- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796666985
感想・レビュー・書評
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河口にほど近く、広く、ゆっくりと澱む河。セイタカワダチソウが茂るその河原で、いじめられっこの山田は、腐りゆく死体を発見する。
「自分が生きてるのか死んでるのかいつもわからないでいるけど/この死体をみると勇気が出るんだ」。
過食しては吐く行為を繰り返すモデルのこずえもまた、この死体を愛していた。
ふたりは、いつも率直で、「かわいい」ハルナにだけは心を許している。
山田を執拗にいじめ抜くハルナの恋人、一方通行の好意を山田に寄せる少女、父親のわからない子どもを妊娠するハルナの友人。
それぞれに重い状況を抱えた高校生たちがからみ合いながら物語は進行する。そして、新たな死体が、ひとつ生まれる。
岩井俊二監督作「リリイシュシュのすべて」のような繊細なタッチで、表向きは他愛のないダイエットやファッションの話に明け暮れる高校生活の裏にある、生きていることや愛されている実感が持てずに死体や摂食障害やドラッグや恋愛にのめり込む高校生の形にならない悩みや嫉妬や欲望を丁寧に描いて、岡崎京子の最高傑作として読み継がれています。
「食べたい、食べたい、お腹がはちきれるほど、すべてを忘れるほど、すべての欲求と不安を満たすほど、そしてすべてすっかり吐き出してしまうのよ、全部空っぽになるまで」「世の中みんなきれいぶってステキぶって楽しいぶってるけど、あたしにも無いけど、あんたらにも逃げ道ないぞ、ざまぁみろって」などの印象的な台詞も、記憶に残ります。
「平坦な日常で僕らが生き延びること」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心の本棚にしまっておく一冊、脱力(?)した絵柄を楽しみながら読んでると突然ナイフでスッと皮膚を切られるような展開
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2022.10 再読。小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を聴いたので。映画の方は観ていない。
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ハルナ目線で読んでいて、周囲の子たちのことは色々と思っても、ハルナについては同化してしまって考えていなかったので、吉川さんのハルナについての一言にざっくりやられた…。
神経が肌を突き破ってしまって、空気に触れて痛み続けてるみたいな子どもたち。
十代で読んでいたら、私、どう感じたのかな。
あと、映画(未見)で話題になった時も、私ずっとタイトルを「リバース・エッジ」だと思い込んでいたんだけど、川が終わるところ、なのね…。
いいタイトルと場所設定だなぁ…。 -
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まんが
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映画されるので読んで見たがあまり面白くなかった。一昔前の前衛的作品だな、今時こんなの映画化してどうするつもりだろう。
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初岡崎京子作品 ある日いじめられてた同級生を助けてあげたらとんでもない秘密を打ち明けられる。学校の裏の藪の中には白骨化した遺体が捨てられていた。生きてる実感が沸かないときに興味を持って読んでみたら案の定面白かった。
「自分が生きてるか死んでいるのかいつも、わからないでいるけど この死体をみると 勇気がでるんだ」なんでだろうこのニヒルにすごい説得力を感じる。 -
岡崎京子の漫画って、全然楽しめない作品だなと読むたびに思い出す。
ずーんと重くて、ショッキング。
そして俺のあまり知らない(覚えていない)あの時代の空気感を切り取り過ぎているだと思う。過剰なまでに。