深煎りの魔女とカフェ・アルトの客人たち ロンドンに薫る珈琲の秘密 (宝島社文庫)
- 宝島社 (2017年10月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800277565
感想・レビュー・書評
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ロンドンの魔女が営むカフェが舞台のオムニバスストーリー
ジャンルとしてはファンタジー?ミステリ?なのか判断がつかない
主なエピソードは7つ
・配達少年と思い出のカップ
・高貴なる猫はいずこへ
・開拓者のアメリカーノ
・グラタンは保険引受取人を救う
・ロンドン塔の衛兵とおかしな秘密
・老いぼれ炭鉱夫と命の運び手
・深煎りの魔女と夢幻の蝶
コーヒーやカフェに関する薀蓄があったり、ちょっとした日常の謎があったりと、僕好みのお話ではある
タイトル通りに本当に魔法が存在するのもまぁ嗜好と外れてはいない
唯一引っかかりをおぼえたのは、お客さん達が「マスター」と呼びかけてた事かな
女主人に対して、正しくは「ミストレス」と呼ぶべきなんじゃなかろうか?
そんな言葉を知らなそうな人たちだけでなく、教養もありそうな人たちまでマスターと呼んでいたのは違和感があるなぁ
作者の知識不足なのか、一般的なわかりやすさを優先したのか、それとも他の理由があったのかは判断がつかない
魔法的にお客さんとマスターとスレイブの関係にあったとかって考察は深入りしすぎかね?(笑)
ま、そんな隷属魔法を使えるような描写は最後の話のところであるようなないような……?
相手が明確に意識しなくても言葉で縛る事はできるようなんだよなー
少女を助けた少年のためとか
お客さんに恥をかかせないフォローとか(それでも最後には全部お見通しな事を伝えているけど)
恋する二人をこっそりと縁付けたりとなかなかほのぼのするお話でよい
猫の事件は、切り裂きジャックがモチーフかな?
多分、他にもイギリスに詳しい人から見たらピンとくるネタがいっぱいあるんだろうね
「夢がいつか冷めるように、魔法はいつか解けるもの」
夢は「覚める」か「醒める」ものだけど、敢えて「冷める」としているのはわざとなんだろうなぁ
とある小説で、コーヒーが冷めるまでの時間だけ過去に戻れる話があるけど、そんな意味もかかってるんだろうか?
しかしまぁ、こっちの魔法の規模は明らかにそんなささやかなものではないけどね
最後のお店や魔女の真相に関して、ちょっと読んだだけだとわかりにくいなぁ
伏線というか事前にわかっている設定として時間を戻す魔法が使えるのはわかるけど、その対象や効果範囲や代償の描写がないのでご都合展開な無理やり設定を感じる
壊れたカップを戻すのは物体の時間を一時的に戻すのだとして、船の保険のやつは世界ごと時間を戻してるよな?しかも事前の魔法陣的なものなしに
炭鉱の事故にしても、お師匠様は何十年の時間を戻すのが出来ないのではなく、人助けの哲学的な答えがないからしない(本当は出会えなくなるからなんだけど)と言っているわけで、何らかの代償が必要なようにも思えない
時間を戻るにしても、同じ時間軸の無限ループなんじゃなくて、平行世界の過去に戻ってる気がする
じゃないと辻褄が合わないよな
読んでいて気づかなかったけど、巻末で小説家になろうからの書籍化というのを知る
異世界転生・転移ものだけじゃなく、こんなものもゴロゴロ転がってるんだろうけど、なかなか総合ではランキングが上がらないっすよねー
まぁシステム的に、読者層受けの良いネタや長期連載化ものがどうしても目につくというのは仕方がないんですけどね -
21.06.02読了
イギリスの話。途中までの話がとても丁寧に書かれていたのに、最後のネタばらしで展開が早すぎて結局何がなんだか分からないまま終わってしまった。
最後のところをもっと丁寧に書いて欲しかったなー
