なぜ日本は同じ過ちを繰り返すのか 太平洋戦争に学ぶ失敗の本質 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797387063

作品紹介・あらすじ

◎作家・半藤一利氏推薦! 太平洋戦争失敗の本質
太平洋戦争時の日本軍と現代日本のあらゆる組織に共通するジレンマ、
なかでも「先送り」「棚上げ」「不決断」体質に迫り、教訓とする1冊。

今でも日本の問題点として指摘されるリーダーシップや意思決定の不在。
あの戦争の時も、首相も天皇も最終的な決定権はなく
誰も望んでいない開戦に押し流されていった。
典型的な無責任国家は今も現在進行形である。

日本が戦争への道に転がっていった過程を見ると、
「決められない」「時流に便乗する」「空気に流される」
「見通しを誤る」「先送りする」「棚上げする」
といったことがある。

そして開戦後も多くの指揮官のリーダーシップの不在により、
ときに不決断を引き起こし、
いたずらに兵力の消耗をもたらした。

戦局の前半では快進撃を続けた日本軍も、
その後、数々の作戦の失敗から学ぶことなく、
雪崩を打って敗戦へと向かったが、
その裏では、組織が陥りやすい意思決定の矛盾や、
大本営と現地とのコミュニケーション不全といった、
極めて今日的な問題が起きていたのである。

そして先送りによる最大の失敗は、「降伏決定の先送り」である。
天皇の「時局の収拾も考慮すべきだ」という敗戦の覚悟を、
戦争指導者全員が共有できていたら、
国民の犠牲者はもっと少なかったはずだと考えられる。

こうした日本的な組織の特性は、
戦後の日本の組織にも無批判に継承され、
今日の日本企業の凋落と衰退を生み出す大きな要因となっている。
赤字事業の売却、撤退の判断…がその典型的事例だ。
決定が遅れれば、損失が膨らみ、いよいよ処理が難しくなる。

本書は日本軍と現代日本に共通する組織的特徴(欠陥)を、
これまであまり指摘されてこなかった
「不決断」「先送り」という視点から読み解き、
現代日本人の教訓とするものである。

感想・レビュー・書評

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  • 太平洋戦争における日本の過失について、丹念に分析した一冊。

    それは良いのだけど、無理矢理現代の日本の企業戦争に当てはめてるのが今一つ。

  • 事実誤認とまでは言わないが、宣戦布告の遅延の原因を現地大使館員の怠慢としたり(宣戦布告の電信がその形態を取っていなかったため、現地大使館員に最後通牒/宣戦布告という認識が無かったとされる←「歴史問題の正解」、「戦争まで」、「昭和史講義」)、石油産出国ではないドイツでは人造石油を生産したのに、なぜ石炭産出国の日本では出来なかったか(理論的には可能でも基礎研究の差で現実的な生産には至らなかった←「石油で読み解く「完敗の太平洋戦争」」、「石油と日本」)など、一般論の域を出ない論理展開が多かった。

  • 日本軍は情報を隠蔽し、嘘に嘘を重ねて敗北を先送りした。この隠蔽体質は日本人の「恥」「見栄」の感情と無責任な組織原理から生み出されたのではないか。日本政府は国家総動員法で経済を低迷させ、自らイノベーションを封鎖してしまった。日本企業もその日本軍と同じ「体質」を抱えているのではないか。三菱、東芝のデータ偽装。シャープは台湾企業に買い叩かれた。その根底にはトップの無責任、決断先送り、無戦略、情報活用不足、即応力不足、硬直化した組織体制などがあるのではないか。そして日本政府も同じである。

  • 210.75||Ma

  • 類書もあり、内容はなんとなく分かっていても、歴史的な出来事を著者の視点で多角的に説明してもらえるとなるほどと思えて面白く読める。

    日本のいいところを取り上げる書籍の出版が増えていることが一時期話題になったが、戦前から変わってない情報隠蔽体質や無責任体質と、その体質を改善する処方箋が見つからないことに暗澹たる気持ちになる。

    近現代史がちゃんと理解できていない読者に向けて、年表や地図などの資料があればより読みやすく、分かりやすくなったと思う。この本をもう一度読み返すことはないと思うが、もう一度ちゃんと近現代史を勉強しよう。

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著者プロフィール

1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了、政治学修士。ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。
TV、新聞、雑誌のコメンテイター、各種企業、省庁などで講演。著書に『戦争民営化』(祥伝社)、『国際テロファイル』(かや書房)、『「極東危機」の最前線』(廣済堂出版)、『熱風アジア戦機の最前線』(司書房)、『日本人だけが知らない「終戦」の真実』 (SB新書)など多数。

「2021年 『知らないではすまされない地政学が予測する日本の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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