文才がなくても書ける小説講座 (ソフトバンク新書 102)

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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797353884

作品紹介・あらすじ

小説を書くことは才能あふれる特別な人だけに許された営みなのか。否。「書くこと」はいわば不足を埋める行為であり、そこに必要なのは情緒や感性よりも論理の働きである。文才とは、生まれつきのものではない。書き続ける中からいかに「自分の真実」を発見するか。現役の国語教師が「書くこと」の仕組みから説いた、まったく新しい小説作法。

感想・レビュー・書評

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  • 今回久々に読んで、今の自分に響く箇所があったので
    長いですが引用いたします。
    ちなみに前読んだ時とは響くところが
    全く違います。
    再読すると自分の変化がわかりますね。
    ということで以下引用です。

    「小説の話法の秘密」
    小説は押し付けを嫌うのです。
    私たちの心を、どこか深いところへと落とし込んで行くもの。
    小説とはそのようなものです。
    しかし、何事かを押し付けられた瞬間、
    私たちは心をこわばらせてしまいます。
    隠す事で、探すように仕向ける。
    決して無理強いしない。
    これが小説の話法です。
    ”わたしたちの心を、どこか深い所へ落とし込んでいくもの
    そして、わたしたちをだまらせるもの”

    では、すぐれた小説を前にしたとき、
    わたしたちはどうして黙り込んでしまうのでしょう。
    隠す事で、探すように仕向けると言いました。
    しかし、いくら探しても”掴み得ぬもの”は残るものです。
    この”掴み得ぬもの”を前にして、それにたじろぎ、畏怖する。
    だから人は沈黙するのです。
    小説の感動とは、そうやって生まれます。
    わたしたちは感動というものを
    ”感極まって涙を流すこと”ととらえがちですが、
    本来、文学的感動というものは涙とは関係ありません。
    ただ黙り込み、そっと心を震わせた。それだけだったはずです。
    2017/01/08 17:10

  • 書くとは不足を埋める作業です。

  • 高校学校の国語の授業の中で、小説の書き方を教えてきた著者が、自身の体験を踏まえながら書いた文章執筆の指南書です。

    書くことで情報の不足が生じ、それを補おうとしてさらに文章が生まれてくるという観点から、「ストーリーが勝手に動き出す」という神話や伏線の成立の仕方などを解き明かした箇所は、目から鱗でした。

    また、「小説の読み方は自由だ」という主張は、「自分はたまたまそのように読めたという一回性に、読者が立て籠もることを保証するものでしかありません」と言い、それでは読者は小説を読むことによって何も変わらないのではないかという問題提起も、思ってもみなかった考え方で、目を瞠らされました。

  • 文字通り、文章を書くための小説講座。

    書くことというのは、文字通り論理の構築作業だということがよくわかった。

  • 本当に言葉の持つ力を知っているのか

    以前、自分は普通に言葉を理解し話が出来るのに
    なぜ国語を勉強する必要があるのかと
    時々よその子供たちから聞かれ
    言葉の話を聞き、読むにあたって正確に理解するためだと答えた

    しかし後に、頭で考える時、物事を感じるときには
    常に言葉を使っていることを悟った

    小説は文章を書くことで生まれるのだが
    それには頭にある何かを見つめることから始まる
    でもそれは漠然としたものであるのが普通である
    それを整理して形にする行為が文章を書く最初の作業である

    慣れていない人には最初はとても苦しい行為かもしれない
    自転車に乗れるまでは、こけて擦りむいて痛い思いをするが
    乗れるようになったときには世界が開けるような気分になれ
    そのうちスピードの調整が出来、景色を見る余裕が出来るように
    言葉を通じて自分の心と対話し、自分を表現することができるようになる

    文章をあやつることができるのは自己表現だが
    多くの言葉を自分のものにすることは自己実現である

  • 小説を書くということの真実と手段について明確に示した良書。

  • [ 内容 ]
    小説を書くことは才能あふれる特別な人だけに許された営みなのか。
    否。
    「書くこと」はいわば不足を埋める行為であり、そこに必要なのは情緒や感性よりも論理の働きである。
    文才とは、生まれつきのものではない。
    書き続ける中からいかに「自分の真実」を発見するか。
    現役の国語教師が「書くこと」の仕組みから説いた、まったく新しい小説作法。

    [ 目次 ]
    第1章 書くことのメカニズム(書くということの即物性 書くことで見えてくるもの)
    第2章 小説とは何か(虚構がもたらす真実 文学としての小説)
    第3章 小説を書く(小説ができあがる仕組み 小説の表現 小説の枝)
    第4章 小説を書くための読み方(読めれば書ける 読解力とは?)
    第5章 小説とのつき合い方(小説はいつ書くか 書いた小説はどうするか)

    [ POP ]


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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ■読書前の質問
    ・著者が重要視する「書く力」について知りたい。
    ・目からうろこという発想の転換について知りたい。
    ・繰り返しできることなのか、そのコツがあれば知りたい。

  • 文才がなくても書ける小説講座 特に小説を書くつもりはないのだけれども読んでみた。文才は書いているうちに身についてくるものだから最初は必要ないのだけれども、想像力と論理的思考力は必要。 http://bit.ly/aM2ddj

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著者プロフィール

鈴木信一(すずき・しんいち)
1962年、埼玉県生まれ。横浜国立大学教育学部国語科卒業。
現在、埼玉県の公立高等学校に勤務。2007年、早稲田大学文学研究科派遣研究員。
著書に、『800字を書く力』(祥伝社新書)などがある。

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