- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784797281514
作品紹介・あらすじ
◆〈受動喫煙からの自由〉と〈喫煙する自由〉を多角的視点から考える「法と哲学新書」第1作。◆
喫煙者と非喫煙者は〈共生〉できるのか?喫煙はどこまで個人の自由なのか?タバコ論争を倫理学(児玉、奥田)、医療経済学(後藤)、法思想史(亀本)、法哲学(井上)の分野から、いま哲学的に問いなおす。井上達夫の「喫煙の人生論と法哲学」が熱く語りかける。
感想・レビュー・書評
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【書誌情報】
児玉 聡(編)
発行:信山社出版
新書判 264ページ 並製
価格 980円+税
ISBN 978-4-7972-8151-4
Cコード C3232
発売日 2020年10月29日
◆〈受動喫煙からの自由〉と〈喫煙する自由〉を多角的視点から考える「法哲学新書」第1作。◆
喫煙者と非喫煙者は〈共生〉できるのか?喫煙はどこまで個人の自由なのか?タバコ論争を倫理学(児玉、奥田)、医療経済学(後藤)、法思想史(亀本)、法哲学(井上)の分野から、いま哲学的に問いなおす。井上達夫の「喫煙の人生論と法哲学」が熱く語りかける。
〈https://www.shinzansha.co.jp/smp/book/b546870.html〉
【簡易目次】
はしがき
◆ 喫煙はどこまで個人の自由か ― 喫煙の倫理学〔児玉 聡〕
1 喫煙と倫理学
2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張
3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張
4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張
◆ 喫煙しない自由からの闘争 ――喫煙規制問題を倫理学する〔奥田太郎〕
1 日本における喫煙規制の最前線
2 喫煙規制強化は倫理的に妥当か
3 喫煙規制強化に隠された倫理的問題
◆ 医療経済学の立場から見た喫煙と喫煙対策〔後藤 励〕
1 経済学から見たアディクション
2 健康被害の不確実性と個人の楽観性の違いを考慮したモデル
3 禁煙先延ばしのモデル化
4 個人内葛藤を考慮に入れたモデル
5 行動経済学の発展
6 アディクションの経済理論と喫煙対策
◆ ある喫煙者の反省文〔亀本 洋〕
1 喫煙の自由から病気へ
2 嫌煙権訴訟
3 危害原理と権利
4 公衆衛生の立場
5 喫煙をめぐる社会情勢の変化
6 喫煙者の現在
◆ ネオ・ピューリタニズムに抗して ―― 喫煙の人生論と法哲学〔井上達夫〕
前篇 我が〈喫煙人生劇場〉
後篇 喫煙者と非喫煙者の公正な共生のために
結語――〈それ〉は足音も立てず忍び寄り、密かに増殖し、いつの間にか私たちを支配する
【目次】
はしがき(二〇二〇年九月末 コロナ禍で静かな吉田キャンパスの研究室にて 児玉聡) [iii-x]
目次 [xi-xiv]
◆ 喫煙はどこまで個人の自由か――喫煙の倫理学〔児玉 聡〕 003
1 喫煙と倫理学 003
禁煙談義のレベル分け
喫煙の害に関するエビデンス
喫煙規制の三つの立場
他者危害原則とパターナリズム
2 喫煙は個人の自由であるため公共空間で規制はしないという主張 009
禁煙に関する一昔前の論調
「受忍限度論」と世論に訴える論法
現在の議論とどこが違うか
3 公共空間では規制し、私的空間でしか喫煙はできないという主張 014
今日の日本の喫煙規制
今日の議論の争点
みなが喫煙に同意していれば問題ないか?
「たばこは文化だから禁止すべきでない」か?
未成年者の喫煙は許されるか?
4 私的空間でも公共空間でも禁煙すべきという主張 024
私的空間における喫煙:ミルの立場
私的空間における喫煙:グッディンの立場
喫煙者はたばこのリスクを知っているのか?
成人は自発的に喫煙しているのか?
