- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799108710
作品紹介・あらすじ
アヘンは人類最古の文明といわれるメソポタミア文明の時代から薬として使われていた。天然痘の予防接種を西欧に紹介した最初の人物はジェンナーではなく、マリーという女性だった。薬の歴史を紐解きながら、医療制度の変遷や現代の巨大製薬企業と創薬の仕組みまでを網羅した、薬にまつわる10の物語。
感想・レビュー・書評
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病院に行って、診察を受けたとき、特に何もするわけでもなく、聴診器を当てて、「はい、○○さんお薬出しておきますからね。お大事に。」
のような、治療(=薬をだすだけ)が多くなってきていないでしょうか。
SFのような時代になってきました。
もう糖尿病も薬だけで治る時代になるでしょう。
この本で、改めて感じたことをメモしておきます。
1.今までの薬は低分子薬。これからはまったくちがう高分子薬の時代がくる。
たとえばアスピリン、なんて超小さい分子構造。化学合成して作るもの、というのはそのようなものだった。これからはモノクローナル抗体(大きい)が癌などの特効薬として普通に処方される時代になってくる。特許が切れる2024年以降に本格化の兆し。
2.36%の人に効果がありました ← 疑ってかかろう!
宣伝は製薬会社が作ったもの(=彼らの言い分)。嘘ではないかもしれないけれど、故意に誤解させるような数字のトリックがあるかもしれない。
この本には、100人中3人に発生した心臓発作(偽薬グループ)に対し、2人の発作(当該薬品投与グループ)と改善され、3人→2人になったのだから1/3に改善効果があった、という事例が載せられています。
彼らの言い分は、36%の効果があるのだから、100人の人は一生涯薬を飲み続けることが望ましい、です。TV等で宣伝され、さらに数年すると飲み始めるべき基準値が切り下げられることでしょう。
3. 薬を飲むことで安心していませんか?
「俺さ、痛風の薬飲んでるからさ、ビール大丈夫なんだよね。」
「コレステロールの薬飲むようにしたんだ。だからステーキに厚くバター塗っても大丈夫。」
後者は米国人のようですが、薬を処方した結果、処方しなかったグループに比べて肥満度がアップした、と書かれていました。アメリカ映画を見る限り、さもありなん、と思いました。
薬を飲んで慢心するのではなく、その薬を飲む意味、意義、効果(費用、期間、効果、副作用、気持ちの持ち方)をトータルで考えて飲むことを決めないと。
製薬会社の言いなりになっている(この本を読んで、TV番組も製薬会社への忖度が相当入っているな~、と思いました)ところがないか、よく考えましょう。
飲むことで、結局お金かけて逆に体を悪くしてしまっていることも多そう。喜んでいるのは製薬会社だけ。
最後に。
この本に限ったことではありませんが、"X線回析" こんなことばはありません。
(とても気になったので書きました)
X線解析とは、X線の回折(かいせつ)現象を利用して、それを計測し、集計・分析して解析(かいせき)することをいいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
借りたもの。
取り上げられた10(以上)の薬から見えてくるのは、人類の病気――感染症と精神疾患――と、副作用、依存症との戦いの歴史だった。
理系な学術書というよりは、読み物として面白い歴史書のような内容。薬の化学構造などの言及はない。
そして薬の開発とともにアメリカの製薬会社と市場――ビッグファームと呼ばれる巨額の金と利権が蠢く怪物――がどのように生まれたかを言及する。
阿片についてはじまる薬の開発の話には、「何が人に多幸感をもたらすのか」という探求心よりも「多幸感をもたらす効能はそのままに依存症を少なくする」という”いいとこ取り”をしようとして成分を単離させた結果、もっと依存性が強いものが出来てしまったという皮肉であった。
著者は「あらゆる薬には副作用がある」と語り、欧米の歴史のなかで当初良い面だけをアピールしていた薬に多くの企業、医師が推奨するも、使用者が増えて依存症が明るみになって問題が発生してから(法律などで)規制する、イタチごっこの歴史であることを紐解いてゆく。
それ故に未然に防ぐための監視機関もつくられるのだが、その抑止力が正しく機能しているかなどは言及されていない。(判断しようがない)
新たな製薬の開発も、感染症などの病気の疾患に対する特効薬は、それを服用する人間の受容体の問題などでいずれ限界がくる可能性を指摘。
そうなると次に目をつけるのは“人生をより豊かにするための薬”になると語る。
避妊薬であったり、病気の予防(認知症、脂肪の蓄積を抑えるなど)、そして向精神薬……
製薬会社は次の金脈を常に探している。
この本のもう一つの面が医学の歴史書でもある。感染症との闘いもさることながら、薬の開発はお金がかかっても元が取れない場合があったこと、天然痘撲滅の歴史の中で臨床試験の先駆となった事例を発案しながら忘れ去られた女性の存在など。
読み物としてよみやすく、面白い。
読んでいるときに目に留まった、気になるコラム
『シロシビンでメンタルヘルス治療!? 幻覚療法の最前線。』
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/article/2020-03-01-psychedelic-medicine-cnihub (2020/3/5 確認) -
アヘンやヘロインと言った薬物の歴史から天然痘のワクチン、モノクロナール抗体の発見から発展等々、薬にまつわる様々な物語が書かれていました。
天然痘ワクチンはジェンナーが始めたと思っていましたがそれ以前にトルコで行われていた方法を英国で広めようとした女性がいた話、製薬企業は利益を継続させるために治すのではなく飲ませ続ける方向でいること等、色々と勉強になりました。 -
治したら儲からない
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・アヘンやモルヒネなど聞いたことのあるクスリの歴史と背景がよくわかる。
・薬がたくさんの研究者によって完成させられるものであり、知の集大成であることがわかる。
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↓こちらのURLをクリックすると富山大学蔵書検索画面に飛び、所在を確認できます。
https://opac.lib.u-toyama.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29617116 -
とてもおもしろかったですが、翻訳がちょっと。
知らないことが多く、勉強になりました。ドラマチックです。 -
薬学と無縁な為か読みにくかったけど薬との向き合い方が変わった。読んでよかった。