石田梅岩『都鄙問答』 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ14)

  • 致知出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800911261

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  • ”都鄙問答は、石田梅岩(通称 勘平)が門弟たちや士農工商の枠を超えて多くの人たちと交わした質疑応答を一冊にまとめた「修養書」。

    城崎温泉で編集会議を実施している際に、田舎から上京して梅岩を訪ねた人との問答が多かったから都鄙問答という書名となった。都鄙問答の「鄙」は、辺鄙、鄙びたという字。 生まれ故郷の亀岡と京都市内を何度も往復していた(郷里で母を看病しているときに最初の悟りを開いた、との逸話もあり)

    35歳頃から「本性とは何か」を知るため儒者をめぐり、黄檗宗の僧・小栗了雲という師に出会う。呉服商を辞めて45歳で開講した私塾。それから10年たった、55歳のときに刊行。

    商人道。孟子の性善説が思想の根幹。盡心知性(じんしんちせい:心を盡くして性を知る)。本性。

    <キーフレーズ>
    ●石門心学の3つの特徴
     1)儒教・仏教・神道を融合
     2)道話(身近な喩え話)でわかりやすく説明
     3)商人の儲け(利益)は武士の俸禄と同じだと主張

    <お題1:学びはじめてから変わったこと。エピソード>
    ・文学も、そのようなもので、年数を重ね、ぬかりなく学び続けていけば、そうしない者より確実に勝っていくだろう。その間、覚えるべきものは覚え、必要なことはいっぱい書き残すようにすれば、多くの人々がひしめく中で、幸せを掴み、生活も豊かになろうというものだ。(p.283)
     ※老子の言った「吾唯足るを知る」にからむくだりだが・・・、これは真の意味を探ろうという考え方なのか?

    ※仁愛の心で父母へ仕え・・・

    <お題2:自分の血肉にしたい箇所>
    ・物事が成就しがたいときは、わが身を顧みるがいい。恥ずかしいことをしていたと気づく場面も多いはずだ。(p.263)
    ・昔は、正しい道を知って徳を積んだ人に接して人々が感じ入り、懇願して社寺を建立してもらったように思われる。(p.265)
     ※そんな人になりたいね!


    <読書会での朋友の取り上げ>
    ・正しい方法で利益を上げるのが商人としてのまっとうな生き方であり、(p.136)
     ※これぞ商人道! hrさん

    ・日夜、思い悩み、朝に夕に苦しみ、「これは一体!?」・・・と苦しみ続けていると忽然とその答えが閃く(p.173)
     ※外山滋比古さんの「寝かしておけ」「見つめる鍋は煮えない」ともリンク。irさん

    ・利益を「積む」ではなく、利益を「いただく」 (p.139)
     ※発言を変えていく。三方良しに通じる。

    ・赤子の心を失わない者は成人である。
     人には喜怒哀楽の情があるので、天命に背いてしまう (p.222)
     ※nnさん

    ★生きることも大事だが、義はもっと大事だ。義に背く行いをすれば、心の苦しみとなる。(p.126)
     ※「義」は大事。まぎれもない正解。だからこそ・・・気をつけないといけない。
      ウソをつくようになってしまう。いい人のフリをしてしまう。
      あるべき自分が肥大化し、本当の自分と乖離する。
      →できない自分を隠すようになる  ★ドキッ!
      あるべき自分からスタートすると苦しい。だめな自分を本当の自分と認めてあげるところからスタートしたい。
     (小倉塾長の言葉)

    <きっかけ>
    2018年5月 人間塾課題図書”

  • ・孟子の「性善説」が、石田梅岩の思想の根幹をなしている。
    ・「故きを温ねて新しきを知るは、以って師たるべし」工夫し考案できて初めてそれまで学んだことが身に着く。
    ・日々をコツコツと積み重ねて富を蓄えるのが、商人としての正しい道。
    ・究極の学問は、孟子の言う「心をつくして性を知り、性を知れば、天を知る」に尽きる。
    ・正しい方法で利益を上げるのが商人としてのまっとうな生き方であり、利益を上げられないのは正しい商人の道とは言えない。
    ・「真の商人」は、相手も上手くいき、自分も上手くいくことを願うもの。
    ・儒教や仏教は、自分の心を磨く道具に過ぎない。
    ・根本を確立してこそ、道は開ける。

  • 【動機・目的】
    ●この本は、日本のCSRの原点と言われている石田梅岩の代表作であるので、どうしても読んでおきたかった。

    【課題】
    ●人生哲学、商道徳などの倫理観を学ぶ

    【まとめ・感想】
    ●当初思っていたほどの内容ではなく、若干がっかり。こちらが読みこなせていないだけかも?。

  • 松下幸之助の座右の書。石田梅岩 都鄙問答 (とひもんどう) 江戸時代の経営問答集。渋沢栄一や福沢諭吉より前に こんないい経営指南書があったことに驚く

    儒教思想のうち 商人倫理、経済合理性に沿うものをまとめ、儒教の解釈の範囲内で 仏教や神道も取り込んでいる。体系や普遍性はないが、商人として生きるための指針としては 具体性に富んでいる。



    「商人の売買の儲けは 武士の俸禄と同じ」「商人には商人の道がある」

  • 会社の勉強会で輪読。問答形式で学びやすい。

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著者プロフィール

一六八五(貞享二)年、丹波桑田郡(京都府)生まれ。江戸時代中期の心学者。丹波桑田郡(京都府)出身。石門心学の祖。農家に生まれ,京都の商家ではたらきながら独学,のち小栗了雲に師事、京都車屋町に塾をひらく。神・仏・儒・老荘をとりいれたその教えは、人間価値の平等や商人の利潤の正当性をみとめていたため、町人を中心として庶民の間にひろまった。門下に手島堵庵。著作に「斉家論」など。一七四四(延享一)年没。

「2021年 『都鄙問答』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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