ライフサイクルイノベーション: 成熟市場+コモディティ化に効く14のイノベーション

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798111216

作品紹介・あらすじ

イノベーションを、どこに、いつ、どのように適用すれば生存競争に勝ち抜けるのか。14タイプのイノベーションで長期的な差別化を達成した100社以上の事例で指し示す。

感想・レビュー・書評

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  • オーディオブックで読了。

    所謂我々システム屋の世界でいう「スクラッチ開発(コンプレックスモデル)」「パッケージビジネス(ボリュームオペレーション)」という大きな軸の間で、市場の成熟度や自社のアセット・スタンスごとにどういった戦略を採るべきかが描かれている。

    10年以上前の本であるが、全く色褪せない。今でも十分に通用するし、Ciscoがこの時代から大きく飛躍した事は本書の内容の確からしさを強く証明している。

    以下、市場成熟度毎の採るべきイノベーション戦略。(他の本だとマーケティングや戦略論に属すような話も全部イノベーション戦略という扱い)

    ■製品リーダーシップ・ゾーン(成長期)
    ・破壊的イノベーション:今までになかったテクノロジーやビジネスモデルにより新しい市場カテゴリを創造
    ・アプリケーション・イノベーション:既存テクノロジーの応用分野を新たに発見することで新規市場を創造
    ・製品イノベーション:既存市場・既存製品に対して、前例がない機能の追加をすることで差別化
    ・プラットフォーム・イノベーション:下位にある既存テクノロジーの複雑性を隠すための単純化

    ■顧客インティマシー・ゾーン(成熟期)
    ・製品ライン拡張イノベーション:既存の製品に構造的な変更を加え、独立したサブカテゴリー創造
    ・機能強化イノベーション:製品ライン拡張イノベーションの方向性をさらに進めていき、より細かい変更を基盤からより離れた部分で行う
    ・マーケティング・イノベーション:購買プロセスでの潜在的顧客とのやりとりにおける差別化にフォーカス
    ・顧客エクスペリエンス・イノベーション:機能的な差別化ではなく、製品が提供するエクスペリエンスで価値提案

    ■オペレーション・エクセレンス・ゾーン(成熟期)
    ・バリュー・エンジニアリング・イノベーション:既に確立した製品の外部的な属性を変えることなく、原料や製造プロセスのコストを削減
    ・インテグレーション・イノベーション:多様な構成要素をひとつの集中管理型のシステムに統合することで、顧客の維持管理コストを削減
    ・プロセス・イノベーション:製品を作り出すプロセスから無駄を排除することで利益率を向上
    ・バリュー・マイグレーション・イノベーション:コモディティ化しつつある構成要素から離れて、より利益率が高い領域にビジネスモデルをシフト
    ■再生ゾーン(衰退期)
    ・自立再生イノベーション:自社内の資源を使って、成長する新規市場カテゴリーに自社の方向性を変更する
    ・企業買収再生イノベーション:カテゴリー再生の問題を外部企業の合併や買収により解決する
    ・収穫・撤退

  • 著書『キャズム (Crossing The Chasm)』を通してキャズムという言葉を流通させたジェフリー・ムーアさんの最近作を発見したので読んでみました。

    一読した印象は、単にハイテク産業の色々なタイプのイノベーションを整理してカテゴライズしてみただけ、というものです。『キャズム』や『企業価値の断絶』で見られたロジックとしての鋭さのようなものはあまり感じられませんでした。
    それでも、ムーアさんの整理を見るのは、有益だとは思います。忘れてさってしまう前にちょっと書いておくと、製品のカテゴリー成熟ライフサイクルにおける、

    - 製品リーダシップゾーン (成長期)
    - 顧客インティマシーゾーン (成熟期)
    - オペレーションエクセレンスゾーン (成熟期)
    - カテゴリー再生ゾーン (衰退期)

