タバコ吸ってもいいですか ― 喫煙規制と自由の相剋 (法と哲学新書)

制作 : 児玉 聡 
  • 信山社
3.67
  • (0)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 56
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797281514

作品紹介・あらすじ

◆〈受動喫煙からの自由〉と〈喫煙する自由〉を多角的視点から考える「法と哲学新書」第1作。◆
喫煙者と非喫煙者は〈共生〉できるのか?喫煙はどこまで個人の自由なのか?タバコ論争を倫理学(児玉、奥田)、医療経済学(後藤)、法思想史(亀本)、法哲学(井上)の分野から、いま哲学的に問いなおす。井上達夫の「喫煙の人生論と法哲学」が熱く語りかける。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 東2法経図・6F開架:369.8A/Ko18t//K

  • 498.3||Ko

  • 【書誌情報】
    児玉 聡(編)
    発行:信山社出版
    新書判 264ページ 並製
    価格 980円+税
    ISBN 978-4-7972-8151-4
    Cコード C3232
    発売日 2020年10月29日

    ◆〈受動喫煙からの自由〉と〈喫煙する自由〉を多角的視点から考える「法哲学新書」第1作。◆
    喫煙者と非喫煙者は〈共生〉できるのか?喫煙はどこまで個人の自由なのか?タバコ論争を倫理学(児玉、奥田)、医療経済学(後藤)、法思想史(亀本)、法哲学(井上)の分野から、いま哲学的に問いなおす。井上達夫の「喫煙の人生論と法哲学」が熱く語りかける。
    https://www.shinzansha.co.jp/smp/book/b546870.html


    【簡易目次】
    はしがき

    ◆ 喫煙はどこまで個人の自由か ― 喫煙の倫理学〔児玉 聡〕 
     1 喫煙と倫理学
     2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張
     3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張
     4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張

    ◆ 喫煙しない自由からの闘争 ――喫煙規制問題を倫理学する〔奥田太郎〕 
     1 日本における喫煙規制の最前線
     2 喫煙規制強化は倫理的に妥当か
     3 喫煙規制強化に隠された倫理的問題

    ◆ 医療経済学の立場から見た喫煙と喫煙対策〔後藤 励〕 
     1 経済学から見たアディクション
     2 健康被害の不確実性と個人の楽観性の違いを考慮したモデル
     3 禁煙先延ばしのモデル化
     4 個人内葛藤を考慮に入れたモデル
     5 行動経済学の発展
     6 アディクションの経済理論と喫煙対策

    ◆ ある喫煙者の反省文〔亀本 洋〕 
     1 喫煙の自由から病気へ
     2 嫌煙権訴訟
     3 危害原理と権利
     4 公衆衛生の立場
     5 喫煙をめぐる社会情勢の変化
     6 喫煙者の現在

    ◆ ネオ・ピューリタニズムに抗して ―― 喫煙の人生論と法哲学〔井上達夫〕 
     前篇 我が〈喫煙人生劇場〉
     後篇 喫煙者と非喫煙者の公正な共生のために
     結語――〈それ〉は足音も立てず忍び寄り、密かに増殖し、いつの間にか私たちを支配する



    【目次】
    はしがき(二〇二〇年九月末 コロナ禍で静かな吉田キャンパスの研究室にて 児玉聡) [iii-x]
    目次 [xi-xiv]


    ◆ 喫煙はどこまで個人の自由か――喫煙の倫理学〔児玉 聡〕 003
    1 喫煙と倫理学 003
      禁煙談義のレベル分け
      喫煙の害に関するエビデンス
      喫煙規制の三つの立場
      他者危害原則とパターナリズム
    2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張 009
      禁煙に関する一昔前の論調
      「受忍限度論」と世論に訴える論法
      現在の議論とどこが違うか
    3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張 014
      今日の日本の喫煙規制
      今日の議論の争点
      みなが喫煙に同意していれば問題ないか?
      「たばこは文化だから禁止すべきでない」か?
      未成年者の喫煙は許されるか?
    4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張 024
      私的空間における喫煙:ミルの立場
      私的空間における喫煙:グッディンの立場
      喫煙者はたばこのリスクを知っているのか?
      成人は自発的に喫煙しているのか?
      グッディンの議論に対する
      反論の検討
      どのような規制が望ましいか
      まとめ
    文献一覧 038
    註釈 040


