松本隆のことばの力 (インターナショナル新書)

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680850

作品紹介・あらすじ

作詞家、松本隆が50年のキャリアを語り尽くす。
「はっぴいえんど」の日本語ロックや松田聖子などに提供した歌詞の背景から日本語という言葉のおもしろさと可能性が浮かび上がる。
細野晴臣、大滝詠一、鈴木茂と組んだ「はっぴいえんど」時代、日本語とロックの関係を築き上げ、その後「職業作詞家」に転身。
その頃の作詞家には脚本家とコピーライター出身者が多く、ミュージシャン出身(著者はドラマー)は珍しい存在だった。
音楽への深い理解とリズム感を生かし、まったく新しい歌詞の世界をつくり上げていく中で発見した「ことばの力」とは。
アグネス・チャン、太田裕美、松田聖子、ジャニーズのアーティストたち……に歌詞を提供、ヒット曲を量産し続け、古事記やシューベルトの「訳」も手がける。
唯一無二の「ことばとの関わり」をアーカイブするとともに、歌詞にこめられた時代、風俗、思い、そして風…も未来に伝える。

(目次より)
第一章 はじめにことばありき
第二章 ことばの力
第三章 詞の作り方
第四章 「冬の旅」への旅
第五章 瑠璃色の地球
昨年亡くなった、盟友である作曲家、筒美京平氏への思いも綴られる。


藤田久美子=編・著

松本隆(まつもと たかし)1949年、東京都港区出身。慶応大学商学部中退。1960年代後半、ドラマーとして細野晴臣らとバンド活動を始め(後の「はっぴいえんど」)、作詞も担当。
バンド解散後、アグネス・チャンの曲の作詞を依頼されたことから職業作詞家として本格的に活動。
松田聖子、太田裕美、近藤真彦、薬師ひろ子らに歌詞を提供。質量ともに稀代のヒットメーカーとなる。現在、兵庫県神戸市在住。

感想・レビュー・書評

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  • ロングインタビューで、松本隆の作詞家としての歩みを振り返る一冊。
    代表作の歌詞が掲載されたうえで、各曲の舞台裏が語られている。印象的なエピソード多数。

    J-POP裏面史として読めるし、表現論としても示唆に富む。

    (つづきます)

  • 松本隆さん自身が書いた著作はおそらく無いのではないか。その代わり、インタービュー形式で御本人の考えが書かれたものはいくつかあり、本書はその一つ。一人称で自分の言葉で語っており、実質的には松本さんの著作といっても差し支えないだろう。

    他の本でも書かれていることも多々有り、重複もあるなか、目を引いたのは風という目に見えないものに対するこだわり。水も似たような存在ではあるが目に見えるという事で、風が好きだという。実際、風という言葉は松本氏の歌詞にもよく登場している。松田聖子の「風立ちぬ」、寺尾聰の「ルビーの指輪」の歌いだし部分、薬師丸ひろ子の「探偵物語」の中での「言葉は風になる」などが有名であろう。目に見えないものは感じるしかない。そして愛という言葉もそれがあてはまる。古今東西の哲学でもそれに対する明確な答えは出せていないと松本氏も指摘している。

    ルビーの指輪では、歌の中で場面が時を三度も変るという。最初は別れ話、次は楽しいときの話、そして最後に二年経った後も未練が残っている話。短い文章の中でこうした展開をするのは珍しいというが、その発想力はやはり非凡というしかない。

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002330895【推薦コメント:私の大好きな作詞家の松本隆先生が言葉について語ってくれています!】

  • 松本隆の歌詞は胸の奥を刺激します。

  • はっぴいえんどで実践した「日本語ロック」や松田聖子など多くのアーティストたちに提供した歌詞の背景から浮かび上がってくるのは、日本語という言葉のおもしろさと可能性。作詞家・松本隆に50年のキャリアのすべてを聞く。

    分かりやすい言葉で書かれているので読みやすい。

  • 松本隆といえば、松田聖子の「赤いスイトピー」など主に1980年代にヒット曲を多数生み出した作詞家として世間に知られている。

    私はそれ以外にも、もともと著者は、はっぴえんどというバンドのドラマーとして音楽業界にデビューしたこと(正確にはさらにその前のエイプリールフールというバンドが先だが…)も知っていた。

    個人的にはむしろはっぴいえんどのドラマーという方が未だに印象が強い。

    しかし、近年でも「古事記」を音楽にしたり、シューベルトの「冬の旅」を日本語訳し、それがクラシック畑のミュージシャンによりCD化されたりと、あらたな境地に挑戦していることを本書で知った。

    そして、その礎となったのが、多忙な1980年代を終え、90年代に入ったときに吐き出した分を取り戻すためにインプットが必要と思い、脈々と受け継がれている確かなものを知ろうとして古典(歌舞伎、能、オペラ、バレエなど)を学んだことである。

    そしてそれは、作詞家としてというよりも、人として不足している部分を補うためだったといっている。

    この辺に松本隆のすごさが凝縮されていると感じる。

    また、本書中には、何曲もの彼の作った歌詞がそのまま掲載されている。
    それを見ただけでメロディーが思い浮かぶものもあれば、全くピンと来ない歌もあるが、やはり名曲といわれる歌は、歌詞だけでも、そのすごみを感じられる。

    「ルビーの指環」(寺尾聰)、「君は天然色」(大滝詠一)、「風立ちぬ」(松田聖子)、「十二月の雨の日」(はっぴいえんど)などがそれである。

    また、「ルビーの指環」では、その主人公の男は2年前に別れた女を街で探す、そんな未練がましい男だが、その男から男らしさを描こうとする松本隆的ダンディズムともいうべき逆説が面白い。

    作曲家筒美京平との師弟関係や幼少期の家族のこと、はっぴいえんどなど音楽家としての駆け出しの頃のエピソードなど、松本隆の半生を彼の作った歌詞とともに振り返ることのできる良書である。

    最後に、松本隆の作詞に対する気持ちが素直に表現されたこの言葉はとても印象に残った。

    「詞は胸を開けて心の中味を見せるようなものだから、詩を書くのはとてもはずかしい気持ちがずっとあった。だからと言って、自分を全部見せるわけではない。100パーセントの想像では歌詞にならないのだが、98パーセントの嘘に2パーセントのほんとがふりかけてあるくらいがちょうどいい」

  • <目次>
    第1章  はじめにことばありき
    第2章  ことばの力
    第3章  詞の作り方
    第4章  『冬の旅』への旅
    第5章  瑠璃色の地球

    <内容>
    作詞家、松本隆がその活動の半生を語ったもの(インタビューを起こして再編集したもの)。ところどころに作詞した作品が載り、それを読むだけで懐かしさがこみ上げる。感覚的な方だったと思うが、本を読んでいたことや洋学や映画への造詣の深さが、そうさせているのだろう。”はっぴーえんど”でドラムをやっていたのもよかったのだという。筒美京平さんへの思慕も強い。

  • 作詞家50周年、多くの歌に独自の言葉を紡いできた松本隆の創作の原点を振り返るインタビューを構成。熱心なファンとしては既知のものも多いが、いくつかの作詞作品とともに読むとより奥深く松本作品を感じることができる。

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著者プロフィール

グラフィックデザイナーとして働いたのち、キルト作家になる。
「藤田久美子キルターズスタジオ」を主宰。
パッチワークを中心に、オリジナルデザインを学べる教室を開講している。
雑誌の連載、著書多数。

「2019年 『日本のカタチ パッチワークパターン750』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤田久美子の作品

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