君の名残を (上) (宝島社文庫 487)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796650755

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった!!
    歴史&ファンタジー小説
    鎌倉時代成立に向けた物語

    上巻では
    剣道部主将で幼馴染の友恵と武蔵、さらには友恵の友達の弟の志郎が平安末期にタイムスリップするところから始まります。
    そして、それぞれがその時代の主要人物として歴史の流れに組み入れられます。

    友恵は木曽義仲の妻の巴御前
    武蔵は源義経の従者の武蔵坊弁慶
    志郎は北条時正の息子の北条義時

    それぞれが、なぜ、この時代にタイムスリップしてきたのか?
    そして、その時の流れの中で、すでに決められているであろうそれぞれの運命に対してどう対峙するのか
    といった展開です。

    それぞれは、意外にもあっさり平安時代に溶け込んじゃうのね(笑)

    そんな中、上巻では、清盛が逝去し、義仲と巴の息子義高が人質として頼朝の元へ行くところまでが語られています。

    下巻に続く..

  • まさかのタイムスリップ!!

  • 学校帰りに大きな木の下で雨宿りをしていた友恵と武蔵。
    その近くにいた友恵の友人の弟である志郎。
    雷に打たれた三人は、鎌倉時代の別々の場所へ飛ばされてしまう。
    教科書にあった歴史は知っているが、細かいことはわからない。その中で三人はどう生きていくのか。
    そして互いの存在が同じ時代にあることを、彼らはまだ知らない。

  • 友恵、武蔵、志郎の3人は現代から鎌倉幕府創成期にタイムスリップしてしまった。しかも、巴御前、武蔵坊弁慶、北条義時として、それぞれがその時代の主要人物であった。

    こういう歴史小説もあるんだなと思った。タイムスリップした後、その時代で年月を重ね自然とその役に馴染んでいく主人公たち。運命には逆らえないという思い半分、その運命から逃れたいという思いが半分。

    ドラマチックな歴史小説は面白い。

  • 何となく手に取ったこの本。
    こんな“大スペクタクル歴史ロマン”だとは思わなかった!


    『君の名残を(上)』 朝倉卓弥 (宝島社文庫)


    普通に高校生活を送っていた少年少女たちが、過去にタイムスリップし、歴史上の人物としての運命を背負わされてしまう話である。
    おやまたタイムスリップもの?と思ったが、この前読んだ本多孝好さんの「イエスタデイズ」よりもはるかにスケールが大きい。
    だって800年前に行っちゃうんだから。

    同じ高校に通い、同じ剣道部に所属している幼なじみの「白石友恵」と「原口武蔵」、友恵の友人由紀の弟「北村志郎」。

    この三人が、ある日神社の境内から忽然と姿を消した。
    …というところまでが「プロローグ」。

    続く「友恵之章」「武蔵之章」で、友恵と武蔵がどうなったのかが語られる。
    なんと友恵は木曾義仲の妻「巴御前」に、武蔵は源義経と行動をともにする「武蔵坊弁慶」として、平安末期、源平の争いの渦中を生きることになる。

    このあたりまで読んだ時、うーんちょっと待てよ、と止まってしまった。
    普通に歴史小説やんと思ったのだ。
    高校生がわざわざタイムスリップしてくる意味ってあるんかな?
    そんな中途半端な設定にしなくても、そのまま「歴史小説」として書いても十分読み応えのあるいい作品なんじゃないかな、と。

    最初は、友恵と武蔵の時を越えた悲恋物語だと思っていたのだが、友恵ちゃんはあっさり義仲っちと結婚しちゃって、え、なんで?武蔵くんは?みたいな。
    800年前という想像を超えた状況に放り出されたわりには、すぐに馴染んでいるところも気になった。

    ……が。
    ところがどっこい一筋縄ではいかなかったね。
    作者のすごさがだんだん分かってくる。

    キーパーソンともいえる、眉に傷のある謎の坊さんの存在が見え隠れするにつれ俄然面白くなってきて、その人物の過去が語られる「修羅之章」で目が離せなくなり、続く「幕間」で三人が消えた後の「現代」の様子が語られるころには、ページを繰る手が止まらなくなってしまった。
    いやーすごい。
    やられたー。