コーヒーの種類やイギリスの土地柄とか、分からないこともあったけど、載ってた説明は分かりやすかったからこそ、もったいないなーと。 -
sg
そんなに低評価のお話じゃないと思ったけれど…(・・? -
「配達少年と思い出のカップ」
勇気ある行動と壊れた品。
この場合責める相手もいなければ自分のとった行動を後悔しきることも出来ず、壊れたままの品を見たら心残りが消えることはないだろうな。
「高貴なる猫はいずこへ」
消えた猫と不穏な事件。
一言でも聴き逃していたら彼は今捕まることはなく、被害猫は数を増やしていたうえに無関係な人が誤認逮捕され犯人に仕立てあげられていたかもれないな。
「開拓者のアメリカーノ」
この宝石の価値は。
知ったかをするのは勝手だが、あまり人前で披露しすぎると微妙な知識と知ったかのプライドは詐欺師のいいカモになりうるのだろうな。
「グラタンは保険引受取人を救う」
一度起きた現実か夢か。
仕事熱心なのはいい事だけれど、自分以外にもその仕事を任せられる人が居て休日をいただいたのならその時だけは部下を信じて休むべきではないだろうか。
「ロンドン塔の衛兵とおかしな秘密」
命の恩人と再会を。
吊り橋効果もあるのだろうけれど、きっとこの二人はただすれ違っていただけでもこうなる運命だったのかもしれないな。
「老いぼれ炭鉱夫と命の運び手」
誰かの為に動けた人。
自分の命を顧みずこんなに人を想うことは中々出来ないだろうが、自分の命も人に同じもしくはそれ以上想われているとしったうえで突っ走って欲しいかもな。
「深煎りの魔女と夢幻の蝶」
彼女の始まりと彼女の終わり。
出会いと言うべきなのか運命と言うべきなのか、どちらの言葉にもぴったり合いそうなぐらいな二人の始まりだったな。 -
ロンドンにひっそりと佇むカフェの店主は
やってきた客達とたわいない話をする。
普通の話、かと思いきや、魔女というのは
そのまんま、の事でした。
連続短編はよくよく読めば時間が過ぎて行って
結構な時間になっていたり。
しかしこれ、最初から考えると、最後の方は
駆け足気味な感じがします。
全ての謎をきれいにつなげるため、ではあるでしょうが
なんだかな、という感じが。
3話目のアメリカ帰りの男性は、ほら吹きなのか
話を大きくするのが好きな人なのか。
結局分からないまま、になってしまいました。 -
ロンドンのカフェを舞台に幾重にも層をなすような、長い時間の間の何人ものお客たちの謎や恋のエピソード。珈琲もカクテルも焼き菓子もとても魅力的。ほろ苦くてほの甘い空気も心地好い。女性店主のアルマの多くを語らないひっそりとした魔法が然り気無くて、終盤で明かされた秘密と仕掛けに一気に持って行かれた。
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ロンドンでカフェを一人で営むマスターの日々と出会う人々の話です。
コーヒーのうんちくが深く、素人の私にはとても淹れられないだろうけれど飲みたくなりました。
ただ最後の魔女要素が私にはよくわかんなかった(笑) -
カフェと魔女
とても素敵でおシャンティな香りがしたので購入してみる
全体としては、カフェを訪れたお客さんのささやかな日常に触れていく話
カフェのマスターが推理力を発揮したりするけど
その要素はあまり強くなくても良かったかなぁと
カフェに関するウンチクが〜とも触れ込まれていたので、
そっち方面にもう少し力が入っていたら良かったかも
ちょっと色々詰め込んで、欲張ってしまったかなぁという印象が残る
なので、予想していなかった不思議要素も
おや!と思う反面、いまいち活きなかったかなぁと
オチの秘密は、必要あった…かな…?
魔女の一休みも、象徴にしては頻繁に触れられるのかと思ったらそうでもなかったかな
しかし古いロンドンを舞台にした雰囲気は良く、
各話のエピソードもスッキリとして読みやすく楽しめた