    の中で、合計14のタイプのイノベーションを整理し(上3つにはそれぞれ4つ、最後のカテゴリー再生ゾーンには2つのイノベーションがある)、その中から製品や企業体に応じた適切なイノベーション戦略を管理することが重要という指摘です。ま、あらためてイノベーションにも色々あるんだよ、ということですね (オペレーションエクセレンスゾーンでは、業務効率化なども含まれます)。
    ちなみに、自分の仕事の分野のVoIPは、成長期の中でもすでにキャズムを越えており、製品リーダシップゾーンおける製品イノベーションがあと一段必要という説明でした。
    この他、それほど物珍しいというものではないですが、コアとコンテキストの分析と対処や、ボリューム・オペレーションとコンプレックス・システムの違いについてもあらためて再確認というところでした。

    前の著書でもそういった印象でしたが、本書の最後でもほとんど躊躇なく解雇を戦略として肯定し、組合や終身雇用に一貫して否定的なところは、合理的にはそうなのかもしれないけど...という感じです。お抱えかと思わせるくらいシスコを絶賛ですしね。

    ちなみに原書のタイトルは、"Dealing with Darwin: how great companies innovate at every phase of their evolution"です。副題まで含めると長いですが、こちらの方が本の内容を正確に伝えています。最後の「ようこそ、生存競争の世界へ。」という文にもつながりますし。

    少しおまけで星4つ

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB00088843

    (推薦者:経済経営学類 尹 卿烈先生)

  • JEAセミナー GMO 村松氏推奨

  • Vol.79
    生き残りのための大前提?適者生存のイノベーション戦略。
    http://www.shirayu.com/letter/2010/000153.html

  • 第1部 基本的モデル(イノベーションの効果
    イノベーションと市場カテゴリーの成熟度
    イノベーションとビジネス・アーキテクチャ)
    第2部 イノベーションを管理する(イノベーションのタイプ
    成長市場におけるイノベーションの管理
    成熟市場におけるイノベーションの管理 ほか)
    第3部 慣性力を管理する(コンテキストから資源を抜き出す
    コアに向けた資源の再配分
    企業内の慣性力管理のプロセス)

  • 製品リーダーシップイノベーションは、コモディティ化して成熟した市場だとあまり意味ない。顧客インディマシーイノベーションなどが良い

  • タイトルにあるとおり、成熟市場やコモディティ化された商品やサービスを提供する企業がどのようにイノベーションを継続させるための具体的に指針を示している。
    私自身は、ゼロからいかにして新しい事業を作り出し、イノベーションを起こしていくことに関心があるのだが、このライフサイクルイノベーションを読むことでたくさんのヒントを得ることができた。

  • コアとコンテキスト。

  • 大学院の授業「マーケティングⅡ」で話題になったので読んでみました。
    ライフサイクルの各フェーズでどのようなイノベーションが求められるのか、また、そこにリソースを集中するためにどうすればよいのか、という本です。

    「買うほどではない」と言われていた通り、例えば、成熟フェーズではプロセスや、支援機能のイノベーションといった、言っちゃえば当たり前のことが書いてあり、正直、結構退屈。

    ただ、訳者あとがきを読んで納得したのが、突飛なものはないが、成熟市場、更には衰退市場にまで話が及び、網羅的かつ体系的に書かれているところに価値がある。

    これを読んでもあまり具体的なイメージは湧かないが、自身の事業のフェーズがどこで、どのようなイノベーションの可能性があるのか漏れなく考えられる。

  • まあキャズムほどではないけれど、ツール群としては役に立つかと。まあでも、愛かな。

  •  ハイテク分野のコンサルタンティングを専門とするジェフリー・ムーア氏の著作。「キャズム」ではテクノロジー導入期のIT系企業にフォーカスされていたが、本作「ライフサイクル・イノベーション」では成熟期~衰退期を含めた製品ライフサイクル全体を俯瞰しており、IT系企業以外の事例も豊富である。
     副題には「成熟市場+コモデティ化に効く14のイノベーション」とあり第2部でこれらのイノベーションが詳細に解説されているが、日本企業にとってより重要なのは第3部に解説されている「資源の再配分」ではないだろうか。「コア・コンピタンス」という用語は一般的に使用されているが、「コア」の定義はあいまいなことが多い。多くの企業では現在の収益をもたらしている技術や市場を「コア」と呼ぶ場合が多いが、本書では将来にわたって長期的に優位性をもたらすものと定義している。成熟期に入った主要な事業から将来の成長基盤に資源を再配分する手順を明示した本書はイノベーションの不足に悩む多くの企業に示唆を与えるだろう。