    ◆ 喫煙しない自由からの闘争 ――喫煙規制問題を倫理学する〔奥田太郎〕 045
      タバコ問題の現代史
    1 日本における喫煙規制の最前線 048
     (1) 東京都受動喫煙防止条例 
      規制対象施設の分類
     (2) 改正健康増進法 
      改正健康増進法の基本的な考え方
      旧健康増進法からの変更点 
    2 喫煙規制強化は倫理的に妥当か 056
      議論の文脈
     (1) 他者への危害を考える
      喫煙者と非喫煙者の立ち位置
      喫煙する権利ときれいな空気を吸う権利の非対等性
      受動喫煙の自発性と喫煙する権利
      喫煙する権利を行使するコスト
     (2) 自己への危害を考える
      喫煙者は体に悪いと知っている
      喫煙者は体に悪いとわかったうえで喫煙している?
    3 喫煙規制強化に隠された倫理的問題 069
      見えなくなっている理由を疑え
      特定の人間の否定をもたらす危険性
     (1) 喫煙者をめぐる言説 
      喫煙者への人格批判
      不合理で無節操な人物という喫煙者イメージ
      喫煙者のポジティブなイメージ
      タバコというアイテムの不思議
      タバコは文化の問題か、喫煙者のライフスタイルの問題か
     (2) 喫煙者の自律と禁煙の自由 
      嗜癖問題への二つのアプローチ
      第三のアプローチの可能性
      タバコ問題における治療モデルのアプローチ
      タバコ問題における社会モデルのアプローチ
      社会経済的要因を見て何が分かるか
      社会モデルのアプローチが取りこぼすもの
      第三のアプローチ
      禁煙の愉しみと喫煙者の関わり
      喫煙者を脱喫煙者化しない
      禁煙の自由が示す論理学的機微
    文献一覧 092
    註釈 094


    ◆ 医療経済学の立場から見た喫煙と喫煙対策〔後藤 励〕 095
    1 経済学から見たアディクション 096
      合理的アディクションモデル
    2 健康被害の不確実性と個人の楽観性の違いを考慮したモデル 101
    3 禁煙先延ばしのモデル化 104
    4 個人内葛藤を考慮に入れたモデル 108
    5 行動経済学の発展 111
      情報内容によって選択が変わる(フレーミング効果)
      プロスペクト理論
    6 アディクションの経済理論と喫煙対策 119
      合理的アディクションモデルに基づく喫煙対策
      他者への迷惑「外部性」に加え将来の自分への迷惑「内部性」も考慮する
      インセンティブ付与:期待したほど効果はない?
      ナッジ:少し変えるだけで効果が?
      自制と規制のバランス
      個々人の行動のクセに応じた行動変容デザイン
    文献一覧 132


    ◆ ある喫煙者の反省文〔亀本 洋〕 137
    1 喫煙の自由から病気へ 137
    2 嫌煙権訴訟 138
      (1) 禁煙車両設置請求
      (2) 人格権侵害に基づく差止請求
      (3) 受忍限度論
    3 危害原理と権利 144
      (1) 自由と権利 
      (2) 危害原理と権利侵害なき損害 
      (3) 権利の二つの用法 
    4 公衆衛生の立場 147
      (1) 公衆衛生と危害原理 
      (2) 改正健康増進法 
    5 喫煙をめぐる社会情勢の変化 151
    6 喫煙者の現在 153
    文献一覧 154
    註釈 160

    ◆ ネオ・ピューリタニズムに抗して ―― 喫煙の人生論と法哲学〔井上達夫〕 163
     前篇 我が〈喫煙人生劇場〉164
    1 第一幕――生真面目な喫煙者 164
    2 第二幕――快楽主義的非喫煙者 167
    3 第三幕――充足的葉巻愛用者 172
      (1) 葉巻との出会い――本郷とベルリン 
      (2) 「充足的喫煙」思想へ 
      (3) ロバート・ノージックとの会食の思い出 
    4 第四幕―― 一病息災の摂生者 184
     後篇 喫煙者と非喫煙者の公正な共生のために187  
    5 分煙の正義 187
      (1) 反卓越主義と危害原則――基底原理としての正義概念 
      (2) 分煙規制の民主的正統性保障――「目的を欺く手段」の批判的統制 
    6 「分煙」の仮面をつけた「排煙」 194
      (1) 改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例の規制目的と規制手段 
      (2) 分煙目的のためのより効果的で公正なLRA ――国法・都条例の基本指針の欺瞞性 
      (3) 基本指針の例外的緩和・例外的強化の無用性と無根拠性 
      (4) 国法・都条例の違憲性 
    7 ネオ・ピューリタニズムに抗して 217
      (1) 「魔女狩り」としての排煙 
      (2) ネオ・ピューリタニズムの精神構造
    結語――〈それ〉は足音も立てず忍び寄り、密かに増殖し、いつの間にか私たちを支配する 230
    註釈 233


    執筆者紹介 [246]

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。博士(文学)。東京大学大学院医学系研究科専任講師等を経て現在,京都大学大学院文学研究科教授。
主な著書に『COVID-19の倫理学』(ナカニシヤ出版,2022年),『実践・倫理学』(勁草書房,2020年),『正義論』(共著,法律文化社,2019年),『入門・倫理学』(共編,勁草書房,2018年),『マンガで学ぶ生命倫理』(化学同人,2013年),『功利主義入門』(筑摩書房,2012年),『功利と直観』(勁草書房,2010年,日本倫理学会和辻賞受賞)など。

「2022年 『オックスフォード哲学者奇行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

児玉聡の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×