おいしい味の表現術 (インターナショナル新書)

制作 : 瀬戸 賢一 
  • 集英社インターナショナル
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本棚登録 : 135
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797680959

作品紹介・あらすじ

SNS、食レポ、お店の宣伝で、味の表現に困らなくなる1冊!
食をうまく伝えたいすべての人に。
コク・キレ・のどごしの意味は? 生チョコの「生」って何? など味にまつわることばを言語のプロが徹底分析。またカレーやラーメン、お菓子の味のおいしさを、比喩やオノマトペを利用して効果的に伝える方法をわかりやすく解説。
解き明かされるレトリックの数々に驚かされ、日本語の奥深さを堪能できます。引用した東海林さだおさん、阿川佐和子さんなどの名文や、『美味しんぼ』『神の雫』『孤独のグルメ』などグルメ漫画のセリフも味わい深く、図や表も多用しています。
食にまつわる楽しいコラムも箸休め的に掲載。

【目次より抜粋】
序章 ことばから味へ・味からことばへ(瀬戸賢一)
五感で表現する/味ことば対〝シズルワード〟

第一章 コク・キレ・のどごし(宮畑一範)
コクの有無/キレの多義/のどごしは滑・軽・快
第二章 「生」の味と魅力(瀬戸賢一)
生バウムクーヘンって何だ?/もちもちととろとろ、そして「〜たて」
第三章 味の「宝石箱」のヒミツ(辻本智子)
食べ物は宝石/「箱」の魔力/留まる味
第四章 女の「うまい」・男の「おいしい」――男性しか「うまい」と言わないのか?(稲永知世)
「うまい」と「おいしい」の割り当て率/結局「うまい」は男性専用?
第五章 マンガな味――ジャンルに根ざした味覚の表現(山口治彦)
説明せりふ/心象風景描写
第六章 カレーなるおいしさの表現(小田希望)
ルーの見た目/カレーなる味の図解
第七章 ラーメンの味ことば(山添秀剛)
神の舌を持つ男/ラーメンの味は生き物
第八章 お菓子のオノマトペ(武藤彩加)
オノマトペの重要性/クックパッドのオノマトペ

コラム
肉の煙/魚の時間 他(小森道彦) 下町の洋食屋さん/ロンドンの中華 他(安井泉)

編者:瀬戸賢一(せと けんいち)
1951年京都府生まれ。大阪市立大学文学研究科後期博士課程単位取得。博士(文学)。大阪市立大学名誉教授。専門はレトリック・言語学。主な著書に『日本語のレトリック』(岩波ジュニア新書)、『書くための文章読本』(集英社インターナショナル)など。編著書に『ことばは味を超える』、『味ことばの世界』(共に海鳴社)など。

著者:味ことば研究ラボラトリー
味にまつわる言葉を研究し、情報交換をしている言語研究者集団。メンバーは、瀬戸賢一、宮畑一範、辻本智子、稲永知世、山口治彦、山添秀剛、小田希望、武藤彩加、小森道彦、安井泉。(本書の章立て順)

感想・レビュー・書評

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  • 食を通して言葉を再考 [評]カルロス矢吹(ライター)
    <書評>おいしい味の表現術:北海道新聞 どうしん電子版
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/673679?rct=s_books

    おいしい味の表現術 | 集英社インターナショナル 公式サイト
    https://bit.ly/38ClTlZ

    おいしい味の表現術/瀬戸 賢一/味ことば研究ラボラトリー | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-7976-8095-9

  • おいしい味の表現術、最近の芸能人の食レポは「伝わらない」。 誰もが「うまい」「おいしい」だけで終わるからかも知れない。やはりこの書にある言葉の表現力は今後のネット社会で一層必要とされると感じた。それは、「本物の味」を如何に伝え、その味の商品を「食べたい」、如何に購入してもらえるか、お店に来てもらうかを問われるからだ。特に「シズルワード」と「オノマトペ」は最大限の表現言葉につながっていくと思う。

