福沢諭吉が見た150年前の世界~『西洋旅案内』初の現代語訳~

  • 彩図社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801305366

作品紹介・あらすじ

近代化に影響を与えた福沢諭吉は、「冒険の人」でもありました。若いころに故郷を飛び出して長崎、大坂などで学び、開国後は洋行使節に紛れ込んで、西洋の地を踏みました。
そんな福沢諭吉が明治維新直前に出版したのが、日本初の海外旅行ガイドブック『西洋旅案内』です。切符の買い方や旅程など実用的な情報はもちろん、政治制度や価値観の違いなど、あらゆる事柄がとらえられています。
この『西洋旅案内』の現代語訳を通じて、福沢諭吉ら幕末の武士が驚いた西洋文明の有様を本書で描きました。時代背景を理解しやすいよう、解説を交えているので、予備知識は必要ありません。本書を通じて19世紀欧米への船旅をお楽しみいただけると幸いです。

感想・レビュー・書評

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  • 福沢諭吉が1859年に自信最初の海外渡航を経て明治維新が起きる前まで三度わたる海外経験を旅行ガイド本として出版した西洋旅案内を現代語訳した。

    福沢諭吉が初めて海外に行ってから150年しか経っていないというのも意外と驚くところだが、当時日本の感覚からしたら福沢諭吉はかなり好奇心旺盛で積極的に英語を学ぼうとするなどしていた。
    当時の日本事情や欧米の力関係を知れる良い一冊である

  • 福沢諭吉が書いた「西洋旅案内」を現代語訳とともに解説を読み進めていくもの。

    150年前の西洋や欧米の文化に触れた日本人の様子の面白いこと!興味津々の諭吉に対して保守的な人も共に旅していて(当たり前だが)、その対比もまたいい。
    現代語訳だから難なく読めるし、解説でより当時を理解できる。

    項目も細かくわけてあって読みやすかった。

  • 福沢諭吉の『西洋旅行案内』の現代語訳と著者の解説。
    日本には牛車があったのだから馬車も驚かないと思ったが、馬車には驚いたとか、ひとつひとつ当時の日本人の常識に「へー」と思う。
    そして、日本がこのとき外国では……?と世界史と結びつけて考えるのは難しいのだが、日本人の西洋旅行記なので、当時の日本の様子と、当時の外国の様子がわかるのも本書の特徴かと思う。
    そうか、幕末の動乱期はアメリカの南北戦争前後になるのか。福沢諭吉が南北戦争の直前にアメリカに行って、さらにその6年後にアメリカに行ったので、その前後の様子の描写が楽しく読める。
    西洋では日本で働くことはできるか、行くことはできるか、と話しかけられたが、ロシアではロシアに住まないか、ロシア人になれ、と話しかけられたのが、またロシアと欧米の違いがまた興味深い。
    自分は高校生のときに、実は福沢諭吉はアジアやアフリカなど経済的に発展していない国を見下していた、と聞き、かなりショックを受けたのだが、この本では、福沢諭吉の欧州贔屓と途上国の見下しが読み取れ残念な気持ちにもなる。今の物差しで当時の思考をはかるのは間違っていると思いつつも。
    そういう脱亜入欧の考え方の実際のところを知れたのも、本書を読んで良かったと思うところである。

  • 福沢諭吉は、江戸末期にヨーロッパに1回、アメリカに2回行って、その時のことを「西洋旅案内」という本として出したそうです。
    この本は、その現代語訳および解説です。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/482915804.html

  • とても面白いが、
    解説の信用度は同人誌程度と思った方がいいかも。

    税制・土地売買はじめ記述が間違っていたり、極端だったり。

  • 福沢諭吉のイメージが変わった福翁自伝から読んでみたくなった本。西洋旅案内の現代語訳。昔の人も賢いなと思った。

  • 福沢諭吉が書いた「西洋旅案内」という日本初の旅行ガイドブック(のようなテイストの航海日記)を現代語訳し、時代背景や福沢諭吉の人となりなどを分かりやすく解説した本。訳者曰くは「福沢諭吉の功績を讃える」などという趣旨ではなく、単純にこの「西洋旅案内」が面白かったので紹介したかったらしい。

    原本はほぽ諭吉の主観で書かれている。鎖国状態から欧米諸国と交流し始めた頃の日本人の戸惑いや驚きがストレートに伝わってくる。思想に偏りも見られるが、これも含めて時代背景だ。当時の日本人達が日本と外国の国力の差を見せつけられ、追いつけ追い越せと努力していたことがわかる。

    福沢諭吉という人物は誰かに似ているなあと思ったら、そうだ、石原慎太郎氏だ。よくも悪くも説教じみた、そして差別や偏りを隠そうともせず思想を貫く姿が似ている。

  • 図書館

  • 明治維新前に3回も海外へ行ったのに驚いた。
    色んなことを調べて、本では分からないことを、聞き回って、情報収集していたのはすごい。
    明治では官職につかずに、英語塾を開いて、次世代の人材を育てたのは、海外を見て日本の官僚に幻滅したからだろう。
    英語塾に手塚治虫の祖父 良仙が医師の卵としていたのは、初めて知った。良仙は遊郭遊びにうつつを抜かしていたのに笑った。

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著者プロフィール

1935~1901年。豊前中津藩(現・大分県中津市)下級藩士の次男として生れる。19歳の時、長崎に蘭学修行におもむく。その後、大阪で適塾(蘭方医、緒方洪庵の塾)に入塾。1858年、江戸で蘭学塾(のちの慶應義塾)を開く。その後、幕府の使節団の一員として、3度にわたって欧米を視察。維新後は、民間人の立場で、教育と民衆啓蒙の著述に従事し、人々に大きな影響を与えた。特に『学問のすすめ』は、17冊の小冊子で、各編約20万部、合計で340万部も売れた大ベストセラー。その他の著書に『西洋事情』『文明論之概略』『福翁自伝』など。

「2010年 『独立のすすめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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