台湾対抗文化紀行

著者 :
  • 晶文社
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本棚登録 : 177
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794972866

作品紹介・あらすじ

2010年代の台湾には、日本の1960年代のように、人びとが「自由」を求め、自分なりの表現に取り組む熱気が渦巻いていた――。

日本の企業社会に嫌気が差し、海外放浪の旅に出た著者は、その途上で訪れた台湾に魅せられる。そして現地の人びとと交流するうちに、台湾の対抗文化やDIYシーンの取材にのめり込んでいく。

インディ音楽シーン、インディペンデント誌『秋刀魚』、オルタナティブスペース〈waiting room〉……現在進行形の台湾カルチャーを案内しながら、これからの時代の生き方や働き方を考える。ベストセラー『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』、人気マンガ連載『めぞん文豪』の共著者で、フリーランスライターとして活躍する著者の初の単著。

感想・レビュー・書評

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  • ◆若者文化を通して今を記録[評]東山彰良(作家)
    台湾対抗文化紀行 神田桂一著:東京新聞 TOKYO Web
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/157054?rct=book

    神田桂一|note
    https://note.com/pokkee/

    台湾対抗文化紀行 | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=6811

  • すっっっごく面白かった。個人的に台湾が好きということもあるし、普通に台湾へ行っただけでは体験できないことや知れないことが書かれていて興味深かった。すぐに現地で友だちを作ってしまう著者を尊敬する。日本でも器用に生きているのだろうと思ったからあとがきを読んで少しビックリした。

  • 自分にないものに憧れて外側ばかりに目を向けて羨むばかりではなく、相手の目線に立って自分自身を振り返る体験を経て自分の良いところも課題も気がつけるようになる。対話と振り返りを積み重ねることがお互いのコミュニケーションをより深めるのだと期待を持たせてくれるた一冊。
    台湾はもちろん、国内外を彷徨きたい気持ちが盛り上がった。

    同じ事象に対しても視点や考えは立ち位置で異なるという当たり前のことをつい忘れがち。特に自分が当事者として距離が近ければ近いほどに。
    近過ぎて当たり前になっていたり気が付かないこともある。
    理解できるかどうかは別として繰り返しコミュニケーションを取り続けることで相手のことも自分のことも知ることにつながる。

    *****
    2024. 02. 02. 追記

    実際に台湾を訪れ、百聞は一見にしかずとはまさにこのことかと実感。
    街ゆく人たちの様子を見て、社会システムをわずかでも垣間見ることで、本書で言わんとしていたことをより咀嚼できた気がする。

    エリアによって旅行者である私へのリアクションも異なって、台湾・台湾の人について一言でこれということはできない。
    ただ、(少なくとも台北は)どこに行っても大陸からの影響を強く感じる昔からの文化の跡(濃淡あり)と欧米や日本の文化と混ざった新らしそうな文化の雰囲気が違和感なく同じ空間に同居していた。それがいい意味で雑というか、ごちゃっとしていて、日本で蔓延してるキチンとせねば感、停滞感を程よく薄めている。それはゆるい・成長を続ける・多様性を受け入れるというポジティブな側面だけではなく、外的要因含めて自分たちは変わり得る、変化し続けることを迫られることをリアルに感じる切実な日常の反映でもあるように感じた。

  • 面白かった。〈台湾の人たち〉という大枠ではなく、著者が出会った〈個々人〉の生き様、考え方が描かれていて、かえってそれが「こんな面白い人たちがいる場所に行ってみたい」と思わせる。

  • よく言われる「台湾はどこか懐かしい」という言葉。自分もそう感じるところがあった。
    何故なのか、それを的確に本書は表現している。
    「パラレルワールド、どこか似ているけど違う国」がその通りだと感じた。
    旅行記ではなく文化比較、特に若者層のサブカルチャー論的な書。

  • 音楽、雑誌、政治、日本。
    さまざまな角度から、いま育まれつつある”台湾らしさ”を探る。

    音楽面から探る台湾というのは、なかなか珍して新鮮でした。著者が日台の音楽文化にかなり詳しく、最近台湾ポップスを知ったばかりなので非常に面白く感じました。
    本書で紹介されていたグループなどは是非探して聞いてみたいとおもいます。

    台湾意識に関する台湾人に住む一住民の話を細かに知れたパートも良かったです。
    さらに良いのは、大陸の中国人の意見も記述していること。

    また、各分野の歴史や用語を全く知らない自分でも、ちゃんと楽しめる配慮(下段の面白いワード解説)があり良かったです。


  • 台湾のカウンターカルチャーを通して、そのアイデンティティを探る紀行文。コンセプトは堅苦しいが、日本文化に影響を受けた現代の台湾文化を旅行者・訪問者の視点で追う。やや私的な交流が多いが、他人の旅のありのままを体感するようで面白い。

  • 旅好きのフリーライターが、伝手を頼って台湾に住む人たちや台湾に関わる人たちに出会って話をして考察する。音楽、ZINE、店作り、街、政治意識…

    台湾アイデンティティや政治意識の話を興味深く読んだ。

  • 旅は視野を広げるとよく言われるけど、ただ行くだけでなくそこの人と関わって能動的に知ってのめり込みたい、それをするとしたらどの国が面白いかな、と考えている中でたまたま読んだ。案の定、台湾面白そうだと思った。歴史が浅くて外からの影響も受けやすいから?近隣の文化を取り入れることにも柔軟で、中国との関係が日常生活にもろに影響するから?政治にも当事者意識が強い、日本との関係も近いから台湾を知ることで日本への理解も深まるんだなと思った。
    何度か行ったことあるけど、近いうちにまた行って理解を深めたいと思った。

  • 本書を読む前はもっとライトな内容かと思っていましたが、中身は従来の台湾本とは異なった視点の台湾論でした。中々面白かったです。

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著者プロフィール

1978年、大阪生まれ。フリーライター・編集者。一般企業に勤めたのち、写真週刊誌『FLASH』の記者に。その後『マンスリーよしもとプラス』編集を経て、海外放浪の旅へ。帰国後『ニコニコニュース』編集記者として活動し、のちにフリーランスとなる。雑誌は『ポパイ』『ケトル』『スペクテイター』などカルチャー誌を中心に執筆。ウェブでは『やまもといちろうメルマガ』編集、『本の雑誌』『論座』などに寄稿し、その他マンガ『アイアムアヒーロー』のリサーチなども行う。著書に『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』(菊池良との共著、宝島社)、『おーい、丼』(ちくま文庫編集部編、ちくま文庫)。マンガ原作に『めぞん文豪』(菊池良との共著、河尻みつる作画、少年画報社。『ヤングキング』連載中)。

「2021年 『台湾対抗文化紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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