長生き地獄 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797391442

作品紹介・あらすじ

孤独死や無縁仏よりもこわい、長生き。
老いさらばえるなか、ゴールの見えない人生を歩き続けるのは辛すぎる。
いま、私たちはタブーとされてきた「死に方を決める」という課題に直面している。
長生き地獄の現場から、自身の死に方と生き方を問う本!

2015年の国勢調査確定値によると、75歳以上の人口が、14歳以下の子供を上回ったという衝撃的な報告が出ました。
人間の長い歴史のなかで、これだけの「超高齢社会」は初めて。人類は未曾有の事態に遭遇する。
いま、私たちは、これまでタブーとされてきた「死に方を決める」という課題に直面している。

これからの長寿は必ずしも幸福ではない。「長生き=幸福」という価値観は崩壊しつつある。
生涯未婚率が増加傾向にあるなか、単身高齢者の増加は必至。
老人がたくさんの家族にみとられ、惜しまれつつ逝く姿は、もはや幻想でしかない。人間はどこかで自分の命をしめくくることを考えなければいけない時代に入ってきた。
「尊厳死」や「安楽死」は、長生き地獄のなかで唯一残された生きる希望。
老いさらばえるなか、ゴールの見えない人生を歩き続けるのは辛すぎる。「あそこまで頑張れば休めるよ」という希望が欲しいだけ。
別に自殺したいわけではない。「死=(安楽死・尊厳死・自選死)」という希望があるだけで、人を今日一日を頑張って生きられるのではないか
……。
延命治療や在宅医療、老人ホームなど、長生きの実状をつぶさに取材してきた著者が、これからの死に方と生き方を問う本!

感想・レビュー・書評

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  • あなたは何歳まで生きたいですか?
    超高齢社会の日本。人生100年時代と謳われるものの、「長生きしたくない」人が急増している。
    それはなぜか、長生き地獄の現場、有料老人ホームで目の当たりにした。



    こんなにゾッとする怖い本はここ最近なかったなと思うくらいでした。
    どこかで紹介されていたのを見て、どうしても、今すぐ読みたい!という気持ちになった本です。
    作者の選んだタイトルは、学生の頃から私がうっすらと考えてきたことと一致しています。長生きはしたくない。この本を読んでよりはっきりと定まりました。長生きは、絶対にしたくない。そして自分で自分の人生を切り開くためには、個々で死生観を持つだけでは足りないということが分かりました。
    意識不明で救急車で運ばれた家族を前にして、医者に「命だけは助けてください!」今まではこの言葉に違和感なく受け入れていましたが、今となってはそんな自分のエゴを押し付けることは言えない、でも言わずにいられるのか?!となりました。
    自分に関しては、延命治療はして欲しくないと思っていても、自分の親が危篤状態の時にどう判断するのか、親はどうして欲しいのか、何も知らないままでは判断を誤るなと思いました。
    そして自分がもし危篤状態となった時に、配偶者や子供達に判断を委ねないといけない(自分は話せないから)。
    どんなに死生観について気持ちをシェアしていたとしても、死にゆく人を前に「どんな方法を使ってでも助けて欲しい、死んでほしくない」と言ってしまいたくなる気持ちはとてもよく分かる。縁起でもない話と嫌がられても、死生観について家族とシェアし続けることが自分や家族個人の幸福な死に繋がるのだと思いました。

    私は割と若い頃から自分の理想の死に方がはっきりしていました。おばあちゃんの自分がコタツで孫たちに囲まれてミカンを食べている時に老衰で息をひきとる。「おばあちゃん?おばあちゃん??おかあさーん!おばあちゃんがー!!」という死に方。
    しかし本書を読んで、この理想がとてつもなく贅沢で到底成し得ない死に方であるということがよく分かりました。もう今の日本で、これからの日本でこんな死に方はできない。それでも理想に近づけるため、死に場所、死に方を考え、家族と根気よくシェアしていく必要がある。その努力を怠ると、口から栄養が取れないくらい衰弱していても、体に穴をあけて痛い嫌な思いをしてただただ延命させられる。そんな死に方はごめんだ。

  • ドキッとするタイトルだが100年時代を迎えようとする今は長生きについて考えることはとても大事です。

    人間にとって一番苦しいのは死ぬことではなく死ねないことなのかもしれない。

    意識がなくなり意思の疎通が出来なくなれば自分の身体の運命は他人にゆだねられてしまうのです。

    「延命医療」「尊厳死」「安楽死」

    歳をとってからではなく、たった今からそれを考えていく必要があると思います。

    だれもがぜひ読んでほしい一冊です。

  • 全く同感。
    どうしてどいつもこいつも本人の意思を後回しというか無視するのだろう
    福祉の人、行政の人、兄も 私の会社の上司だって周りはみんな「施設に入れなさい」

    母はけケアマネさんとの話合いの間黙っていたが、帰った後『私はここがいいからね」と。

    足が不自由な母をこのまま1人にして今簡易的に同居している私が鍵を閉めて1週間とか実家をあけたら私は「保護責任者遺棄」になるのだろうか

    ならなくても私は責められ「鬼」のような扱いになるのか
    嫌がる母は知らない人に囲まれ馴染みのないご飯を出され話すこともなく過ごすのが最善なのか
    認知症がすすみ私のことも分からなくなりみんなに『分からなくなっちゃってかわいそうに」と言われて最期を迎える方がいいのか

    「65歳過ぎたら救急車は呼ばない」

  • 延命治療・介護がいかに無意味なことかに気づきました。つくづく何も考えず「当たり前」と思っていたことに大きな過ちが潜んでいるものだと感じました。

  • 著者の主張には概ね同意
    語り口は一般市民の代表といった風情

  • 「クロワッサン症候群」(私はどんなものか知りませんが・・・)を書かれた、1947年生まれの松原惇子さん「長生き地獄」、2017.8発行です。長生きの現場を取材し、日本には死にたくても死なせてもらえない高齢者が大勢いるとのレポートです。90歳を超えると、自宅で介護か、施設暮らしが普通。延命治療に関する正しい知識を知ることの重要性を説かれています。無知やお任せ主義はもってのほかと。欧米に胃ろうは存在せず、北欧に寝たきりはいないと。一度施された延命装置ははずせないので、それを踏まえての決断が大事ですね。

  • 尊厳死、安楽死について
    長生きはお金がかかる
    孤独死はよい

  • 医療は進み、多くの老人が口から栄養を取れない状態でも胃瘻や経鼻栄養などで長生きができる時代になってしまった。

    ショッキングなタイトルの本だが、海外のように安楽死を議論しても良いのかもしれない、と思った。

    日本の恵まれた医療保険制度がただ生きているだけの老人をたくさん作ってしまうのかもしれない

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著者プロフィール

松原惇子ノンフィクション作家。1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジにてカウンセリングで修士課程修了。39歳のとき『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』(文藝春秋)はベストセラーに。1998年には、おひとりさまの終活を応援する団体、NPO法人SSS(スリーエス)ネットワークを立ち上げる。『わたしのおひとりさま人生』『母の老い方観察記録』(海竜社)、『極上のおひとり死』(SB新書)など、著書多数

「2023年 『97歳母と75歳娘 ひとり暮らしが一番幸せ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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