家康研究の最前線 (歴史新書y 66)

制作 : 平野 明夫 
  • 洋泉社
3.69
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本棚登録 : 76
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800310842

作品紹介・あらすじ

三河時代、戦国大名時代、豊臣大名時代と、家康の頭の上には、つねに支配者・同盟者が存在した。江戸幕府は最終的に天下を掌握したが故に、各時代の歴史を家康に都合よく描くことが出来た。本書では、「徳川史観」を取り除くことを第一義とした。

感想・レビュー・書評

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  • 徳川家康の生涯にまつわる「定説」を1つずつ検証し、本当の史実を明らかにすることを目指した論考集。三河における(家康出生前の)松平氏の歴史から扱っており、私の興味にも合致して有益だった。松平清康(家康の祖父)が安城城から山中城に移り、さらに岡崎に本拠を移したあたりの史実は、ひょっとしたら私の先祖の動静とも関係するかもしれない。図書館で借りて読んだ本だけど、これは購入して家に置いておいた方がよさそう。

    【川崎市立麻生図書館 289.1】

  • 大河ドラマに合わせて読んでみた(今まで積読w)
    三河一向一揆までドラマは進んだのですが家康は
    仕えるに値しない役ですね(*´▽`*)

    寺内町の特権とか再確認できたのだが、正直な所
    三河一揆のひとつの局面に本願寺拠点があったの
    かなと思っているので期待したニュアンスではな
    かった

  • 家康クラスですらわからないことばかりなんだな、と。家康が今川から独立した時期すら諸説あって答えが出ていないというのは驚き。桶狭間直後からなのか、一定の期間をおいてからなのか、本書の執筆陣の間でも見解が分かれているというのだから面白い。圧倒的に資料が残っているはずの家康でさえこれなんだから、他の大名・武将なんてわからないことだらけなんだろうな。
    個人的はやはり「三州錯乱」や「遠州そう劇」(どちらもすごい名称だな)のあたりでの家康の遠州政策に関心があるだが、そこはそれほどなかった。この辺りは、どちらかというと今川氏に関する本を読んだ方がいいのかな。

  • 三河時代、戦国大名時代、豊臣大名時代と、家康の頭の上には、つねに支配者・同盟者が存在した。江戸幕府は最終的に天下を掌握したが故に、各時代の歴史を家康に都合よく描くことが出来た。本書では、「徳川史観」を取り除くことを第一義とした。(2016年刊)
    ・はじめに
    ・第一部 戦国大名への道
      松平氏「有徳人」の系譜と徳川「正史」のあいだ  
      家康は、いつ、今川氏から完全に自立したのか
      「三河一向一揆」は、家康にとって何であったのか
      家康の家臣団は、どのように形成されたのか
    ・第二部 戦国大名 徳川家康
      義元の死後、家康と今川家との関係はどうなったのか
      信長・信玄・謙信を相手に独自外交を展開した家康
      徳川氏と北条氏の関係は、関東にいかなる影響を与えたのか
    ・第三部 豊臣大名 徳川家康
      豊臣政権の中枢で、積極的な役割を果たした家康
      家康の検地は、秀吉に比べ時代遅れだったのか
      家康の「関東転封」は、何をもたらしたのか
      「関東入国」直後、「奥羽仕置」で大活躍した家康
    ・第四部 天下人 徳川家康
      大御所 徳川家康はエンペラーかキングか
      家康最晩年の「政権移譲構想」と隠居問題とは
      東照大権現への神格化は、家康の意思だったのか
    ・あとがき

     たぬき親父のイメージが強い徳川家康、本書では、最新の研究成果を紹介しながら、その実像に迫ろうとしている。新書であること、テーマが幅広い事から一つ一つを掘り下げることは出来ないが、とっかかりを与えてくれる良書である。 
     有名なエピソードとして、今川氏に送られる途中、戸田氏の裏切りにより、織田信秀の人質になるというものがあるが、同時代史料の分析により、広忠が信秀に降り人質に出されたとする。
     通説では、桶狭間の戦い直後、挙母ほかで、織田方と戦ったとするが、本書によると、当時、いずれも今川領であった可能性が高いとする。
     豊臣大名 徳川家康は、政権の中枢で、忠実に役割を果たすことにより、政権にとってなくてはならない存在となる。また、家康もそれによって政権運営の力量が増していったとする。(この点、豊臣政権から徳川政権への移行を考える上で重要な指摘と言える。政権運営能力に欠ければ、天下人となることは出来まい。)
     イギリス商人の史料も興味深い。本書では、外国人から見た家康が、エンペラーかキングかを論じているが、個人的には、秀忠親政により出頭人の力が衰えたことが書かれている史料が興味を惹かれた。
     崇伝と天海について、両者が親子以上に年齢差のあることを知る。太平記の記述と東照宮の縁起が家康の征夷大将軍に正当性を持たせるというのも面白い。(史実ではなく時代を超えて読まれ続けた太平記の記述が正当性を持たせていることが指摘されている。)
     地道な研究の成果を積み上げることにより通説を覆す様は、オセロのようで痛快である。

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