PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System下 (マッグガーデンノベルス)

  • マッグガーデン
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800009173

作品紹介・あらすじ

「PSYCHO-PASS Sinners of the System」のノベライズ、上下巻で発売!
劇場公開された「PSYCHO-PASS SS」シリーズのノベライズが発売。下巻はCase.3を収録!

感想・レビュー・書評

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  • Case.3・恩讐の彼方に―2116年に起きた東南アジア連合・SEAUnでの事件後、狡噛慎也は放浪の旅を続けていた。南アジアの小国で、狡噛は武装ゲリラに襲われている難民を乗せたバスを救う。その中には、テンジンと名乗るひとりの少女がいた。かたき討ちのために戦い方を学びたいと狡噛に懇願するテンジン。出口のない世界の縁辺で、復讐を望む少女と復讐を終えた男が見届ける、この世界の様相とは・・・。

    密林では結構評価が割れていて驚きました。まあアニメ自体も続編に行くにつれて好みが分かれてきているし仕方ないのかも。私は普通に面白く読みました。というかここまでくるとキャラクターそれぞれに愛情があるので、その心理を読めるだけで嬉しい。狡噛は特に、言葉多い方ではないですし。復讐を終えたあの後、劇場版で朱と再会したときにちらりと語っていた程度で、実際どう感じていたのか、満足度よりも虚無感だったのかと思うと、3期につながるssはすごく大事なピースです。いきなり3期見ると訳分からなくなるwガルシアのくだりは、なんていうか、切ないなと思った。悪いことだけど、確かに綺麗事だけで平和を築くのがどんなに大変なことか、やってもいない人間には分からないだろう。テンジンのように、強くて尊い意志を、私は持てるだろうか。

  • サイコパスは劇場版未見(一作目はDVDで視聴)で本編視聴済み。ノベライズを手がける吉上さんのファンなので既読。
    狡噛の魂の遍歴が綴られた読み応えある一冊。今回は共著ということだが、文体は吉上亮の色が強い。
    チベットの習俗やオリエンタルな文化、猥雑な市場の活況、小仏塔や寺院、五色旗が翻る光景が巧みな筆致で描写され異国情緒満載。登場人物の心情も過不足なく掘り下げられて入っていきやすい。
    ゲリラに殺された家族の復讐を目的に、狡噛に弟子入り志願する少女・テンジンの天真爛漫な朗らかさも可愛らしい。恋愛感情ではなく師弟愛、もしくは疑似家族に近い間柄。
    劇場版を見てないと三期で唐突に出てきたフレデリカに「誰?」と戸惑うが、こちらを読めば狡噛をスカウトした経緯がわかる。
    菊池寛の名作「恩讐の彼方に」の文庫本が印象的なキーアイテムとして使われており、紙の本を読めよ……とあの人の声が聞こえてくる。イマジナリーマキシマンと狡噛の会話は情感たっぷり。
    正直劇場版を飛ばし三期を見ると、狡噛の心境の変化に困惑する。
    劇場版一作目の素振りだと日本に帰ってきそうになかったのに、数年越しの心変わりの理由は……と怪しんだが、本書は狡噛の心情を丁寧に追っており、「復讐に何の意味もない」「必要としてくれる人たちに背を向けた」彼の虚無感や後悔の念が静かに迫る。
    狡噛が帰国を決断した理由が、現地の人々との交流を通し説得力をもって補完されているので、より三期に入っていきやすい。というか、狡噛の母親ってまだ存命だったのか……とっくに他界したものと。様子を見に行ってる朱にほのぼのする。
    心理描写も秀逸だが、戦闘シーンも文句なくカッコよく、センチメンタルな部分とハードボイルドな部分のバランスがよくとれている。
    映画やアニメではモノローグとして語られない限り知り得ない細かな心の動きも拾っており、普段は内に秘めている彼の弱さや繊細、終わりない旅に倦み果てた孤独感が、人間臭い魅力として上乗せされる。狡噛の手料理、私も食いたい。
    狡噛ファンなら自信をもってお勧めしたい。

  • 上巻に比べて量が多いだけあって、人物描写が丁寧でした。
    映画だけでは分からない舞台背景や心情など、読んでいて楽しい一冊です。
    本書を読んでから映画を見返すと、面白い発見がありそうだと感じました。

  • 狡噛ファンとしては外せない一冊になりました。
    私は先に映像作品を見てからノベライズを読んだんですが、恐らくそうなんだな…と感じていた槙島とのやり取りがやっぱりそうだったんだ…となり、目頭が熱くなりました。そりゃそうでなければ日本には帰らないよね…
    個人的に常守への感情に目ん玉飛び出るほど驚いてFirst inspectorでの二人の会話シーンを見る目が変わりました。

    全体を通してこんなに荒廃した世界を転々としても、不器用で甘っちょろい狡噛はまだまだ健在だなというのが好感を持てる作品でした。彼らしい振る舞い、決断が大好きです。

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