グッディンの議論に対する
反論の検討
どのような規制が望ましいか
まとめ
文献一覧 038
註釈 040
◆ 喫煙しない自由からの闘争 ――喫煙規制問題を倫理学する〔奥田太郎〕 045
タバコ問題の現代史
1 日本における喫煙規制の最前線 048
(1) 東京都受動喫煙防止条例
規制対象施設の分類
(2) 改正健康増進法
改正健康増進法の基本的な考え方
旧健康増進法からの変更点
2 喫煙規制強化は倫理的に妥当か 056
議論の文脈
(1) 他者への危害を考える
喫煙者と非喫煙者の立ち位置
喫煙する権利ときれいな空気を吸う権利の非対等性
受動喫煙の自発性と喫煙する権利
喫煙する権利を行使するコスト
(2) 自己への危害を考える
喫煙者は体に悪いと知っている
喫煙者は体に悪いとわかったうえで喫煙している?
3 喫煙規制強化に隠された倫理的問題 069
見えなくなっている理由を疑え
特定の人間の否定をもたらす危険性
(1) 喫煙者をめぐる言説
喫煙者への人格批判
不合理で無節操な人物という喫煙者イメージ
喫煙者のポジティブなイメージ
タバコというアイテムの不思議
タバコは文化の問題か、喫煙者のライフスタイルの問題か
(2) 喫煙者の自律と禁煙の自由
嗜癖問題への二つのアプローチ
第三のアプローチの可能性
タバコ問題における治療モデルのアプローチ
タバコ問題における社会モデルのアプローチ
社会経済的要因を見て何が分かるか
社会モデルのアプローチが取りこぼすもの
第三のアプローチ
禁煙の愉しみと喫煙者の関わり
喫煙者を脱喫煙者化しない
禁煙の自由が示す論理学的機微
文献一覧 092
註釈 094
◆ 医療経済学の立場から見た喫煙と喫煙対策〔後藤 励〕 095
1 経済学から見たアディクション 096
合理的アディクションモデル
2 健康被害の不確実性と個人の楽観性の違いを考慮したモデル 101
3 禁煙先延ばしのモデル化 104
4 個人内葛藤を考慮に入れたモデル 108
5 行動経済学の発展 111
情報内容によって選択が変わる(フレーミング効果)
プロスペクト理論
6 アディクションの経済理論と喫煙対策 119
合理的アディクションモデルに基づく喫煙対策
他者への迷惑「外部性」に加え将来の自分への迷惑「内部性」も考慮する
インセンティブ付与:期待したほど効果はない?
ナッジ:少し変えるだけで効果が?
自制と規制のバランス
個々人の行動のクセに応じた行動変容デザイン
文献一覧 132
◆ ある喫煙者の反省文〔亀本 洋〕 137
1 喫煙の自由から病気へ 137
2 嫌煙権訴訟 138
(1) 禁煙車両設置請求
(2) 人格権侵害に基づく差止請求
(3) 受忍限度論
3 危害原理と権利 144
(1) 自由と権利
(2) 危害原理と権利侵害なき損害
(3) 権利の二つの用法
4 公衆衛生の立場 147
(1) 公衆衛生と危害原理
(2) 改正健康増進法
5 喫煙をめぐる社会情勢の変化 151
6 喫煙者の現在 153
文献一覧 154
註釈 160
◆ ネオ・ピューリタニズムに抗して ―― 喫煙の人生論と法哲学〔井上達夫〕 163
前篇 我が〈喫煙人生劇場〉164
1 第一幕――生真面目な喫煙者 164
2 第二幕――快楽主義的非喫煙者 167
3 第三幕――充足的葉巻愛用者 172
(1) 葉巻との出会い――本郷とベルリン
(2) 「充足的喫煙」思想へ
(3) ロバート・ノージックとの会食の思い出
4 第四幕―― 一病息災の摂生者 184
後篇 喫煙者と非喫煙者の公正な共生のために187
5 分煙の正義 187
(1) 反卓越主義と危害原則――基底原理としての正義概念
(2) 分煙規制の民主的正統性保障――「目的を欺く手段」の批判的統制
6 「分煙」の仮面をつけた「排煙」 194
(1) 改正健康増進法と東京都受動喫煙防止条例の規制目的と規制手段
(2) 分煙目的のためのより効果的で公正なLRA ――国法・都条例の基本指針の欺瞞性
(3) 基本指針の例外的緩和・例外的強化の無用性と無根拠性
(4) 国法・都条例の違憲性
7 ネオ・ピューリタニズムに抗して 217
(1) 「魔女狩り」としての排煙
(2) ネオ・ピューリタニズムの精神構造
結語――〈それ〉は足音も立てず忍び寄り、密かに増殖し、いつの間にか私たちを支配する 230
註釈 233
執筆者紹介 [246]