ゴッホの遺言: 贋作に隠された自殺の真相

著者 :
  • ゆびさし
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本棚登録 : 79
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784795829121

作品紹介・あらすじ

一枚の贋作、二枚の遺作が語るゴッホ自殺の真相。日本推理作家協会賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ゴッホの魅力。ただそれにつきる。

  • 推理小説タッチで読めます。ゴッホと弟そして弟の妻の関係。いままで知らなかった世界がよく分かります。そしてゴーギャンとの共同生活の破綻。真相は? 著者の結論がなるほどとうなずけます。

  •  「アルルのゴッホの寝室」には、複数のスケッチが遺されている。
     その内の一枚が贋作であることを、本書は絵画法の観点や描写の分析、書簡の解読等から明かしてゆく、美術ミステリ・ノンフィクション。
     著者自身、画家としての視座から精緻な洞察を試みているので、真贋に対する論評には説得力がある。
     尚、改訂された完全版(2009年)が出ているが、日本推理作家協会賞を受賞した単行本の方を敢えて勧めたい。
     ゴッホの自殺の真相について、初版刊行後に解明された事実を踏まえて書き直された部分があり、結果として、着地点は近くとも、そこに至るまでの推測の躍動感が大きく異なるからである。
     謎めいた情熱の芸術家として伝説に包(くる)まれるよりも、人間・フィンセントとして穏やかな情愛の顔を垣間見させる本書は、時の彼方へ放つ温かい鎮魂歌にも感じられる。

  • 20年前の本をやっとこさ読みました。
    この本のメインテーマでもある一枚のスケッチが贋作であるとする考察の記述部がちとくどいので、かなりとはしながら読んだのですが、読了してみるとスケッチの偽物っぷりというよりかは、弟テオとその妻ヨーとの関係性こそゴッホの生涯に与えた影響が大きく、もっとそこを深堀したほうがエンターテイメントとしては面白くなったと思うのですが、筆者は美術系の学者なのでそうはいかなかったということで…
    引き続き、続編も読みます!

  • 作者=小林英樹氏が一躍有名になった衝撃の1冊。日本推理作家協会賞受賞作。
    世界各国の名だたる美術館に収用されるゴッホ作品。その「真贋」に、画家そして研究者ならではの鋭い洞察力と調査、推理で迫る本書。
    美術界のみならず、ゴッホ作品を所有する各美術館関係者にも衝撃が走ったものと推察される。
    ゴッホの絵のある近くの美術館に足を運び、じっくりゴッホ作品を見つめてみるのも一興かと。

  •  狂気のゆえにピストル自殺をしたという定説が、実は捏造されたものだったというノンフィクションです。
     著者はゴッホ作とされている『寝室』のスケッチが、美術に全く疎い素人(贋作者)のものであるとして、その論拠を丹念に明かしていきます。そしてそこから浮かび上がる贋作者の正体と、ゴッホ自殺の真実を明らかにします。
     
     ゴッホ観が一変します。見事ととしか言いいようがないです。今までの自分の思い込みが恥ずかしくなりました。

  • スケッチにも贋作があることを知りました。
    贋作といっても、模写したものを贋作として売り買いする人たちと、
    最初から贋作を創らせようとして書かせたものっでは、作品の意味がちがうと思っていました。

    画商なら、贋作かどうかが重要でしょう。
    画家なら、模写かどうかが重要だと思っていました。

    ヨーロッパでは美術館で写真,ビデオ撮影ができたり、許可を得た模写をする手続きが簡単なのに、日本の美術館ではなにもできないということに唖然とすることがあります。

    模写は、贋作に繋がるのかもしれませんが、技術の向上にはとても役立つと思います。写経のようなもので、先人を真似ることにより,学ぶのだと思います。

    ゴッホがミレーの模写をしていることを、2011年のゴッホ展とその前のテレビ番組で知りました。

    ゴッホは好きなので、どんな話題でも、新たな発見があるので、勉強になります。

  • 自分も知っている児童書に使われているゴッホのスケッチ。
    確かに見比べてみればねぇ・・・。
    真贋を見極めるものの最後は 良心がものをいうのかな。

  • 2011年2冊目

  • 私が最も好きな画家の一人がゴッホです。
    この本は画家の小林英樹さんが、ずっと「ゴッホ作」とされていた1点のスケッチを「贋作」と直感するところから始まります。それは油彩「アルルのゴッホの寝室」の作品説明のために、弟のテオに送ったと言われるスケッチでした。

    実際そのスケッチは、ゴッホの作品を知る人なら贋作と疑うのが当然といえるような物なんですが、何故か疑われもせずに長い間真作とされてきたんです。
    小林さんは、沢山の資料を集め、実際にアルルへ行ったりしながら、そのスケッチが贋作である事を誰にも分かるように説明しています。
    私もこのスケッチが贋作であることは確信出来るくらいに納得させられました。

    小林さんはもう一つ、ゴッホの自殺の真相に迫る推理もしています。
    ゴッホは一般に言われているように「精神病の発作で衝動的に自殺した」とか、私も信じていたように「弟のテオが過労で倒れた事に責任を感じた」という事ではなかったのです。
    そう。贋作のスケッチと自殺の真相が繋がるんです。

    これ以上は本を読もうとする方に悪いので書きません。ゴッホを好きな方は是非読んでみてください。
    確かにゴッホは精神を病んでいたけれど、自殺したのは発作でも衝動でもなかったんです。
    フィンセント・ファン・ゴッホ。貴方は優しすぎた。

  • ぶっちゃけ、半分までは美術やゴッホに興味のない人には物凄く退屈。
    が、後半の畳みかけるような”ゴッホの真実”はなるほど、日本推理作家協会賞受賞という感じ。

  • 自分も画家である著者が、ゴッホの自殺についての定説を打ち破り、その真相に迫ろうとする力作。自殺の動機は、定説とは別にあったのではないか?となると、意図的にあの定説を作り上げた犯人は?そして、この犯人とあの贋作者との関係は?・・・ああ、続きを読みたい!

  • ゴッホの魅力に取り付かれた私。書店でたまたま手に取った一冊。著者の名前に見覚えが・・・。中学の頃通っていた塾の先生。難しいけど、ゴッホ好きにはたまらない。

  •  この本を読んでゴッホが好きになりました 推理小説的でもあり伝記的でもあり絵画を科学的に考察しているところがおもしろい

  • 彼氏の父親の知人が書いたとかいう本。構成がややくどいけど、この手の話はスキなので面白かった。

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著者プロフィール

1947年生まれ。画家、ゴッホを中心とした絵画研究。東京芸術大学油画専攻卒。大阪中の島美術学院講師、北海学園大学建築学科教授を経て、2006年より愛知県立芸術大学美術学部教授(2012年退官)。個展多数。著書:『ゴッホの遺言』(情報センター出版局、1999。第53回日本推理作家協会賞・評論その他部門受賞)『ゴッホの証明』(同、2000)『耳を切り取った男』(NHK出版、2002)『色彩浴』(ポーラ文化研究所、2003)『ゴッホの復活』(情報センター出版局、2007)『完全版・ゴッホの遺言』(中公文庫、2009)『ゴッホの宇宙(そら)』(中央公論新社、2010)『「ゴッホ」にいつまでだまされ続けるのか』(情報センター出版局、2011)『フェルメールの仮面』(角川書店、2012)『先駆者ゴッホ』(みすず書房、2017)ほか。

「2017年 『先駆者ゴッホ 印象派を超えて現代へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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