三度目の殺人【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800273475

感想・レビュー・書評

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  • ハッキリしないの嫌いです(笑)

    この作品の裁判官は仕事をこなす事を優先に考え

    真相は誰もハッキリさせず

    真犯人は分からず

    あえてモヤモヤを残そうとしたんだろうけど…解決すべき事がほぼほぼノータッチ

    だから重盛、咲江、三隅のそれぞれの感情など
    ほぼ伝わらなかったです

    真相、真実がどうでも良い裁判

    自分の目標が達成出来ればいい登場人物達

    って感じでした

    あっ…あと鳥好きとしては

    理由はどうであれ、カナリアを殺すのもNG

    1羽だけ、逃がすのも日本の生態系破壊やカナリア本人からしても逃がしてるのではなく【拷問】です

    それを作品中で、死刑が決まった三隅が咲江に向かって、ジェスチャーで手でカナリアを包んで、逃がす…
    んんん…無いなぁ
    作品で動物はそう扱って欲しくない…鳥に対して全然良い事をしてないのに、優しさの表現にするっていうか…

    野生の鳥は(生き物)は寿命を生ききる 事はまず無い
    そんな、外に 生まれてから人に飼育されてた鳥を放って…
    しかも他国の鳥を…
    それを考えたら全然【咲江】は救われないし
    何でも真実は追及する必要があるし

    1つわかることはこの作者、監督は自然と動物に感心がない人なんだって事は分かった

  • 「真実」
    本当の事が最後までわからないで終わる。どうにでも解釈できるようで、だけど事実として殺人はあった。

    自分に置き換えて考えてみれば、事実を100%の真実としてその時の感情や行動をも人に話せるだろうか?
    無理な気がする。

    相手によっては理解されようがない事は伏せるだろう。
    相手によっては美化するわけでもなく無かった感情や思考も付け足したりもするだろう。
    相手によっては邪魔する感情が邪魔しだす。
    相手によってはその時々で自分の感情を伏せ、相手に併せるように時と場合を使い分ける。

    結局の処、相手によってほんの数ミリかもしれないが行動や言動は変わるだろう。
    対人関係において深く追求すれば相手にもよるが主人公の重盛のようにノイローゼ気味になる。
    自分としての一定のスタンスを強く持ち、なるべく思考も感情も嘘がないようにしていかないと辻褄の部分が揺らいでしまう。
    そう再認識させられる作品だった。



  • 映画を観て、結末に?????しか残らず、原作を読んでみた。
    読んでみたものの、どれが真実でどれが偽りか混乱しながら読み進め結局?????の謎は解けないままラストへ。

    三隅は空っぽの器。誰かの殺意を察知すると、その空っぽの器に殺意を入れて実行する。
    自分的にはこれが一番しっくりきたが、何ともモヤモヤしてしまう。

  • 「本当は、なんで殺したと思ってるんですか?本当のことに興味はないかな、あなたはー。」

    二度の殺人を犯した三隅と衝撃の秘密を抱える被害者の娘咲江に翻弄される重盛。三度目の殺人とは誰が誰を殺すのか…
    この作品はスッキリした推理や検事と弁護士の激しい攻防を期待してはいけない。

    同じ殺しなのにお金目当てより怨恨の方が罪が軽くなるらしい。法律とは不思議なものである。
    そしてその法を利用し、被告人の有利になるようにシナリオ、法廷戦術を考える、それが弁護士の仕事なのだ。そこに真実がなくてもいい。怖い闇を見た気がした。

    重盛もそんな弁護士だったけど、三隅と出会い何かが変わる。真実を、三隅を知りたくなり、三隅の意思を尊重し、そして…。

    最後まで三隅に翻弄されラスト重盛は悶々とする。ノベライズでは映画よりも悶々とする。闇がさらに増えた感じ。救ったのか裁いたのか…本当の事は結局ノベライズでもわからない。
    わからないからこそ、人を裁くことの意味について深く考えさせられた作品だった。

