知の仕事術 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680010

感想・レビュー・書評

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  • 混迷深まる現代を知的に生きていくためには、「情報」や「知識」だけではなく、さらに深い「思想」が必要だ。それをいかにして獲得し、更新していくか。自分の中に知的な見取り図を作るための、新聞や本との付き合いかた、アイディアや思考の整理法、環境の整えかたなどを指南する。小説だけでなく、時評や書評を執筆し、文学全集を個人編集する碩学が初めて公開する「知のノウハウ」。

    新聞書評の現場が興味深い。

  • <目次>
    はじめに  あるいは反知性の時代の知性
    第1章   新聞の活用
    第2章   本の探しかた
    第3章   書店の使いかた
    第4章   本の読みかた
    第5章   モノとしての本の扱いかた
    第6章   本の手放しかた
    第7章   時間管理法
    第8章   取材の現場で
    第9章   非社交的人間のコミュニケーション
    第10章   アイディアの整理と書く技術
    第11章   語学習得法
    第12章   デジタル時代のツールとガジェット

    <内容>
    作家、詩人であり、書評やエッセイなどの著作の多くある池澤夏樹さんの自分の仕事術を公開したもの。若いころからの本読みである池澤さんのマネはとてもできないが、いろいろな刺激になり、鍛錬をしなければならないと感じられた1冊。

  • 知的活動に関する実用書。私は小説・エッセイ・翻訳など池澤作品全般が好きであり、文章のリズムや言葉の選び方に魅力を感じている。この前提で読んでいるため、ノウハウ習得は二の次。どう「情報」を収集し、「知識」として落とし込み、「思想」を構築しているのか。新聞や本との付き合い方、本の読み方や手放し方、新刊書店・古書店・図書館の使い方、紙書籍と電子書籍の使い分けなど、作家・池澤夏樹の読書論を楽しめる一冊。

  • 毎日新聞を毎日読むことに決めた。やはり新聞は今を知り切り取る情報として欠かせないとの思いから。ネットニュースとの違いを知ろう。


  •  人々が、自分に充分な知識がないことを自覚しないままに判断を下す。そして意見を表明する。そのことについてはよく知らないから、という留保がない。
    はじめに より

    キュウリに似たものを買ってサラダにしようと思ったら食べられない。友だちに聞いて火を通すのだと知った。それがズッキーニとの出会いだった。ギリシャ語では「コロキザキア」といい、アラビア語では「クーサ」と呼ぶ。
    11 語学学習法 より

     マクルーハンが「メディアはメッセージである」と言ったときに人々が気にしていたのは「テレビが出てきて映画はなくなるんじゃないか」ということでした。さらに前の時代で言えば、トーキーが盛んになったことで弁士たちが困り、一方では声があまりにひどいので生き残れなかった映画俳優たちもいた。
    12 デジタル時代のツールとガジェット より


    はじめに、に書かれている文章がすべてな気がします。自分のことを棚上げにして言うと、本を読んでいない人以上に、読めていない人がどこか悪目立ちするように見受けられる気がします。書籍に対して知識の塊、利用できる道具、くらいの感覚で接している。
    頭の良い人はまあそうかもしれません。知識を溜め込んで、出世して、金を稼いで。でもそうじゃないと思うし、それだけじゃないと思う。
    知性とは知識や学力とは別のものだと思うと同時に、その扱い方を間違うと転んで怪我してどうしようもなくなる。自己批判の欠如。

    とは言っても、堅苦しすぎるエッセイではなく、普段のインプットやアウトプットの仕方や本の手放し方など。作家がかしこまってこういうことを書くのは、手の内をばらすようなもので面白かったです。真面目な顔してときどき茶目っ気のあるエピソードもちらほら出てきます。ネット以前の作家とネット以降の作家で大別できなくもないが、著者はその狭間にいるような気もします。全集の編集という偉業を成し遂げる作家の書と知に対する在り方を知ることができました。

  • 「知性とは」と言及するわけではないのです。しかし、その仕事への姿勢であったり、捉え方であったり、著者としてもあまり明かしてこなかったその実際の日常ワークに近い部分から「知性とは」と言うものを示されているところが、やはりタイトルの所以なのだろうと感服しました。

  • 1 新聞の活用
    2 本の探しかた
    3 書店の使いかた
    4 本の読みかた
    5 モノとしての本の扱いかた
    6 本の手放しかた
    7 時間管理法
    8 取材の現場で
    9 非社交的人間のコミュニケーション
    10 アイディアの整理と書く技術
    11 語学学習法
    12 デジタル時代のツールとガジェット

  • 情報をいかに取得するか?
    久々にテレビのある生活をしていて、視聴者がいかに受動的に、そして番組の意図した通りに物事を理解している(と錯覚している)ことをひしひしと感じている。

    新聞は主体的に気になる記事を選択し、関心外のことに触れられるとともに、発行社ごとの見解を比較検討できる媒体なので読む習慣を付けるべきなのかも知れない。

  • 池澤さんは生産性の高い作家だと思っていたので、その仕事術には関心があった。本人は愚直と言うが、よく考えられている。自分には何が必要か。

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著者プロフィール

1945年生まれ。作家・詩人。88年『スティル・ライフ』で芥川賞、93年『マシアス・ギリの失脚』で谷崎潤一郎賞、2010年「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」で毎日出版文化賞、11年朝日賞、ほか多数受賞。他の著書に『カデナ』『砂浜に坐り込んだ船』『キトラ・ボックス』など。

「2020年 『【一括購入特典つき】池澤夏樹=個人編集 日本文学全集【全30巻】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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