  • *****
    要点は2つ。
    (1)製品ライフサイクルによって注力すべきイノベーションのタイプは異なり、企業は適切にリソースのシフトを進めなければならない
    (2)ビジネスモデルが「コンプレックス型」と「ボリューム型」のどっちかでイノベーションのやり方が異なる
    *****

  • コモディティ化した成熟市場にて、14種のイノベーションを効果的に用い、どう生き抜き、ビジネスを永続的に続けていくかを示す。
    ビジネスというゲームのルールを知る上でも良書。
    経営者には必須の知識だが、一般社員も自身の会社と照らし合わせて読むと、理解が深まりおすすめ。
    この知識は、何度も熟読して、習得したい。

  • プラットフォームリーダーシップからのリファレンス。破壊的イノベーションを経た会社と以降のマーケット形成について、多数のケースが取り上げられている。

    スイス・アーミー・ナイフは有名ですが、作っているのはどちらかというと鞄で知っているビクトリノックス社の例だとか、印刷媒体からライセンスビジネスへ切り替え、映画業界に進出して行くマーベルコミックスの例だとか、業種を選ばず採られた素朴で実直な、企業の転換する姿の数々は圧巻。

    ボブディランの歌詞「立ち止まるものばかりが滅びていく」を引用し、生き延びようとする姿そのものを研鑽する本書(原題 Dealing with Darwin)そのものこそ革新的だと感じられた。

  • 【概要】
    イノベーションは製品、サービスにおけるライフサイクルの全ての場面で有効である。

    第一部:イノベーションとは何か,ライフサイクルとは何かなど基礎的な部分と2つの企業の型,ビジネスアーキテクチャ,の説明

    第二部:自分の製品、サービスがどのライフサイクルに位置し、ジャンル分けされたイノベーションのどれを選択すればいいかをまとめている。

    第三部:コアな自社の製品、サービスにフォーカスする手段を
    コア、コンテキストに識別するステップと人材の再分配というステップの2ステップでまとめている。

    【感想】
    詳細は把握できなかったが、アウトラインは把握しやすく、一気に読めた。就活前に読んでおけば企業分析の参考になったかもしれない。
    今後も継続的に読み、自分なりに企業分析を実践し、理解を深めていきたい。

  • ライフサイクルの各段階でどのようなイノベーションの方策を取るべきか。
    最初の破壊的な状況ばかりでなく、衰退期の次の対策のやり方までカバーしているし、コンプレックス・システム型とボリューム・オペレーション型の2種類の、どちらなのかを認識しないと失敗してしまう可能性すらある。
    見極めが肝心。

  • 自分の会社はイノベーションを生み出せているのか。そもそもイノベーションとはどういうものか。イノベーションの成功事例とはどんなものか。

    そういったことを知るためにいい本ではないかと思い、読み進めています。併読書は「企業参謀(大前研一著)」。

  • キャズムに続くジェフリー・ムーアの著書。
    イノベーションのプロセスと製品ライフサイクルを上手く組み合わせて論じており、わかりやすい。
    エッセンスは非常に短くまとめられており、様々な角度から持論を展開しているため、読了にそれほど時間がかからないと思われる。

  • ライフサイクルのイノベーション分類定義と多種企業の事例とあわせて、シスコシステムズの企業分析は深い洞察で興味深い。パートナー企業は必読かと思う。

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著者プロフィール

破壊的テクノロジーがビジネスと組織運営に与える影響と企業がとるべき戦略をテーマに、著述と講演を続け、スタートアップと大企業の双方に助言をしている。複数のベンチャーキャピタルを支援するとともに、コンサルティングやトレーニングを手がけるキャズムインスティチュート、キャズムグループ、TCGアドバイザーズの名誉会長を務める

「2017年 『ゾーンマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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