このマンガがすごい! Comics 聖(セイント)ロザリンド (このマンガがすごい!comics)
- 宝島社 (2017年2月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784800267634
感想・レビュー・書評
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すごく面白かった!私は怖くなかったけど、ホラーやサスペンス慣れしてない人、子供は怖く感じると思う。
子供が殺人鬼でも深い愛を持つ親に感動。執事さんの愛も深く。愛が深い故に哀しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『悪い種子』などの海外作品を下敷きにしながら、専ら少女漫画として描かれる、8歳の殺人鬼ちゃんのお話です。
いや、ほんとに、びっくりするくらいテンポよく死んでいく(笑)。多分10ページ毎くらいに死んでますよね。それも雑なようで、違う。雑には死なないのです。少女漫画ですのでそこまで過激な表現はありませんが、とはいえど目玉刳り貫きとか、焼却炉に閉じ込めて燃やすとか、壮絶、しょッキングなシーンが続きます。死体もちゃんと描いてあって、ピストル自殺から生首まで豊富な品揃えです。正直少女漫画だったからまだよかったものの(?)、この題材は描く人が描いたらとんでもなくグロいことになりそうです。というかこのままでもちゃんと怖いです。やたらと怖いです。
変な話、「こいつ死ぬな」っていうのが明らかに分かるし、ツッコミどころがある展開もあって、下手したらマンネリ化しそうな作品ですが、終わり方が思った以上にしっかりしていたこともあってか、ずっと楽しく読めました。
ロザリンドちゃんは「うそをついていはいけない」とママに繰り返し言われていたこともあり、ちゃんと言うんですよね「わたしが誰々を殺したの」って。その無邪気さがまた輪をかけて狂気なんです。今の言葉で言うなら、サイコパスなんでしょうね、彼女は。とても魅力的・・・と感じるのは私だけですか? ロザリンドちゃんに殺されたい・・・とまではなりませんが。
すげー印象に残った殺人を3つあげるなら……
●イリアスとマルガリータを焼却炉に閉じ込めて焼いちゃう。理由は嫉妬、というかそう言う感情も自覚してないんだよなぁ
●修道院の井戸に青酸カリを入れて全員を殺した挙句、全員を金槌と釘で磔にする。怖すぎる。修道院という場所がまた……
●注射器で血を抜きまくって殺す。これが1番うぉぉってなったかな。
でも、前に述べたとおり、終わり方がしっかりしているので、なんとも言えない読了感があってクセになります。ロザリンドちゃん、幸せなってね…… -
最後にロザリンドが転ぶのを見守ってしまう父親が本当にすごい。
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201703/復刊とはいえ書下ろしあり、そして今なお現役素晴らしい…。昔読んだ時より、歳を経たせいもあり切なさ悲しさが一層感じられた。
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表紙はとても可愛いけど本編はどちらかというとホラーな作風で8歳の少女のロザリンドが人を殺していく話。殺人をするのだけどその理由が自分が死んだらロザリンドにあげると言っていた物がすぐに欲しいからその相手を殺したりだったり自分に嘘をついたからとか母親を泣かせたからだったりするのだけど特にそれが悪いとも思っていない感じでその無邪気さ、純粋さが読んでいて怖かった。少女漫画だけど人が死んでいるシーンは絵的に怖いのもあって個人的には血液を抜いている所が一番怖かった。
ロザリンド自身も普段は可愛らしくて、だからこそその事実を知ってしまった両親の気持ちや葛藤する様子も分かるし同じ目線で読める話だった。
ラストも今までロザリンドがやってきた事を考えるとこうするしかないのは分かっていても物悲しい気持ちになるし母親に会おうと健気に進んで行く後姿にはグッとくるものがあった。
1冊で綺麗にまとまっているし読み応えのある話で怖いけど面白かった。 -
前々から気になっていたにも関わらずなかなか見つけることができなかったのですが。書き下ろし新作も追加して復刊、ってので即買い。
個人的に絵の怖いホラー漫画は苦手。でもこれは絵は可愛いし、だけど怖いって評判だったので期待して読みました。だけどあまり怖いとは思わなかったかも。
天使のような愛らしい容姿で、何の罪悪感もなく凶行を繰り返すロザリンド。凶行の理由は実にシンプルなもので、ひたすらにまっすぐな動機は「純粋」とさえ言えるものです。だからこそこれを、恐怖の物語と言うのは間違いではないけれど。それ以上に悲劇の物語として読みました。
特に修道院での犯行なんて、あれ、生半可な気持ちでやれるものじゃないですよ。とても真剣に、一生懸命取り組んだ結果があれなんだよなあ……と思うと、ロザリンドが可哀想でしかたありません。誰のせいでもないのにね。
ただひとつの救いは、ロザリンドが殺人鬼であると知った後も両親の愛情が薄れなかったこと。そのせいで余計に切ないということもあるけれど。後味の悪い物語にはなりませんでした。