハラスメントの事例集、よもやま話。ハラスメントをする立場からの考察は良い。購入は微妙。

  • 男性の多い職場で働いていて,感じた違和感や嫌悪感のようなものの,理由がよくわからずにいましたが,この本を読んで,「ひょっとしたら,こういった背景も問題の原因だったのかな」と理解が深まりました.

    ハラスメントをしている本人に自覚がないことも多いようです.多様性の少ない職場でハラスメントが起きやすい,という説は,個人的な経験から賛同できます.多様性に関する以下の記述に納得しました.

    多様な社会って,意見の違う人が多い社会ってことですから,みんななかよしになりましょうってことじゃないと思うんですよね.意見が違う人同士がお互い嫌な思いをしないで共存できるための仕組みが大事なんじゃなかと思うんです.(中略)多様性っていうと「外から異物が入ってくる」って思いがちだけど,目の前の差異に気づくようになるってことだと思います.そのためには社会の仕組みの変化も必要ですが,見方を変えるって,個人でもできることです.
    ─ 377ページ

    多様性のある社会にどのくらいコストが必要かというと,多様性そのものがコストを必要とするんじゃなくて,多様性どうしがぶつかった時に発生するコンフリクトの高さによって決まるものですね.その時にたとえば「価値観が違うけれども,君を殴らないよ」と言ったら直裁でいいかもしれない.あるいはどんなに立場が違っても排除されないという前提があれば,より安心してコミュニケーションすることができる.
    だから万人に対して説明のしかたを変えるんじゃなくて,説明のしかたが間違っていて伝わらなかったとしても,二人の間でディスコミュニケーションが暴力に転化することはないような状況を設定していれば,一人一人のコミュニケーションコストというのは結果として下がる.その状況に耐性ができてくる.そうするとわざわざそこで異論を唱えなくても,暴力に訴えなくてもいいというふうになってくると思います.
    ─ 318〜319ページ

    いじめについての以下の記述も,自分が加害者にならないための良い指南だと思います.

    たとえば,「いじめなければ自分がいじめられるから」(「責任の回避」),「話さないだけで無視しているわけじゃない」(「危害の否定」),「この子がずるい子だから仲間外れにしているだけだ」(「被害者の否定」),「誰だってやっているから」(「非難者への非難」).「みんなでいじめようと決めたから」(「高度の忠誠への訴え」)などです.いじめをする側はこういう理論で,自分のいじめを正当化しようとする.でも,逆に言ったら,こういった言葉で自分を正当化しようとしていたら,それはいけないことなんだと,自問自答できる
    ─ 299ページ

    日本の子供たちや若者が少しでも生きやすい世の中になるように,できることがあればやりたいと思います.以下も抜粋しておきます.

    社会は時々刻々と変化しているので,メディアもそうですし,私たち自身もそうですけれど,あらゆるところで,毎回自分たちの価値観や態度について,点検し,反省し続けながらすすんでいかなきゃいけない.その先にちょっとでも生きやすい世の中が実現すればいいなと思います.
    ─ 387ページ

  • こじまさんが「聞き手」として相手の話を引っ張り出すんじゃなく、ちゃんと対等に「対談」してるから、深くなる。
    この手の話題の元立ちとしては当世この人がNo.1だろぉな

  • なぜハラスメントが起きるのか? ハラスメントのない社会にするために何が必要なのか? 自分にできることは何か? ハラスメントと社会について考えるためのヒントを、小島慶子が11人の識者に尋ねるインタビュー集。

    それぞれの分野の人へのインタビューは興味深いが,聞き手がしゃべりすぎる感じもあり・・・。

  • 資料ID:98190312
    請求記号:367.21||K
    配置場所:工枚特集①
    (※配置場所は、レビュー投稿時のものです。)

    ☆特集展示「SDGs特集」☆
    SDGsを特別なものとしてではなく「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に浸透できるようSDGsを理解し社会課題に関心を持つことを目的としています。

  • 『被害者であり傍観者であり加害者でもあった自分に気がついて、悔やむ気持ちが湧きあがりました。』

    小島慶子さんがハラスメントについて、様々な人と話し合う対談集。
    セクシャルハラスメントが主だが、パワーハラスメント、いじめ/いじりについても。
    どの方も意見がわかりやすく噛み砕かれていて読みやすい。
    小島さんや対談相手の方達と意見が異なるところもあったが(小島さんと対談相手の間でもある)、違う意見も考えの材料にできるので、読めて良かった。
    私も加害者であったり傍観者であったり(それはもう加害者なんだけど)して来ていて、自覚しているだけでなくまだ気づいていないところもあるだろう。
    自己を省みながら、自分も社会もちょっとずつでも前進させていきたい。

