- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794970817
作品紹介・あらすじ
不倫には家庭生活を一瞬で終わらせる破壊力がある。なのになぜ人は不倫をするのか?
ひと昔前まで、結婚は家と家を結ぶ経済活動だった。だがこの数十年の間、結婚は、個人の契約、愛を土台とする。夫婦は互いに親友でもあり恋人でもあり、すべてを満たしあわないといけない。はたして、それは持続可能なのか。
本書は膨大な数のカップルを世界中でみてきたセラピストが、夫婦という人間関係を真摯にみつめ、人間存在の謎と性の複雑さに切り込んでいる。
誰かを愛したすべての人へ。逸脱から、人はなにを学ぶのか。
感想・レビュー・書評
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様々な不倫をした人達をみてきたセラピストの、一つひとつの不倫に対する見方がおもしろかった。不倫に対する時代や文化的背景という視点も織り交ぜながら、個人のトラウマや価値観といったところに焦点を当てていく。否定も肯定もせずに、不倫をした、された、愛人になった、それぞれが辿る一番良い道を探していく。多様性が尊重される中で、どうして不倫は糾弾されるのか。不倫は良いこととは言えないけれど、様々なケースをみていくと一概に悪いとも言えない。もう少しフラットに、俯瞰的に、不倫をみる。
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不倫によって関係に亀裂が生じたカップルをカウンセリングしてきた著者が、数々の事例とともに不倫について論じた本。
ただ「不倫は悪」とするのではなく、不倫に至った背景や、その先に何があるのかについて考えさせられる。
「結婚」の持つ意味が変わってきた現代では、不倫の意味も変わってくるのだな。
恋愛と、生活と、自己愛と自己顕示欲の落としどころを見つける作業だ。 -
読了。いろいろな人生を見て、疲れた。嫁さんと仲良くしようと思った。
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I 不倫の舞台
結婚の定義が自由化している
以前の結婚
・政治的で経済的な縁組であり、不倫は愛のためのスペース
・愛していると結婚の定義は繋がっていなかった。
・女が夫婦のベッドの外に出るのは危険な冒険。男たちは色々味見したがる「男らしい」習性を正当化するセオリーに守られて、大した罰も受けない暗黙の自由を手にしていた。
・女性は、経済的にも法的にも夫に依存していた。宗教が道徳を定義し、行動規範を定めていた。
産業革命以降
・経済的な企てから友愛的なものへ。義務と責任ではなく、愛と情をベースとした2人の人間の自由に選択した約束へ。
・自己表現のために性行為をする。性欲、自己選択、事実、自己表現のため。
・結婚の中心に親密さがある。
・夫婦に対して、親友であり、恋人であり、家族であると信じている。畏敬、謎、冒険、リスク、安心感、心地よさ、目新しさ、持続性の全てを望んでいる。
若年層は、結婚を磁石ではなく、最後の冠石として捉えている。
II 不倫の発覚、その後
・危機→意味付け→展望
・不倫は愛だけでなく自己の喪失である
・裏切りにあった後にはまず、自尊心を修復する道を見つけなくてはならない。自己評価をパートナーの影響から切り離す。
・あなたの一部は捨てられたが、あなたは廃棄物ではない。あなたの一部はひどい扱いを受けたが、あなたは犠牲者ではない。
・羨望は欲しいのに手にしていない何かに関係し、嫉妬は手にしているが失うことを恐れる何かに関係してる
・「知ることイコール親しさ」が現代の愛の特徴
・一度知ってしまったら、知ってしまったことの結果を背負わなくてはならない
・根掘り葉掘り型ではなく、調査型の啓発的な意味を伺う質問をする(「不倫があなたにとってどんな意味を持っていたのか?」「それを求めていたのか?単に起きてしまったのか?」「なぜ今?」「家に帰った時どんな気分だった?」「不倫相手と経験できて私とできなかったことは?」「不倫して当然だと思っていた?」「発見して欲しかった?」「発見しなくても終わりにしていた?」「全てが明るみに出てホッとしている?秘密のままがよかった?」「別れたがっているのか?」「自分は許されるべきだと思っている?」「私があなたを許したら少し軽蔑する?」「私が家から出ていくことを望んだ?それだと家族の崩壊は自分のせい出ないと思えるから?」)
・あなたはパートナーが再び裏切ることを“防ぐ”ことはできない。パートナー自身が誠実であることを選ぶか選ばないかしかない。
Ⅲ不倫の持つ意味、その動機
・人間は何かを探す時、最もありそうな場所よりむしろ探すのが楽な場所を探す
・多くの人が、不倫相手に自分の伴侶にはなれない、またはならない種類の人を選ぶ
自分とは全く違う階級や文化や世代の人に恋することにより、人は現実としては考えにくい可能性を弄ぶ
・不倫は「決して自分のものにはならない人生」を約束してくれる
・結婚、家庭、そして母になることは、多くの女性にとって永遠の夢だが、そこはまた、女性たちが女であると感じることをやめる場所でもある
・彼女はルイスといる時、子供や請求書や夕食といった、自分を女としてダサいと感じさせるあらゆることを考えなくていいんです。
・私たちの伴侶は私たちのものではない。彼らはただ私たちに契約更新の自由とともに貸し出されているだけだ。
・愛する人が永遠にとらえどころのない存在だという認識は、最もポジティブな意味で、私たちを安心しきった状態から揺さぶり起こす。 -
著者がニューヨークの心理療法師で表現がおもしろい。
「不倫」について全部書いてる感じ。
なぜ今、「不倫」は叩かれるのか?
自分はどうか?
など…
みんなさんは? -
セラピストがこれまでのセラピー経験を基に不倫と結婚の問題について論じたエッセイ。登場するエピソードや話の展開はあまり意外なものは少ないが、経験豊富なセラピストが多角的な観点から夫婦関係(と愛人関係)を論じており読み応えがあった。
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ボリューム多いが色んな事例が具体的に紹介されて面白かった。不倫したら即別れる、という考えの人に勧めたい。また他人の不倫にも簡単に判断するべきではないと考えさせられる。禁断や秘密は必ずしもマイナスではなく、人が生き生きするためのパワーともなり得る。不倫に至る背景、不倫から得ようとしたものも見るべき。