    重盛が見た夢が興味深い。十字架と大の字。あの雪のシーン大好き。

  • 映画のノベライズ本。
    映画を観た後に補填と復習。

    過去の判例に基づいて量刑が決められる予定調和の裁判で、真実は置き去りにされる。

    たくさんの嘘つきとたくさんの罪人がいるのに司法で裁かれたのは三隅だけ。

    誰も本当のことを話さない以上、どうするのが正しかったのか、どれが正解だったのか…

    問題は投げかけられたまま物語は終わる。

  • 「本当のことを教えてくれよ」最後にうなずく。

    「真実」は必要がない世界なのか・・・

    「ここではだれも本当のことを話さない」
    この言葉がすべてなのかな。

    映画は見てないけど、重いな~
    人の命も、生きていくという事も。

  • 映画を観てモヤモヤしたので読みました。
    読んでも事件の真相はきっとわからないんだろうなぁ...この作品がいいたいところは真相は何か?ではないんだろうなぁ...と思って読みましたが 映画を見終わった後と読後では少し印象が変わったかなっ...
    活字にすると映画では何気なく観ていたところの情景や登場人物のしぐさなどがより入り込んできたような気がします。
    咲江の「ここではだれも本当のことを話さない」という言葉は印象的で何のために裁判をするのだろうかと思ってしまう。裁判にかかわる人達はそれぞれに信念を持ってやっているのだろうが 私には人を裁くなんて精神的に出来そうにありません。けれどそれをやっている打算的じゃない人達もこの世の中にはちゃんといるんだよなっ、と...
    表紙の3人の顔の返り血に頷けます。

  • 「本当のことを教えてくれよ」…『そして父になる』の是枝裕和監督作品、真実の小説化。弁護に「真実」は必要ない。そう信じ、勝利するための“法廷戦術”を追求してきた弁護士・重盛。しかし、ある事件の被疑者・三隅は、供述を二転三転させ、重盛を翻弄する。そして次第に明らかになる、三隅と被害者の娘の関係。本当に裁かれるべきは、だれか。心の底から「真実」を求め始める重盛の前に浮かび上がるものとは。

  • 映画のノベライズ本である。
    だから当然だとは思うけれど、読んでる間、頻繁に役所広司と福山雅治と広瀬すずの顔がよぎった。

    映画のノベライズ本である。
    だからなのか、小説として面白いのかは分からない。
    三隅が、僕の頭の中で、役所広司の圧倒的な演技を伴って迫ってくるからである。
    役所広司以外で、この役をできる人がいるだろうか。
    柄本明。
    香川照之。。
    小日向文世。。。
    全然違う作品にはなるだろうけど。

    映画のノベライズ本である。
    だから、映画の中で、映画的に表現された「行間」を汲み取れていたか、読むことで答え合わせになりますね。

  • 映画監督の「是枝裕和」とノベライズ作家の「佐野晶」の共著『三度目の殺人』を読みました。

    映画の方は観ていないのですが、予告編を観ると面白そうだったので、期待して読みました。

    -----story-------------
    『そして父になる』の「是枝裕和監督」、最新映画。
    出演・「福山雅治」、「役所広司」、「広瀬すず 」他。

    小説で浮かび上がる「真実」のその先――。

    「本当のことを教えてくれよ」
    ――弁護に「真実」は必要ない。
    そう信じ、裁判に勝利するための“法廷戦術"を駆使してきた弁護士「重盛」。
    しかし、担当した事件の被疑者「三隅」は、会うたびに供述を二転三転させ、「重盛」を翻弄する。
    そして次第に明らかになる、「三隅」と被害者の娘の関係。
    なぜ殺したのか。
    本当に殺したのか。
    本当に裁かれるべきは、だれなのか。
    心の底から「真実」を求め始める重盛の前に浮かび上がるものとは。
    -----------------------

    映画監督「是枝裕和」と俳優「福山雅治」が再タッグを組んで、昨年9月に公開された映画『三度目の殺人(英題:The Third Murder)』のノベライズ作品です。


