- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798623429
作品紹介・あらすじ
本年休刊となってしまった「アサヒカメラ」誌上で銀塩カメラを主題に約20年連載されたコラムを集約した1冊。
著者である赤城耕一氏は、カメラ業界のご意見番であり、同連載は、フィルムカメラのおもしろさや魅力、クラシックレンズの評価、楽しみ方をとことん追求したもので、カメラ本体の写真とそのカメラを使用した
作例写真が豊富に展開します。
今回が最後の総集編となるので一部は加筆修正を施し、更に書き下ろし数編を新たに収録します。
著者プロフィール
赤城耕一(あかぎ・こういち)……1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。
エディトリアル、コマーシャルなどの分野で活動する写真家。カメラメカニズムについての論考から撮影ハウツー、写真史、作品集の書評まで手掛け、使用カメラは戦前のライカから最新のデジタルカメラまでと幅広い。?
感想・レビュー・書評
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読むと中古カメラをネットで探し出す危険な本
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2020/12/6読了。
引っ越しのときに乾燥剤と一緒に箱に入れて梱包したままになっている古カメラのコレクションを、久しぶりに取り出してみようかという気分になった。
だが、再び彼らを使い倒すという趣味に気持ち良く没頭することができるだろうか。ここしばらくの間に、フィルムの入手と現像はますます困難な状況になってしまった。何より手痛いのは、クラシックカメラの修理やオーバーホールを請け負ってくれるところが減ったであろうということだ。僕がお世話になっていた職人さんのウェブページはいつの間にかなくなっているし、近所に持ち込み窓口があった修理会社も、異業種の会社に吸収合併されてどこかへ移転してしまった。
本書の巻末の書き下ろしの章には、連載媒体であったカメラ雑誌の休刊について書かれていた。いまやフィルムカメラやクラシックカメラを趣味として楽しむことは、ひとつの文化を支えていた産業が滅びゆく様子を目の当たりにする切なさに耐えるのと、ほぼ等価の行為なのだ。
というようなこの感想文を、僕はいま背中にレンズが3つも付いていて、夜でも綺麗な写真が撮れて、撮ったそばから誰にでも見せることができて、しかしカメラではない機械で書いている。僕の趣味を支える産業を滅ぼす側に、僕自身も属しているわけで、そのことは忘れないようにしようと思う。