- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800210906
感想・レビュー・書評
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他人の心情を覗き見ながら、共感したり感心したり、そんなことが出来るのが、私にとっての読書の醍醐味だと思っています。
この本は、そういう意味では、私の興味をそそり、気持ちをくすぐる面白い本でした。
ニートの四女葵、アバズレ?の三女夏果、不倫の結果その妻に座についた次女くるみ、親友に奪われた恋人が自殺した長女七緒の四姉妹。
それぞれがなんとなく幸せでなく、少しずつ誰かを羨んでいる。
あまり仲が良くないように感じられるものの、大人になった家族というのは、こんな感じかもとも思わされます。
七緒の最後のシーンに新たな出会いがあり、それが全体の最後であった事で、ホッとしながら読み終えましたが、くるみはこの先さらに不幸になりそうで、怖いなと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実家暮らしでニートの二十二歳四女、方々で身体を投げ出す二十九歳三女、付かず離れずじっとりと夫と姑と暮らす三十一歳次女、睫毛サロン勤務で独身を謳歌する三十六歳長女。陰りごと軽やかに飲み込む自然体な家族と恋愛の有り様がすぐ傍にいそうな感じ。日常に根差した密なそれぞれの日々のさっくりした重厚感が心地好い。
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ニートになって1年になる。昼近くにやっと目覚め、今日も人生どぶに捨てた感に苛まれる。
プロポーズ待ちで就職活動に身が入らないが、その気配は皆無だ。リセットボタンじゃなくコンセントを抜きたい。
もう人生やめたい…27歳末妹のぼやきから始まる四姉妹物語です。
執着する長女、依存する次女、模索する三女、喪失する四女。
姉妹の悲喜交々いやむしろ、辛さ不器用さなんかがメインに描かれています。
同世代の女性作家が書いた同世代女性にしっくり来ないわけがありません。自分と真逆のタイプの子ですら理解できる部分が多い。
親しい誰かの内面をうっかり覗いてしまった、そんな疚しさみたいなものも少し感じました。
全体的に明るいとは言い難いですが、読後感は悪くないです。 -
これくらいの距離感の姉妹ってリアルにあるのだろうなと思った。4人もいたら家庭内での自分や他の姉妹の立ち位置に、良くも悪くも敏感になりそう。夏果以外は、それぞれに共感できるところがあった。
内容は異なるけれど、文体が江國香織っぽい気がした。