    勝利にこだわる弁護士「重盛(福山雅治)」はやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある「三隅(役所広司)」の弁護を担当することになる… 解雇された工場の社長「山中」を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴された「三隅」は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない、、、

    「重盛」は、どうにか無期懲役に持ち込もうと調査を開始するが、「三隅」は会う度に供述を変え、動機が希薄なことに「重盛」は違和感を覚える… やがて「重盛」が「三隅」と被害者の娘「咲江(広瀬すず)」の接点にたどりつくと、それまでと異なる事実が浮かび上がっていく。

    「山中」を殺したのは「三隅」なのか… それとも、、、

    想定できるのは、

    ○「三隅」が「咲江」のために殺人を犯した

    ○「咲江」が犯した罪を「三隅」が被った

    ○2人で犯行を行い「三隅」が罪を被った

    なのですが、真相は藪の中なんですよね。

    でも、何よりも「是枝裕和」が言いたかったのは、法廷は真実を解明する場所ではない… ということなんでしょうね、、、

    裁判官、検察官、弁護人は、三者とも司法という同じ船に乗り、期限までに目的地にたどり着くことを優先し、真実の究明は二の次ぎで、真実が何かわからないまま裁きのシステムだけが維持されている… 考えてみると、恐ろしいことですね。

    そして、タイトルになっている『三度目の殺人』って、司法による殺人(死刑となった「三隅」)のことを指しているんですよね… これまで、あまり理解していなかったことだけど、本書を読んで考えさせられたなぁ。

    映画も観てみたいけど… 先に本書を読んでしまったので、映画の方は物足りなさを感じるかもなぁ、、、

    書籍の方が、人物の背景や感情、細かな心理描写、難解な法廷論争のキーワード等が理解しやすいからなぁ… ちょっと迷いますね。

  • 不満!
    真相、真実がわからないミステリ
    スッキリせずにもやもやっと終わります。
    なので、自分のようにすっきりした終わり方を望む人にはお勧めできません(笑)

    ストーリとしては
    30年前に強盗殺人で二人を殺した三隅。
    そして、今度は食品工場の社長を殺害した容疑で逮捕。
    その弁護には「真実」は不要という法廷戦略を追求してきた弁護士重盛がつきます。
    二転三転する三隅の供述。
    翻弄される重盛。
    法廷に真実は不要なのか?
    なぜ三隅の供述は二転三転するのか?
    本当に社長を殺害したのは三隅なのか?
    そして、三隅と被害者の娘との関係は?

    しかし、このストーリ展開では真実は明らかになりません。
    今の司法の問題点、人を裁くということ、そこにフォーカスがあたった物語です。

    一度目の殺人は30年前の殺人
    二度目の殺人は社長の殺害
    三度目の殺人は司法による死刑

    と読み取りました。そして、そこには救いがない
    もやもやっと終わってしまいます。

    ということで、真実を知りたい方には不向き!

  • ノベライズとは思えないくらい読み応えはあった。ストーリーは古典的な「藪の中」。ちょこっと「グリーンマイル」の不思議能力の味付け。

    弁護士モノだからかな?物証を追求せずに、証言をもとに真相を追求していくので、犯人性を争うところが迫力に欠ける。証言翻されて右往左往してるだけ。テーマが「裁くとは?」にあるので真相は二の次なのか。ミステリを楽しみたいと思うと肩透かし。


    あと主人公、「愕然と」し過ぎ(笑)

  • 映画見る気はなかったから小説でって思って手に取った本。キャストを調べて当てはめて読んでたけど私の想像の中のキャラクターと実際のキャストは合致しなかったなあ、、読み終わってから誰かがカナリアを握りつぶしてたっていうシーンしか覚えてなくてあれ?何読んでたんだっけ?ってなった。