  • 社会、会社、学校、家庭。あらゆる所にあるハラスメントを洗い出して紐解き、考えるきっかけになる本。

    大学での不正入試についての問題、テレビ業界の男女の違い、痴漢、いじめ、家庭内での立場、大学での学生から教員へのハラスメントなど様々な問題が取り上げられています。「おかしい」と思った事は声を上げていいんです。「もうやめよう」を合言葉にしていけば、いつかそれが当たり前になります。

    情報量が多くて、頭がくらくらしてくるかも。それでも色々な人に読んでほしいと思う本です。

    P349 浸透するオッサンOSコミュニケーションより
    「下ネタで対人関係が円滑になるという幻想を抱いている人(中略)オッサン的思考がインストールされている人は、中年男性だろうが、若い女性だろうが、オッサン」

    P380事実と枠組を知るより
    「古い価値観を持っている人にどうやったらわかってもらえるか(中略)ハラスメントと犯罪を明確に区別して議論すべきだと思っています」

    NDC 367.2

  • 対話形式はめんどくさく、読むのをやめてしまった。

  • 最近日本という国がほとほと嫌いになる局面が増えた。
    そのひとつにこのハラスメントがある。この本に取り上げられているハラスメントのいずれもどんな世界にも蔓延っている悪しき慣習だと改めて感じた。

    ニートみたいな造語の浸透によって本来の意味が曖昧になって市民権を得ていく負の作用が大嫌いだ。
    この本に出てくるテーマで言えばセクハラ。確かにどこぞの副総理が言う様に『セクハラ罪』なんてないのだけど,セクハラってちょっと表現軽すぎない?いじめだってそう。もうただの暴行・傷害・強要・恐喝という立派な犯罪行為なのにいじめで済ます。もっと深刻にとらえてほしいことが軽く捉えられ過ぎている。
    私も営業職をやってたときはセクハラ・パワハラ三昧の現場に辟易した。ただ,それをそれとなく相談した時に上司が「自分が壊れて取った案件なんて要らないよ、その案件がなくても会社は死なない。おまえが死ぬな」と言ってくれたのは嬉しかった。
    昔の価値観をずるずる引きずって自分自身ではアップデートできずに口を開けば「若いやつはなってない」「俺たちの時代は違う」なんて平気で言う。新しい価値観に対応できていないことに対して,再教育の機会が必要ですねって言う人もいるけど,そういうことする人は自分の意識を自ら変えないと変わらないよ。他人から教示されても響かないの。その世代が早く“淘汰”されてしまえばよい。小島さんの意見に力強く共感する。
    この対談に出てくる様な考えの人ってもっと世の中にいて良いのにな。生きやすい世の中に少しでも変わっていってほしい。

  • 小島慶子さんが11人の識者にハラスメントについて聴きにいく。
    昨今のハラスメント事情をメディアで読んだり聞いたりして、自分のハラスメントに対する理解とか認識って甘いな、緩いな、勉強しなきゃ、と思い読んでみる。
    けっこうボリューミーで読むのに時間がかかったけど読んでよかった。
    先生方のおはなしも勉強になったし、加害体験も被害体験も辞さず話される小島さんがますます好きになった。
    オッサンOSの話題はドキッとした。
    私にも確かにある!古びて腐臭をまとっている価値観が!
    今後これとも戦っていかなきゃと思った。
    小島さんがあとがきでも書かれていたけど今は『過渡期』。
    良い方向にいけばいいのだけれど。
    それにはまず自分の意識を変えていかないと!

    「私、オッサンはOSだと思ってるんです。オッサン的思考がインストールされている人は、中年男性だろうが、若い女性だろうが、オッサン。」...トミヤマユキコ氏

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著者プロフィール

エッセイスト、東京大学大学院情報学環客員研究員。学習院大学法学部政治学科卒業後、95〜10年TBS勤務。99年第36回ギャラクシーDJパーソナリティ賞受賞。独立後は各メディア出演、講演、執筆活動を幅広く行う。ジェンダーや発達障害に関する著述や講演をはじめ、DE&Iをテーマにした発信を積極的に行なっている。2014年より家族はオーストラリア、自身は日本で暮らす。連載、著書多数。近著に対談集『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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