- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794970756
作品紹介・あらすじ
本は「小さなもの」のためにこそ存在する。その原点を私たちは忘れてしまっているのではないか──。電子出版のためのウェブサービス「Romancer」、ブラウザ型読書システム「BinB」、本のプロモーション支援ツール「Power Thumb」を開発し、片岡義男全著作電子化計画など、数々の画期的な出版プロジェクトに取り組む株式会社ボイジャー。その創業者である著者が、25年にわたる先駆的な歩みを振り返りつつ、本と出版の未来について語った。紙か? 電子か? といった技術論やビジネス論にとどまらない、本そのものの魅力、役割、可能性を考えていく。自分たちのメディアを育て、確立していくための、デジタル時代の出版論。
感想・レビュー・書評
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電子書籍が市民権を得つつある今日に読んでおいて損はない一冊だと思います。
電子書籍には確かにデメリットもあります。
しかし、電子書籍だからこそできること、拡大や読み上げを活用すれば、視力が極端に悪い人、目が見えない人も本を楽しめると述べられており、電子書籍は活用次第で無限の可能性があるのだと気付かされました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(勝手に)期待していた中身と違った。
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電子書籍の黎明期に活躍した著者の経験に基づく様々なエピソードが詰まった一書である。電子書籍がコンピュータの進歩と密接な関係があるのは容易に想像できるが、まず本を電子版にすることで何ができるのかをゼロから作り上げていく話が面白い。私も多くの書籍を今は電子版で読んでいるが、最初の頃はかなり抵抗があった。紙でなければ本ではないという感傷的な思いと、スクリーンに映してしまうと書籍としてのメッセージの力が減退してしまうという無根拠の思い込みがあった。その多くは私の中では解消している。
ただ、本が綴じられた紙の束として他と独立して存在しているという事実は、電子書籍の時代になって大きく変わったことは事実だ。電子書籍にはリンクを通して他の情報源にジャンプすることができるという点において他とつながっている。ただ、電子書籍としての領域は持っており、知識や経験の蓄積はその中に確かにある。ネット上に散在する情報と異なるのはあくまで一つの作品としての世界を持っていることである。
電子書籍は自らの世界を確保しながらも、他とのつながりも仕組まれているという点において新たなメディアとして存在できたのである。これを立ち上げた人々の試行錯誤が本書には紹介されている。そして、これらの行為に敬意を表したくなるのである。 -
温故知新とは言うけれど。
自伝書から令和時代の一歩目に繋がる気づきを見つけ出すのは無理だった。お話ししてみたいが読むのはきつかったです。すみません。 -
思いのほか、著者の個人史的な部分が多いので、最初は戸惑いもありましたが、電子出版の黎明期に国内でこんなに魅力的な企画をやっていた人がいたとは驚きでした。
映像の分野から出版にやってきた方というのもあって、本の定義がかなり柔軟な捉え方に感じます。出版業界はデジタルに対して、自分たちの利益ばかりを主張する保守的な姿勢ではなく、本を公共財として考える必要があるという苦言を呈されています。 -
株式会社ボイジャー
ブラウザ型読書システム BinB -
抽選で当選させてもらい、本書をいただいてレビュー。
電子書籍までに、レーザーディスクや、DVDもあった。
フロンティアに身を置くと、既得権益など様々な障壁と遭遇する。
電子書籍においても、いまだ標準仕様というものとの戦い、もとい調整は意識せねばならない。
出版の世界に限らず応用できる、我々が意識すべき案件がたくさんつまっているのではないだろうか。
面白かった! -
2019/2/23読了。
20世紀の終わりごろから電子書籍に関わって働いてきたが、本当に尊敬できる人というのは、この業界の僕から見えるところには数人しかいなかったと思っていて、その筆頭が本書の著者だと思っている。(直接お目にかかったのは、もう十年も前の、ほんの一度か二度だけのことですが。)僕には到底真似の出来ない姿勢で「電子」の「本」に関わり続けてきた方の著書として、本書を最敬礼の念を持って読了した。