  • んーー。もう少しはっきりさせてほしいところが幾つかあったかな。
    重盛の娘と重盛の関係とかその後が気になるし。
    この手の内容にしては少しハラハラドキドキも足りなかった。
    ただ役所さんやすずちゃんがどんな演技でこの映画がつくられてるのかなーっていうのはとっても気になります。

  • 法廷に真実は無い…。
    弁護士、検事、裁判官のそれぞれの思惑。
    暴かれていく真実を
    構うことなく進められる法廷審議。
    誰が殺し、誰に殺されるのか?!
    映像が楽しみだ…。

  • すっきりしない。結局何が何だったのかわからない。「羅生門」を気取ったつもりなのか?映画を見ればすっきりするのか?
    死んだほうがいい人間は確実に存在すると思う。こう考える僕にはそもそも響かないテーマなのか?

  • 三隅の不可解な行動が
    続きが気になるポイントになった。
    「なぜ三隅はそんなことを言うのだろう」
    と何度も疑問に思った。
    結局「本当のこと」という事実は分からず
    誰がお父さんを殺したのかが
    明確に記されていないけど
    わたしの予想は咲江が殺してしまったのではないか、
    または三隅と共謀して殺したのではないのか
    と思っている。
    たくさんの人が「人を裁く」ことに関与し,
    その裁き方が正しかったのか。
    今度映画を見てみたいなと思った。

  • 映画 
    コレは弁護士と被告者と加害者の法廷の矛盾の話である。
    法廷で本当に真実を炙り出し判決は本当に正しいものかという問いである。
    様々なミステリーが物語織りなし、キリストの判決とダブル演出がある。
    そこの新約聖書と三度目の殺人を重ねあわると面白い仮説が出て来る。正しくそれが本編で言いたい事、無実な者も死刑にされる事もある事実だと思う。立証されなければ弱い立場である。

    娘を守る為に自分が罪を償ったのだろう。

    コレは現代版のキリストの処刑である。

    コレは名作である。

  • 映画を観ても「は?」な感じで終わってしまったので、小説の方はもうちょっと詳しく書いてあるところがあるかもと思って読んでみた

    誰が誰を裁くのか?
    法廷では真実は必要なく、方針とそれを裏付ける証拠が重要視される
    同じ殺人でも、動機により量刑が変わるという矛盾を突いた作品
    ただ、主題は違うところにあるのかもしれない


    三隅は「器」にすぎない
    そして人の思考を読み取れる?
    むしろ、読み取ってそのままの行動をとってしまう?
    なので供述がコロコロ変わったりしてしまうのか?

    最初は摂津の思考
    美津江を巻き込んだのも記者の描いた筋に乗ったため
    その後は重盛の推測する犯人像
    それぞれの相手の思考に沿った供述をしているだけなのかねぇ?
    でも事前準備をしてるふうであるし、ある程度は計画的なのかな?

    一度目の殺人も誰かの思考を読み取ってしまったが故の出来事
    二度目に関しては事情を咲江から読み取った行動
    犯行はすべて三隅が行ったのではなかろうか?
    咲江が関与していたとは思えないんだよなぁ
    タイトルの三度目の殺人というのは、自分に死刑宣告をさせるということなのか
    咲江に法廷で事情を告白させないために犯人性を争う方向に転換したのは確かなのか
    重盛は自覚的に三度目の殺人の幇助をしてしまった

    というストーリーをそのまま受け取るのか
    それとも犯行に咲江の関与があってそれをかばっていると考えるか

    読む人ごとに、その人の想像した「真実」でよいということなのか?
    人の思考を映す鏡みたいな作品だなぁ

    やはり小説を読んでも真実はよくわからん
    しかし、ものすごい作品なのはわかる

  • 人を裁くのに真実は必要ないのか?
    今の裁判の危うさを感じつつ、それでもできるだけ皆が真実を語り、真実に基づいて裁こうとしているんだと信じたいと思います。
    このお話は、果たして誰が真実を語っていたのかが全く分からない形であえて完結しており、その薄気味悪さが後味として強く残っています。

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著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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