  • 表現の言語化として勉強になる。

  • 自分の表現力の無さを痛感した。

  • 飲食店と同様、食のライターの世界もなかなか競争が激しい、とライターの友人に聞いたことがある。とっつきやすい分野だし、やりたい人も多いのだろう。

    本書は「コク・キレ・のどごし」といった言葉の正体にせまったり、グルメ漫画、カレーやラーメンといったメジャーどころの用例…、さまざまなアプローチでプロの味の表現術を解説していく(最近よく使われている「生」という言葉の解説は腑に落ちた)。

    SNSも食レポもやる予定はないのだが、適切な表現を探す行為はおいしいの理由を探すことにつながるなーと感じた次第。

    もっとも、見た目、味、素材、製法…あれこれ考えすぎると、おいしい味も落ちそうだ。やはり食べる専門でいるのが気楽でよいのかも。

  • 面白くないわけではないが、個人的な狙いとは違った。味を表す言葉、コク・キレ・のどごし、生、うまいとおいしいの違いなどを個別に扱った小論集。

  • <目次>
     序章   ことばから味へ・味からことばへ
    第1部  ことばの味~ことばから味へ
     第1章  コク・キレ・のどごし
     第2章  「生」の味と魅力
     第3章  味の「宝石箱」のヒミツ
     第4章  女の「うまい」・男の「おいしい」~男性しか「うまい」を言わないのか?
    第2部  味のことば~味からことばへ
     第5章  マンガな味~ジャンルに根ざした味覚の表現
     第6章  カレーなるおいしさの表現
     第7章  ラーメンな味ことば
     第8章  お菓子のオノマトペ

    <内容>
    大阪市立大からの「味」の表現を追求した教授たちのラボラトリー。わかるような、ちょっと理屈っぽいような…。

  • 源河亨「「美味しい」とは何か」(中公新書)がおもしろくって、その参考文献にあげられてたので興味をもってたぐってみた。十人の著者が、コク・キレ・のどごし、「生」(生)、味の「宝石箱」、「うまい、おいしい」、マンガな味、カレー、ラーメン、お菓子といったジャンルや味の表現をキーに解析を試みる。目次見ただけでもワクワクしてくる感。まっさきに飛びついたのは、”味の「宝石箱」のヒミツ”。彦摩呂の「海の宝石箱や〜」だけで一節まるまる分析にあてられるとは!宝石という言葉の豊かなバックグランド、ネットワークがイメージを喚起したが、宝石だけじゃだめだった、宝石「箱」としたことで、「宝石がひとつではなく、いくつもが箱の中で輝いている。ひと粒でもすばらしい宝石が、目の前にいくつもあるという幸せ」(p.106)が感じられて、インパクトが増し、あとあとまで残るヒットした表現になったのだ、と。他にも、「「コク・キレ・のどごし」のコクとは、油脂成分が主体で甘味と熟成味に支えられた口中で立体化して、濃さを増しそのまま長くとどまる経時変化である。キレとは一言でいえば、味がすっとなくなる変化。感じている味がさっと消えるか、酸味(や塩味)あるいは(適度な)香辛料の刺激がほかの味のなかを一瞬でかけぬける。これがキレの正体だ。のどごしは、軽快にのどを通りすぎる滑らかな心地よさ」(pp67-68)と描いてみたり、マンガのセリフの分析で、男の「うまい」、女の「おいしい」が、くだけてない場合は男性も「おいしい」系の表現を、「うまい」も男性専用とはいいがたくなっていく、といった傾向が読み取れておもしろかったり。マンガも小説もエッセイも宣伝のキャチコピーも縦横に引用して比較して分析する様は鮮やかで目を奪われた。そういった解析を別にしても、味を表現する千変万化を目にあてるだけでも十分に楽しめる一冊でした。

  • 普段何気なく使っている味ことば、あまり意識していないケースが多いが、その味ことばを分解し、様々な角度から味の表現方法を分析している。五感の働きを駆使した味の表現も多く、味ことばを意識することで五感が研ぎすまされ、よりおいしさを感じられるようになるかもしれない。

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