教育×破壊的イノベーション: 教育現場を抜本的に改革する

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784798117737

作品紹介・あらすじ

学校教育をめぐるさまざまな問題、満たされないニーズ、局所的に起こっているイノベーション、それらをすべて「破壊的イノベーション理論」で見事に体系づけ、説得力のある説明を与える。

感想・レビュー・書評

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  • 教育業界を変えたいと思っている人は必読の本。
    2008年に書かれたとは思えないほど内容は色あせず、今も参考に示唆が多く含まれた、まさに名著だ。
    クリステンセンは著書「イノベーションのジレンマ」において、業界をリードするような優良企業が行う合理的で正しい経営判断が、破壊的技術が作り出す新しい成長市場への参入機会を失わせるという理論(イノベーションのジレンマ)を説いた。

    なぜ優良とされている企業・サービスが、新規参入者にとって変わられてしまうのか。またそれを未然に防げなかったのかを、極めて説得力の高い形で説明している。

    本書、教育×破壊的イノベーション 教育現場を抜本的に変革するは、それを教育業界に当てはめた作品だ。


    教育の手法改良として、「全ての生徒に対して一つの教授方式を用いる」ことを前提にした「持続的イノベーション」と、「一人ひとりの生徒が異なる学び方をする」ことを前提にする「破壊的イノベーション」がある。

    後者(教育の個別化)を前提とした製品・サービスとしてコンピュータを利用した教育方式があり、最初のうちは、既存の教育ニーズを満たすことができない。

    コンピュータを利用した教育方式が、その力を発揮するためには、それを「一人ひとり異なる進度と異なるプロセスで学ぶ」という「無消費」への対応として、まず活用する必要がある



    上記は解説で本書のメッセージを要約しているものだ。

    Edtechが語られる際に、必ずと言っていいほどあがる「教育の個別化」。

    それはなぜ既存の教育関連の組織ではおこりづらいのか。

    コンピュータ(テクノロジー)を武器にした新規参入者がどこから手をつけるべきかを書いている。

    またクリステンセンは、本書の中で2015年にはコンピュータを通じた教育が大きなシェアを持つようになると明確に断言している。

    新たなサービスで教育を変えたい、変革を起こしたいと考えている人。

    そんなに大それていなくても、少しでも教育をよくしていきたいという方にはぜひ読んでほしい本だ

    http://edtech-media.com/2013/03/11/%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E9%9D%A9%E6%96%B0%E3%81%AB%E8%88%88%E5%91%B3%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E4%BA%BA%E3%81%AF%E5%BF%85%E8%A6%8B%EF%BC%81%E6%95%99%E8%82%B2x%E7%A0%B4%E5%A3%8A%E7%9A%84/

  • ▼イノベーションが起こる時
    ・「無消費」層を対象にサービスを展開する

    ▼3つのビジネスモデル
    1,ソリューションショップ
    ・知的訓練を積んだ経験豊かな専門家を雇い、問題の診断、解決策の提案を行う。
    ・コルサル、広告代理店など
    ・教育なら特殊教育

    2,バリューチェーン
    ・製造、小売、食品サービス
    ・プロセスの一方から資源が投入され、価値が付加され、製品になり顧客に提供される
    ・価値をもたらす能力のほとんどが標準プロセスに埋め込まれている(人に依存しない)

  • 領域をまたいで、知識や考え方を関連付ける、応用する、そのお手本となる内容でした。

  • 著者が以前著した「イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」での”破壊的イノベーション理論”という言葉が、本書でも登場する。
    従来の製品がアップデートされるのとは別に、無消費層などを狙った新たな製品が既存市場を破壊するという理論が、教育業界にも適用できるという。
    1990年代後半にアメリカではビル・クリントン大統領(当時)によって学校にコンピュータを導入し、教育改革を行ったが、その効果は微妙だった。
    その原因を著者は、既存の教育方法に無理やりコンピュータをはめ込めようとしたからだと述べる。昔は百科事典で調べてレポート提出させていたのを、今ではコンピュータで調べてレポート提出させる、といったように、従来の学習(ここでいうところのレポート提出)において、コンピュータを利用しているに過ぎないというのである。