    「六波羅之章」は、平家が滅亡に向かう話で、まさに“盛者必衰の理”が、緻密な筆致で丁寧に描かれる。

    平清盛の衰退。
    頼朝の出兵と時を同じくして、平家討伐を掲げ兵を挙げた源義経と武蔵坊弁慶(武蔵)。
    木曾義仲と巴(友恵)。
    そして源頼朝の参謀である北条四郎義時(志郎)。

    (書き忘れていたが、雨の中自転車で姉を迎えに行こうとしていた志郎君は、神社からどこにタイムスリップしちゃったのかと思っていたら、なんと、北条政子さんちだったのだ!)

    現代から飛ばされてきた三人が、奇しくも同じ方向に少しずつ向かっている。
    そのあたりの筆運びは実にスリリングだ。

    “平成”という時代に生きる高校生であった彼ら。
    彼らは歴史の“結末”を知っている。
    それゆえの悲しみは、物語が進むにつれて重みを増していくのだろう。

    この物語全体の底を流れる“得体のしれないものの意思”は、どこへ行き着くのか。
    友恵、武蔵、志郎の運命は !?
    下巻へ続く!

  • タイトルがとても素敵。

    現代から平安時代へとタイムスリップしてしまった三人。
    平家物語を余り知らない私でも何とか付いていけました。
    どんな結末になるか全く読めません。

    何年も積んでいた本なので味わって下巻を読もうと思います。

  • 2006年に購入し、2010年に再読。

    ------

    この本を手にしたのは前職時代の帰り道。
    どこの本屋だったのか、どうして手にしたのかも覚えています。
    文庫化されたばかりで、新刊コーナーに平積みされていました。

    朝倉卓弥氏は映画にもなった『四日間の奇蹟』の著者でもあり、
    文庫本の帯には”『四日間の奇蹟』を超える感動”とあります。
    『四日間の奇蹟』が感動的な話であることは耳にしてましたが、
    実際に映画や小説を観たり読んだりはしていませんでした。
    で、「そんなに凄いのか。。。」と手にしたわけです。

    暫らく読み進めてみて、すっかり話に引き込まれました。
    なめてかかっていたので、返り討ちに遭った気分です。

    ------

    ある日本の歴史を舞台として話が展開されていきます。
    私は歴史にかなり疎いので、どこまで史実に基づいているのかはよくわかりません。
    所々(特にトモエの最期)で「都合が良いなぁ」と感じたりもしますが、
    そうはいっても世界観や展開の力強さ、想像力は素晴らしいです。
    その時代の歴史自体がどうなるのかも気になりますし、
    登場人物達がどうなるのか、どうするのかも気になります。

    自分の壮絶な最期を知っているのと
    大切な人の壮絶な最期を知っているのとでは、一体どちらが辛いのでしょうか。。。

    距離や時間的に自分のいる場所から遠く離れて起こった出来事は
    全てがテレビドラマのような作り物に感じてしまうものですが、
    「この世界を生きていた人がいたんだよな。。。」と当たり前の事を再認識致しました。
    (まあ、ここまでドラマチックではないでしょうが。。。)

    ------

    文庫版は上下巻に別れています。
    で、下巻からあるものが発見されました。

    Dr.OZの名刺。
    前職時代の先輩の名刺です。

    人と人との繋がりもこの物語に深みを与えています。
    思わぬところで過去の自分に遭遇した事に驚きました。
    狭い世の中、どこでどのように繋がっているかわからないものです。

    また、いつの日か同じような驚きを得る為に名刺は挟んだままにしてあります。

  • 上下巻。
    高校生がタイムスリップして歴史上の人物になります。

  • 創作歴史秘話。
    とはいえ前半部分は明るめに、次第に破滅へとむかっていく武士たちの「今」がよく、書けている

  • タイムスリップもののSF歴史ミステリーであるが、運命論の中で人生や意志がどのような意味を持つのか、生き死にのはっきりとした時代背景の中で描写されている。
    救いがないような描写も多く、諦観にも似た命題の提示が重たいので、合わない人にはボリューム的にも読み進めにくいかもしれない。ただ、歴史の裏にある一人一人の意志や想いが丁寧に描写されていて、私は手が止まらなかった。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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