京の絵草紙屋満天堂 空蟬の夢 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2017年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800276056
感想・レビュー・書評
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三好さんの前作が気に入っていたので、今回のも読んでみました。
時代物は読み始め苦戦するのですが、おぶんちゃんの過去がわかったあたりから面白くなってきて。
冬芽との事も気になりながらも八重と一緒になって欲しかった。いや一緒にさせてあげたかった・・・詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「縁見屋の娘」に続き、この作者の2冊目読破。
中々面白かった。
絵草紙とは今時では大人向けの漫画?又は絵本?というところなのだろうか?
戯作者、絵師、彫師、摺師と江戸時代の職人の技を駆使して大衆向けに作られた文化なのだろう。
そこに、主人公である戯作者の行馬をはじめ、それぞれの過去や生き様を絡めて、更にミステリー要素のてんこ盛りなのだから面白く無いわけないか! -
侍としての名前と過去を捨て、京で暮らす戯作者・月夜乃行馬。懇意にする板元の満天堂書林で京の名所図会を執筆する行馬は、女絵師の冬芽が描く、哀しき想いを秘めた美しい絵に惹かれていく。同じ頃、行馬の仲間だった侍たちが、行馬が持っているはずの妖刀を振るう辻斬りに遭った、との報せが入る。自分を騙った下手人を探る行馬はやがて、故郷で起きていたある悲劇を知ることに…。
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一応過酷な過去が付与されてはいるものの、主人公の造形は現代劇では今時見られないような真っ直ぐなもの。所謂明朗時代劇と見なしていいだろう。お話の方は大体読者の想定内に収まるが、明朗時代劇ならそういうもの。ただ、大風呂敷を広げすぎたきらいがあって、お話のたたみ方は少しバタつく。黒幕など敵方にもほんとうの悪人はいない話なので、悪党ばらをバッタバッタと斬り倒すカタルシスには欠けるが、その代わりに読後感は爽やか。
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この作品も京都を舞台にしている。
あまりに過酷な過去を捨てて、新しい寺子屋の師匠という身分に名前も一新して生きてきた主人公、行馬。
草子を描いてみませんか?と誘われ始めて書いた「京都の名所図会」の挿絵を描いた人気絵師、冬芽と再びタッグを。
冬瓜も美しい外見とは違い偏屈な女性。
その事情を垣間見ると、あまりに壮絶な過去が。
徐々に周りの人間一人一人が自分の消し去りたい過去と接点があると知り。。。
今回の作品も前回のデビュー作と同様、この世のものとは思えない不可思議な世界とも面白く融合されていて濃密な物語世界と叙情を与えている。 -
武士を捨て戯作者として今日で生きる生馬
女絵師冬芽の悲しい過去と現実、過去に行った藩の為の暗殺に係った時の犠牲者の娘、そしてそのために失った許嫁
背後には抹殺された村の秘密
どんでん返しの結末は -
2018.05.08.読了