ある少女にまつわる殺人の告白 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796688987

感想・レビュー・書評

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  • こないだサイレント・ヴォイスを読んでピンと来た佐藤青南のデビュー作を入手。
    タイトルからしてかなり重そうな感じだったのだけど、これが予想以上に重い。
    さらに重い。

    扱われている素材がネグレクト、つまり児童虐待。
    基本的に子ども嫌い、世界中の子どもがみんな消えてしまえばいい、と思っている
    僕だが、児童虐待はその数百倍嫌い。なので、読んでいるだけで虫唾が走る内容に
    終始する。最近では大好物のイヤミスなのだけど、さすがにコレはキツかった。

    形式は初期の湊かなえ作品とほぼ同様のモノローグ(インタビュー)形式。
    インタビューを受ける人物は多々登場し、若干の混乱があってもしょうがないのだ
    が、これが見事に書き分けられているため、場面転換が実にスムースに見える。
    これが巧妙な叙述トリックとして作用し、終盤間際で起こるどんでん返しは殆ど
    予想が付かない。実に優秀なミステリー作品だ、ということに間違いは無いと思う。

    イヤミスが好きで、扱われている素材に抵抗が無ければ確実にハマる。
    個人的にはちょっと苦しかったけど、この作家はちょっと追いかけたいな、今後も。

  • 児童虐待をめぐる事件をインタビュー形式で浮き彫りにするイヤミス。亜紀に関係する人々のインタビューが少しづつ真実をあぶり出し、最後には…
    『サイレント・ヴォイス』が非常に面白かったので、順序が逆になったが、デビュー作も読んでみた。

  • 幼少期の経験に縛られ続けた彼等を救う手立ては、果たしてあったのだろうか。考えさせられるような、尾を引く終わり方が、やはり衝撃的。

  • 複数の語り手が主人公に対してある少女の周りで起きた悲しい事件について話しかけるという形式は面白かったです。
    それ故に主人公とは一体何物なのか。登場人物達の昔話に出てくる人物なのだろうかなど色々と期待をし過ぎてしまいました。
    どうも傍観色の強いまま終わってしまったというのが正直な印象です。
    事件の真相についても当たり前の事が起きてるようにしか見えなかった。
    だけどあれこれ想像していきながら読むのは楽しかったです。

  • 最初は殺されたのが表紙にある亜紀ちゃんかと思い、読み進めていたら…。いろんな人のインタビューで構成されていて、全く飽きない。最後、インタビュアーの正体が明かされてビックリ!面白かった。

  • 10年前に起こった虐待を受けた少女めぐる事件を児童相談所の所長など様々な事件の関係者からのインタビューをもとに浮かび上がらせた小説。

    インタビュー形式の小説なので読み口は湊かなえさんの『告白』や宮部みゆきさんの『理由』と似ているのですが、独白だけの小説ながら人物の書き分けが上手い! 事件の関係者の数は結構多かったのですが、どれも人間臭さが感じられました。方言を有効に使っているあたりもその人間臭さにつながっているのかな、と思います。

    ミステリーとしてはかなりの技巧派の作品だと思います。小出しにされる事件の全容に引き付けられるとともに、意外な展開もしっかりと見せてくれます。自分は10年経ったこの事件を今更蒸し返すインタビューの聞き手についていろいろ考えながら読んでいたのですが、これもなるほどな~、と思わせられました。驚きとまでは言わなくてもそうつなげるか、という巧さに感心しました。

    少女の両親に対してなかなか強硬手段がとれない様子にもどかしい思いに駆られます。こういう話読んでいるといかに司法が子供を守るのに力不足なのか考えてしまいます。そしてそれが生み出した新たな悲劇……ラストに進むにつれ哀しさとともに、薄ら寒さもこみあげてきました。エピローグ的なものも非常に気になります。このインタビューの聞き手はその後どんな行動をとったのかなあ……

    第9回このミステリーがすごい!大賞〈優秀賞〉

  • この作品、テーマは「児童虐待」なのです。
    もう読んでてイライラ・モヤモヤ・怒り・悲しみ、色んな思いが浮かびます。

    そして児童相談所の実情について詳しく書かれてもいます。
    児童相談所というのがこういう施設なんだと、今回初めて知りました。児童相談所に与えられている権限や、それをどう行使するかなど興味深く読みました。

    とっても興味深く、一気に読みました。
    ただ、『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞作品と思って読むと少し違うような感覚が残ります。
    「驚きの結末!」みたいな事はないです。
    ラストに浮かび上がるものはあるのですが、そこまで「驚き!!」というような事でもないと思います。

    むしろ「やっぱりな・・・」って感じで、とってもやるせない気持ちに。

    タイトルと装丁から、かなりエンタメよりの作品かと思いましたが、そんな事はなく、重いテーマを扱った読み応えある作品でした。

  • 重い…あまりに重い…  けれど、読み応え充分♪ ^^

    湊かなえの「告白」と比較する人が多いようですが、自分は読んでる間、まったくそっちは思い浮かばず、恩田陸の「Q&A」と同じ形式なんだな~、としか思ってませんでしたw こうしたインタビューだか会話形式だとかモノローグのみでストーリーが進んでいくスタイルが昨今流行っているのは「告白」が大ヒットしたから、というのが巻末解説の説明ですが、本当に流行ってるのかどうかは知りません。文庫しか読まない人間なのでww

    しかし帯などで妙に煽っている感ありありの、ラストに大どんでん返し!、というほどの仕掛けは、ラストにはありませんでした。自分的に、あのラストは読めてしまったのでw ただ、そのラスト手前の部分の隠された真実と、そこに至るまでのミスリード描写は本当に素晴らしく面白いです。
    重いテーマが敬遠されがちかもですが、読み応えのある物語を欲しているなら読んで損はしないと思います♪
    次回作は明るい職業+恋愛モノ(有川さん系?)らしいので、非常に楽しみです♪♪

  • 全てがインタビュー(インタビュアーのセリフはないので、モノローグとも言えます)で構成されています。児童虐待がテーマなので少々重たいですが、グイグイと引き込まれるお話です。ラストに向かっての加速感と、どんでん返しとも言える結末は読み応え抜群です。
    話の軸となる児童相談所の所長がばりばりの長崎弁なので、読んでるうちに長崎弁がうつってきます。

  • ある少女にまつわる殺人の告白読了。オチは、あーまあそうなるよねーって感じだったんですが、クライマックスの真相はお見事でした。これならたしかにこのミスも許せる。しかしこの報われなさがな……というか、中身はいいんだけどやっぱりこの独白形式の流行はうむ……あまり……

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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