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- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784796702966
作品紹介・あらすじ
ベンヤミンやゴダールの時季はずれの思考に触発され、チャップリンやキートンらと共に無声映画の都市空間を闊歩する。視覚文化の「破局」の只中で"見る"ことの意味を問う、反時代的映像論集。
感想・レビュー・書評
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映画論の視点からベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」を読み解くとともに、その視点から、おもにこの論文が書かれる前に作られた、すなわちベンヤミンの議論が呼応しえた映画を読み解き、その起爆力を引き出そうという論文集。「複製技術時代の芸術作品」の読解に充てられた最初の章は非常に示唆的。また、ベンヤミンの「アレゴリー」概念をドゥルーズの「機械」の概念と接続させているのも、映画における物質的なものの叛乱を浮き彫りにするために生産的と言えよう。チャップリン論もなかなか魅力的。ただ、扱われる映画にしても、理論的言説にしても、アメリカのものにやや偏っているのがやや惜しまれる。もう少しドイツやソヴィエト・ロシアの映画への言及があってもよかったのでは。そう言えば、ラングの『死刑執行人もまた死す』のなかでも、観客は無声映画を見ながらひそひそ話し合い、ナチに抗する陰謀に立ち上がっていた。
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