ここまでわかった戦国時代の天皇と公家衆たち: 天皇制度は存亡の危機だったのか? (歴史新書y 57)
- 洋泉社 (2015年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800308122
作品紹介・あらすじ
乱世といわれる時代であっても、当時の武家・寺院社会にとって、社会の秩序を維持する名分(根拠・立場)として朝廷は重要な役目を維持していた。室町幕府や天下人たちも、その機能を守るために積極的に行動していた。謎に包まれていた朝廷勢力の実像を13のテーマで解明。
感想・レビュー・書評
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【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 必死に天皇を守る公家衆たち(儀式や政務にこだわり時間を支配した天皇(即位式・改元・大嘗祭)/禁裏で天皇を警護する公家たち(家門の維持・幕府との分担)/公家の女性が支える天皇の血脈維持ー後宮女房の役割/世俗権力に左右される門跡寺院ー門主は天皇家・公家・武家の子弟)/第2部 家門・一族の存続をはかる公家たちの知恵(公家の生活基盤を支えていたものは何か(荘園経営と公家の家僕)/武家も重宝した公家の「家業」とは?(装束の家・和歌の家))/第3部 武家とともに時代を動かした天皇・公家(将軍家と天皇家の二つの主人をもつ公家衆がいた(室町幕府と公家衆の関係)/朝廷官位を利用しなかった信長、利用した秀吉(天下人の政治支配)/豊臣時代からじょじょに朝廷に食い込む家康ー近世朝廷・公家再生への道)/第4部 「戦国領主」化した貴族たちの戦い(摂関家の当主自らが土佐国に下向する(土佐一条氏)/中流公家が国司となって飛騨に土着したが…(飛騨姉小路氏)/幕府から武力を期待された公家衆ー伊勢北畠氏/最北の地に栄えた“南朝北畠系”の堂上公家ー奥州浪岡氏)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
武士の世が続く室町時代から戦国末期において、一般にはあまり注目されることが無く弱体化して顧みられない天皇や公家がどのような活動をしていたかについて、それぞれの事例で。公家が荘園系の領地や家業の保持、実力ある武士との交渉でいかに存続していったか、土佐一条氏や北畠氏などの「在国」公家階級が地方に土着していても官位に関して中央朝廷とのつながりを持ち続けたりして単なる武士・大名といったカテゴライズには収められないありようがよく解った。もちろん資料の発見・解釈の進展で研究の進化が感じ取れるところも良かった。
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公家の家業
山科家の衣装=装束
三条西家=古今伝授:三条公保⇒実隆(⇒後奈良天皇)⇒公条(正親町天皇)⇒実枝⇒(細川幽斎)⇒公国