    本書では、破壊的イノベーションの原理が教育にも適応できるという。すべての生徒一律に同じ教育手法を用いる持続的イノベーションと、一人ひとりに合った個別の手法を用いる破壊的イノベーション。後者には、PCを用いた方式があるものの、なかなか政府や教員の多くは現状理解を示さず、一部にしか取り入れていない。だがPCを利用した手法にはまだまだ可能性が秘められており、まずは個別指導について”無消費層”といミニマムな対象からスタートすることが必要とのこと。そして始めるにあたっては既存の教育システムといきなり交換するのではなく、分離して導入すべき、だそうだ。

    現在コロナ禍にあってオンライン教育の普及が加速している。今まで積極的に取り組まなかった手法が進んでいる現状を筆者はどう感じているのだろうか。
    ”破壊的イノベーション”の原理を商品開発以外のフィールドでも活用できることを証明した名著。

  • 積ん読解消プロジェクト

    教育を改革する上で重要かつ今までにない視点の提示。
    コンピュータベースの教育がどのように行われるべきか。

    一定納得な面もあるんだけど、スッキリはしない。

    一斉教授型の授業体系が限界を迎えていて、個別支援型の教育を進めていくことが重要であることは疑いないこと。その際に、コンピュータが有効なツールであることも間違いはない。ただし、それはあくまで有効なツールの一つであるということ。コンピュータの有効活用無くして教育の改革なしというのは極論だろう。

    コンピュータをどのように学校教育に浸透させていくかを説くのに、産業における破壊的イノベーションを持ち出すことも、一定の説得力はもちつつ、絶対の理論でもない。

    日本ではとかアメリカだからとか言うのは避けたいけど、そういう側面も踏まえて見るといいかも。

  • ”クリステンセン氏の「破壊的イノベーション」を教育に用い、「無消費」に対応する。

    ・人によって学び方は違う → ★コンピュータを用いた学習の個別化、モジュール化を進めるべし”

  • 'イノベーションのジレンマ'の著者が、教育改革のアプローチにつき論説している。製造業における、既存企業の持続的イノベーションと、新興企業の破壊的イノベーションの例を参照しながら、教育の現場でも、なぜ、学習意欲の停滞や落ちこぼれ問題への対策が進まないか、を分析している。破壊的イノベーションは、それまで需要がなかった'無消費'の市場から始まるが、技術の進歩に伴い、持続的イノベーションが主流の市場を侵食していく。一枚岩的な全体教育から、生徒中心の個別教育の実現に向けて、製造業での同じアプローチが有効になるだろう、と主張している。組織と管理への深い洞察、大胆な取組みが示唆されている。

  • カスタマイズと標準化の狭間で揺れている項目があります。明細書作成です。

    一件一件こまめに相手にしてると時間がいくらあっても足りないですし、標準明細書を作ると、ここの案件に応じた明細書作成がやりずらくなります。

    現状出した答えは、標準化できる部分は徹底的に時間を省く、個々の案件対応になる部分は徹底的に時間をかける、です。時間を省くところは、化学系なら図面、構造システム系なら材料に関する記載、時間をかけるところは、課題とクレーム、と言ったところでしょうか。

    たぶん最適値はないと思います。カスタマイズと標準化の間を行ったり来たりしながら、いつか自分が納得のいくところに落ち着くのだと思います。

  • 請求記号 370.4/C 58

  • イノベーションのジレンマが非常に良かったし、今回は教育がテーマということで期待したのだが、期待が大きかっただけに・・・
    しかし、それなりに示唆を受けるところはあった。
    日本と米国の教育環境の差というのもあるからかも知れない。

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